*

『一人暮らしの戦後史』 岩波新書 を読んで

公開日: : 最終更新日:2023/05/28 出版・講義資料

港図書館で『一人暮らしの戦後史』を借りて読んでみた。最近の本かと思いきや1975年発行であった。

戦前の女性が、戦争で男性が減少した結果、未亡人になったり独身のまま戦後を生きてきたことがテーマになっている。
私が社会に出たころは、母親世代が働いていたから、実感もある。敦賀の義理の伯母は、沖縄線で伯父をなくしているから、戦争未亡人でもあった。
(沖縄戦は、兵士が不足し、年配者の伯父にまで徴兵がかかってきたのである。サイパン陥落後の太平洋戦争の末期に大半が死亡しているのは、戦争指導者の大きな責任であり、日本人自身が戦犯問題を処理すべきことでもあった)。

面白い記述は「スーパーマーケットに買い物に行ったときなど、一人で暮らしていていけないのかと叫びたくなる」というご婦人の話であった。「食料品を買うにも四人家族用のパックばかり。こうした商習慣から社会制度、ものの考え方まで家族単位に出来上がっており、一人暮らしの立場というのは考えられていない」
「日本人の結婚率は世界でも極めて高く、アメリカ、韓国に次いで三番目である。西欧では独身主義の風潮が強く、生涯に一度も結婚しない人が人口の一割もいるのに比べて、日本人は大変な結婚好きで、50歳までに98%は結婚するという」

しかし、国民皆結婚社会になったのは戦前のことで、江戸時代まではそんなことはなかったはずだ。

関連記事

no image

Quora 英語は文字通り発音しない単語が多い理由は、ペストの流行が原因?

Shiro Kawaiさんの名回答 1400年頃までの中英語(Middle English)

記事を読む

no image

筒井清忠『戦前のポピュリズム』中公新書

p.108 田中内閣の倒壊とは、天皇・宮中・貴族院と新聞世論が合体した力が政党内閣を倒した。しかし、

記事を読む

『日本語スタンダードの歴史』野村剛士は、「日本の話しことばについて」『現代国語三』所収 木下順二著1963年を否定

私の自説に、日常と非日常が相対化しており、観光資源もあいまいになってきているというアイデアがある

記事を読む

『飛躍への挑戦』葛西敬之著

図書館で取り寄せて読んだ。国鉄改革については、多くの公表著作物に加え、これからオーラルヒストリが世

記事を読む

no image

『AI言論』西垣通 神の支配と人間の自由

人間を超越する知性  宇宙的英知を持つ機械など人間に作れるか 人間は20万年くらい前に生物進

記事を読む

no image

明治維新の評価 『経済改革としての明治維新』武田知弘著

明治時代の日本は世界史的に見て非常に稀有な存在である。19世紀後半、日本だけが欧米列強に対抗し

記事を読む

no image

QUORAに見る観光資源 日本から出たことがないのでわからないのですが、日本は本当に治安が良いのですか?松本 貴典 (Takanori Matsumoto),

日本から出たことがないのでわからないのですが、日本は本当に治安が良いのですか?松本 貴典 (Tak

記事を読む

任文桓『日本帝国と大韓民国に仕えた官僚の回想』を読んで

まず、親日派排斥の韓国のイメージが日本で蔓延しているが、本書を読む限り、建前としての親日派排除はなく

記事を読む

鬼畜米英が始まったのは、1944年からの現象 岩波ブックレット「日本人の歴史認識と東京裁判」吉田裕著

靖国神社情報交換会に参加した。歴史認識は重要な観光資源であるとする私の考えに共鳴されたメンバーの

記事を読む

no image

『永続敗戦論  戦後日本の核心』、『日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルトの罪状・フーバー大統領回顧録を論ず』『英国が火をつけた「欧米の春」』の三題を読んで

「歴史認識」は観光案内をするガイドブックの役割を持つところから、最近研究を始めている。横浜市立大学論

記事を読む

no image
ロシア旅行の前の、携帯wifi準備

https://tanakanews.com/251206rutrav

no image
ロシア旅行 田中宇

https://tanakanews.com/251205crimea

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

→もっと見る

PAGE TOP ↑