北中米旅行記⑤ トランプ大統領誕生のキューバ二日目 11月9日
ゆっくり休めた。それでも目覚めは4時半。朝食は7時から。テレビでトランプさんが勝利と報道している。宿の主人のパソコンで全米の開票状況をみている。建前上は衛星放送の受信は禁止されているが、このように一般家庭ではメキシコの放送を見ている。後で宿泊したMELIA CUBAではCNNも見ることができた。情報は完全にキューバ市民に行き渡っていると思えばいい。それでもカストロ体制が維持できるということは、他の中南米国の治安の悪さと比べれば共産主義のほうが支持されているということなのかもしれない。とにかく暗い時間も一人歩きできるのだから。
民宿主の部屋からみる周辺風景。ヤンゴンを思い出した。それぞれ各自の住まいは工夫をして内装も一生懸命にしているが、公共空間が追い付いていない。共産主義では減価償却概念がないからリニューアルの資金が確保されないと昔モスクワの大使館の職員から聞いたことがあったことを思い出す。
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◎現地ツアー
VETRAからネットで申し込んだ英語の現地ツアー(HAVANA TOUR COMPANY)は8時間で1万円は安い。市内の徒歩観光にクラシックカー乗車が付き、食事に休憩時のドリンクもあわせて二回分入っている。今回はイギリス人夫妻と三人だけだったのでなおさらだ。外国人に観光資源として使えるのは、ゲバラとヘミングウェイ。今回の案内でも両者に関連するところはわかりやすい。逆に独立や革命の英雄はわからない。西洋人にはラム酒や葉巻、料理、お菓子、奴隷制度にも共有できる知識や記憶があるが、日本人の観光客には無理。昔の有名なチョコレートの話が出てもわからない。グリコのおまけやカバヤのミルクキャラメルみたいなものだ。日本が外国人に売り込むときは、お国自慢では限界がある。小説家なら三島由紀夫と村上春樹だろう。それでも観光資源としてはヘミングウェイやシェークスピアにはかなわない。英語と日本語の差だとあきらめるしかないだろう。水村美苗さんのように英語で小説を書くしかないのであろう。巨大な国内観光市場を持っていたから今まで気にしなかったが、日本語でものを書くことにこれからどれほど意味があるのかというくらいに日本が国際化していったのだ。ガイドさんは私のことをSHUICHIとは記憶できず、スシと呼んでいた。逆にイギリス人の名前は最初に自己紹介で聞いたが、日本人の私には記憶できなかった。そんなものであるから仕方がない。
ガイドさんはスペイン人意識があるといっていた。イギリス人の奥さんは、彼女のおばあさんはイギリスに住んでいても死ぬまでドイツ人だと思っていたといっていた。そんなものなのであろう。夫妻は二年前に日本を旅行したという。日本はお城が多く、案内では戦いの話が多かったという。平和な国なのにしょっちゅう戦争していた印象を持たせるといっていた。なるほど、日本の観光地も考えた方がいいのかもしれない。このあたりも一人よがりなのであろう。ガイドさんはインテリで子育て中のようだ。平等主義の共産主義を支持しているようにもおもえた。ハバナにも高級住宅街があり、案内してくれた。不動産は交換が原則。空きがないとなかなか便利なところには移れないようだ。家族が増えると天井の高い一階部分を二階に増築したりするようである。イギリス人がそれをメゾネットというといっていた。日本のマンション業者が使う言葉である。キューバと違い、イギリスでは学費の問題は頭が痛いようである。自分たちの時は奨学金で何とかなったが、今の学生は奨学金が返せない状態だという。日本も同じだといっておいた。下り坂の国の共通課題なのであろう。
今回はHomestay.Comを通じて民宿に泊まった。Airbnbと同じようなものである。キューバはまだアメリカ系のネット予約はホテルと航空も経済制裁が残っていて使えなかったからだ。民宿のレベルは高く勉強になるが、昔から存在する一流ホテルもおすすめである。夫婦でなら価値がある。革命以前の雰囲気を残している。中国やロシアの政治家、アメリカの有名人も宿泊しているのであろう。記念のものが展示されている。ヘミングウェイが定宿にしていたホテルの屋上レストランは眺めがよい。クラシックなエレベータもよい。ストリートパフォーマンスや記念撮影の売り込みほとんど他の国の観光地と変わらない。
既述のとおりキューバではヘミングウェイが観光資源である。高校の修学旅行の時、バスガイドが明治の文豪大町桂月先生が訪れた蔦温泉うんうんというフレーズを思い出したが、観光資源として世界に通用する日本人作家は、やはり三島由紀夫と村上春樹くらいか。陸軍士官学校講堂は東京裁判と三島の腹切りをテーマにすれば世界に通用する観光資源にできる。東京と神戸には村上ファンの聖地がいくつかあるそうだ。道玄坂裏のラブホ街もその一つという。面白いものだが、ラブホはほかに類例のない日本文化かもしれない。しかし、両者とも政府は取り上げにくいであろう。小池百合子知事なら受け狙い感覚が強いので取り上げるかもしれない。4千万人にするには大変である。
オビスボ通りの売りは、ラ・ボデギータ・デル・メディオのモヒートにエル・フォロリディータのフローズンダイキリ。前者は一杯五ドル。
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NHKの世界の街角という番組のビデオがある。十年以上前のものだが、今とあまり変わりはないので、まだハバナに大きな変化はないのであろう。
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不動産は交換が原則、共産主義の考え方だそうだ。しかし意外とネットを使えば新しい交換システムが作れるかもしれない。モスクワを訪問したとき、日本大使館の職員が、共産主義は減価償却の概念がないので、建物の更新資金の蓄えがないとから、ボロボロであるといっていた。世界遺産になっている旧市街を見ると更新投資はされていないからボロボロである。と言って金ぴかになればいいというわけでもない。オビスポ通りがこれからどう変化してゆくのか。エレベータは皆無であるから、物流は階段と窓。ベニスはゴンドラで済ませているから、車を使わないでも観光資源として残せるかもしれない。
◎クラシックカーで見るハバナの街
革命記念塔からホセマルティとチェゲバラの似顔絵が見える。ホセは知らなかったが、若くして亡くなった詩人兼革命家。さしずめ吉田松陰というところで、インテリからも尊敬されているようだ。チェゲバラは説明する必要もない。坂本龍馬のようなもの。観光資源としては世界的に有名でなければならないから、ゲバラに軍配が上がる。日本にはゲバラに相当する者はいないが、ロシアのバルティック艦隊を破った東郷元帥はイギリスやトルコの海軍関係者は知っている。でも戦艦三笠の保存に日本人は無関心であったから、本気で観光資源というものを考えているのか疑問に思う。
道中、サンチアゴデキューバというラム酒工場の跡の建物の説明を受けた。恥ずかしながらこの著名なラム酒の名前を知らなかった。イギリス人には日本人にとっての紹興酒と同じ感覚なのであろう。当然知っていた。観光資源とは相手が知っていないと資源にならないから、おかしなものである。
中華街があった。革命時に中国人はカリフォルニアに逃亡していったようだ。それにしても世界中に華僑がいる。三千万人と聞くから、日本は勝負できない。
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