*

ヒマラヤ登山とアクサイチン

公開日: : 最終更新日:2023/06/02 人口、地域、, 出版・講義資料, 軍隊、戦争

〇ヒマラヤ登山

機内で読んだ中国の新聞記事。14日に、両足義足の、私と同年六十九歳の中国人登山家がチョモランマ登頂成功のニュースが流れていた。43年前にシェルパに寝袋を譲ってあげ、凍傷にかかってしまったとのこと。おそらく中国人社会では有名人なのであろう。帰宅後ネットで調べたら、早速出ていた。

http://time.com/5272120/nepal-everest-xia-boyu-summit/

その一方で、日本人登山家の死亡記事が本日流れてきた。NewsPicksでもコメントが早速出ていたが、稲葉道明氏の下記コメントが気になったところである。
「ご冥福をお祈りします。ただね、コメント見ても応援していた人いるようですが、門外漢が「誰それさん、エベレスト頑張れ」なんて言うもんじゃないですよ。栗城さんクラスで無酸素でエベレスト、しかも今回は途方もなく困難な「南西壁」を登るなんて無謀極まりないでしょう。ノーマルルートは70歳80歳のおじいさんでも酸素があれば登頂可能で、年間3桁の人が登頂するんですが、彼は南西壁と比べたら天国のそのノーマルルートすら登頂できていなかった。周りが勇気をもらっただのなんだのと煽り立てたために辞められなくなったんじゃないですかね。そうした期待に無理して応えようと登れもしていないのに目標ばかり高め危険を招いていたとしたらとても残念。ノーマルルートでボンベ背負って登頂では「すごい」なんてならないからでしょう。今回もAbemaで中継予定があったとか。だから無理して頑張る。体調が悪化してももしかしたら回復するかと思って頑張る、それが危険を高めてしまう。過剰な応援やメディアのスポンサードというのは問題ありでしょう。そして実力を遥かに超え、安全に配慮しないチャレンジはチャレンジでない。」
このコメントを見て、忘れてしまったが、豪州映画だったような気がするが、機内映画。悪天候の中、これが最後という登山家に下山を説得できなく一緒に登頂して死亡してしまうストーリーであった。

シガツェまで青蔵鉄道が完成すれば、多くの登山家が押し掛けるであろう。医学も進歩し、バックアップ体制も整うから、日本の観光研究者が得意な、チョモランマ・ツーリズムという言葉もできるかもしれない。自論を唱えれば、ヒマラヤも日常と非日常が相対化して、フロンティアがまた一つなくなってゆくのである。

〇 アクサイチン(ラダック)

カシミール問題 | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス

アクサイチンは、中華人民共和国、インド及びパキスタンの国境が交差するカシミール地方にある、3万7244平方キロメートルのインド・中国の国境係争地域。1962年の中印国境紛争の結果、中国により実効支配されているが、現在もインドが領有権を主張している。インド側の呼称はラダックである。 清とイギリスの国境争いから続いている問題でもある。

中国は1950年代半ばにはアクサイチンの東部にタリム盆地とチベットを結ぶ道路を建設してしまっている。インドもイギリス時代のアバウトな国境を勝手に解釈して国境警備所をつくったりして起こったのが1962年の中印国境紛争。人民解放軍は圧倒的に勝っている間にとっとと撤退、一方的に「実際支配線」(Line of Actual Control – Wikipedia)から20km兵を下げる事を宣言しインドにも下げるよう要求。以後その線が中国とインドの事実上の国境となる。

ラダックはNHKのDVDによりみることができ、ユーラシア旅行社のツアーも行われている。文化圏と国境が一致しないのである。

🌍🎒シニアバックパッカーの旅 2022年9月8日 🏳‍🌈㊷カシミール ラダック、レー 

関連記事

no image

日経新聞2019年5月18日見出し「池袋暴走の87歳、ミス否定 「ブレーキ踏んだ」説明」へのTanaka Yukoh氏のNewspicksのコメントが秀逸ですが、イイネは少ないです。紹介します。

大変痛ましく残念な事件ですが。ただ、こういうのは御遺族もおられる事ですから、どうぞ冷静に。

記事を読む

no image

文化人類学で読み解く北朝鮮社会  伊藤亜人  公研 2017年10月号No.650

韓国人がなぜ、国内海外を含めてあれほど旅行をするのか考えていたが、一つの答えが見つかったような気がす

記事を読む

歴史認識と書評『暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏 』長谷川毅

日本降服までの3ヶ月間を焦点に、米ソ間の日本及び極東地域での主導権争いを克明に検証した本。

記事を読む

『弾丸が変える現代の戦い方』二見龍 照井資規 誠文堂新光社 2018年

本書は、今までほとんど語られてこなかった弾丸と弾道に焦点を当てた元陸上自衛隊幹部と軍事ジャーナリ

記事を読む

no image

『生成文法』書評

「人間の言語習得は知性の獲得を証明するものではなく、単に種の進化の延長であるーー。」はじめてこの

記事を読む

no image

『戦争を読む』中川成美 「文学は戦争とともに歩む」は観光も戦争とともに歩む?

もし文学が、人間を語る容れ物だとしたら、まさしく文学は戦争とともに歩んだのである。しかし、近代以降の

記事を読む

no image

『昭和史』岩波新書青本  恐慌の影響で、朝鮮人(日本国籍がある)の満州移住が増加したが、中国側は日本の手先と見て敵視 奉天の柳条溝で満州事変  この頃からメディアも変わる

26年と30年を比較すると中国(満蒙含む)の輸出入貿易額に占める対日貿易額の占める割合は低下した

記事を読む

no image

『「食べること」の進化史』石川伸一著 フードツーリズム研究者には必読の耳の痛い書

食べ物はメディアである 予測は難しい 無人オフィスもサイバー観光もリアルを凌駕できていない 

記事を読む

no image

ニクァラグア手話 聴覚障害の子どもたちが手話を作り出すまで 

https://youtu.be/qG2HjmG0JGk https://www.bbc

記事を読む

no image

Quora 英語は文字通り発音しない単語が多い理由は、ペストの流行が原因?

Shiro Kawaiさんの名回答 1400年頃までの中英語(Middle English)

記事を読む

PAGE TOP ↑