*

「北朝鮮の話」 平岩俊二 21世紀を考える会 10月13日 での講演

公開日: : 最終更新日:2023/05/28 出版・講義資料, 歴史認識, 軍隊、戦争

平岩氏の話である。

日本で語られる金ジョンウンのイメージは韓国発のイメージが強い。そのことは私も北朝鮮旅行から帰ってきてテレビのワイドショーで強く感じることであった。
北朝鮮に関するアメリカ政府が発してきた話も違ってきている。このことはアフガン、イラク等でも同じであるから、ブッシュジュニアの罪は重たいのではないか。
北朝鮮に、「妙な成功体験」を感じさせていると平岩氏は語る。

中国政府は、今は北朝鮮問題はアメリカの問題としているが、いずれまたアメリカは中国を頼ってくると思っている。
北朝鮮は核拡散防止条約に入っていたから、例外のインドのモデルには該当しないが、条約脱退したのだから核保有がなぜできないのかとおもっている。

韓国との関係では、韓国が李大統領暗殺、汚職等で、北朝鮮が優位に立っていたのに、
80年モスクワオリンピック、84年ロサンジェルスオリンピックは、アメリカ、ソ連のボイコットのあと、ソウルオリンピックを成功させ、劣位になってしまった。

あせって、ラングーンでのテロや、大韓航空機爆破事件を引き起こし、テロ国家のレッテルが張られてしまった。
その過程で、日本語教育をした田口八重子さんの存在が明らかになり、拉致被害者問題が今日に続くことになった。

ソ連崩壊後、韓国は中国、ロシアと国交を持ち、逆に、北は核の傘がなくなってしまった。
天安門事件では軍は共産党支持、ルーマニアでは軍は支持しなかった。この結果をみて、北では軍を重視して、先軍政治を始めたのである。

国連の経済制裁は中国が抜け穴になっている。制裁から民生品は除外されているが、書類に民生品と書けば免除されるようだ。
中国全体では北朝鮮はウェイトは大したことはない、しかし、東北三省と北朝鮮は経済的に相互依存体制ができている。
一つの省が経済規制をしても、残りの省がその穴を埋めて北と取引してしまう。
(戦前日本政府は、当時日本人であった朝鮮族を満州に大量に移住させたから、その結果、今の体制ができたのであろうと私は思った。)

韓国とケソン特別区の関係も同じで、制裁の跳ね返りが出てくるのである。
韓国情報によれば北朝鮮は経済成長しているが、これからは対外協調が必要になるであろう。
対話路線のため北朝鮮は、アメリカを引っ張り込むため5回目の核実験をした。
何しろ世界で十番目の衛星打ち上げのできる技術を持つ国に北朝鮮はなった。

韓国は、中国に裏切られたと思っている。李大統領が日米が反対するにも中国共産党式典に参加したにもかかわらず、反応がないからだ。
そのため韓国は北への直接働きかけをはじめ、脱北を進めている。
私も、なるほど最近脱北者が出ているのはそのことが原因しているのかとおもった。

北朝鮮は、今、先軍政治によって形成された軍の利権から共産党への利権への移行をはかっている。
それをチャンソッテクが横取りしようとして粛清された。彼は粛清されることを予測できなかった。
近時の粛清されている権力者もチャンソッテクと同類であり、思い当たることのある人たちである。

利権を取られる軍が黙っているのは、80代のシニアクラスが抑えているからである。
若者を中心に治安担当の官僚組織がしっかりしている。金ジョンウンをうまく操っている。
それでなければ、ロケット打ち上げや核開発など国を挙げてはできない。

中国から見て北朝鮮は、あってもなくても困る存在。
北とアメリカで緊張が起きれば困るが、バッファーゾーンがなくなっても困る。

アメリカは、北でプルトニウム型ではなく濃縮ウラン型の核が出てくるのは困る。
これからどうなるか。

関連記事

no image

世界の運営を米国でなく中露に任せる 2023年6月7日  田中 宇

https://tanakanews.com/230607armenia.htm 5月25日、

記事を読む

no image

田岡俊二さんの記事 陸軍は「海軍の方から対米戦争に勝ち目はない、と言ってもらえまいか」と内閣書記官長(今の官房長官)を通じて事前に働きかけた。だが、海軍は「長年、対米戦準備のためとして予算をいただいて来たのに、今さらそんなことは言えません」と断り、日本は勝算のない戦争に突入した。

昔、国際船舶制度の件でお世話になった田岡俊二さんの記事が出ていたので、面白かったところを抜き書き

記事を読む

no image

『日本軍閥暗闘史』田中隆吉 昭和22年 陸軍大臣と総理大臣の兼務の意味

人事局補任課長 武藤章 貿易省設置を主張 満州事変 ヤール河越境は 神田正種中佐の独断

記事を読む

no image

『国債の歴史』(富田俊基著2006年東洋経済新報社)を読んで

標記図書を読み、あとがきが要領よくまとめられていた。財政に素人の私には、非常に参考になる。 要約す

記事を読む

no image

QUORAにみる歴史認識 伊藤博文公は、当初朝鮮併合に関しては反対だったって話ですが、実際は如何でしょうか?

伊藤博文公は、当初朝鮮併合に関しては反対だったって話ですが、実際は如何でしょうか?

記事を読む

脳科学 ファントムペイン

四肢の切断した部分に痛みを感じる、いわゆる幻肢痛(ファントムペイン)は、脳から送った信号に失った

記事を読む

『公共貨幣論入門』山口薫、山口陽恵

MMT論の天敵 Amazonの書評(注 少し難解だが、言わんとするところは読み取れ

記事を読む

no image

筒井清忠『戦前のポピュリズム』中公新書

p.108 田中内閣の倒壊とは、天皇・宮中・貴族院と新聞世論が合体した力が政党内閣を倒した。しかし、

記事を読む

no image

動画で考える人流観光学 リーマン予想  素数

  ゲーテルの不確定性原理 https://youtu.be/hEG1cWJD

記事を読む

no image

『動物の解放』ピーターシンガー著、戸田清訳

工場式畜産 と殺工場 https://www.nicovideo.jp/watch

記事を読む

no image
ロシア旅行の前の、携帯wifi準備

https://tanakanews.com/251206rutrav

no image
ロシア旅行 田中宇

https://tanakanews.com/251205crimea

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

→もっと見る

PAGE TOP ↑