*

『AI言論』西垣通 神の支配と人間の自由

公開日: : 最終更新日:2023/05/29 出版・講義資料, 脳科学と観光

人間を超越する知性  宇宙的英知を持つ機械など人間に作れるか

人間は20万年くらい前に生物進化の中で偶然出現した哺乳類で、身体能力も知覚能力も高くないが、大脳皮質だけは異常に発達している。そういう偏った制限付きの身体を持って地球環境の中で生き抜くためのツールが本来、人知というもの

シンギュラリティ仮説 まるでAIが至高神のもつ普遍的な絶対知を実現してくれるかのようだ

AIが人知を代替するというならまだ理解できる

現代哲学の主流の議論を踏まえるならば、我々人間は世界の事物そのものには直接アクセスできず、間主観的に、つまり主観同士の相互すり合わせによる合意形成によって、分析や記述を行っていることになる

AIが目指すの、人間が生きるための実践的な生命知なのか、それとも普遍的真理にたる絶対知なのか(形而上学的)

前者だというのは一神教の伝統のない日本人にも受け入れやすいが、身体も持たず生きていない機会に生存目的の知が宿るはずがない

実践的か、理論的を棚上げして、何らかの目的に使われる「手段ないし技術」を指す概念としてAIを定義する 翻訳、運転  

残念ながら不明確 目的と手段は簡単には区別できず、相互に絡み合って一体となっている

心が脳で決定されると決めつけるのは、観察者を無視した単純な議論

しかし一神教の欧米ではかなり事情が異なる。シンギュラリティ仮説を支持する言葉の奥に、瞠目するほど鋭い知性のきらめきが感じられることも少なくない。

三位一体の解説は、佐藤優氏の解説では、ギリシャ語からラテン語への翻訳のあやまりからきているとしているので、西垣氏の解説はそれを前提に読むと思しろい。

関連記事

no image

「元号と伝統」横田耕一 学士會会報No.937pp15-19

元号の法制化に求めた人々に共通する声は元号は「日本文化の伝統である」というものだった。 一世

記事を読む

『眼の誕生』アンドリュー・パーカー 感覚器官の進化はおそらく脳よりも前だった。脳は処理すべき情報をもたらす感覚器より前には存在する必要がなかった

眼の発達に関して新しい役割を獲得する前には、異なった機能を持っていたはず しエダア

記事を読む

『プロヴァンスの村の終焉』上・下 ジャン=ピエール・ルゴフ著 2017年10月15日

市長時代にピーターメイルの「プロヴァンスの12か月」読み、観光地づくりの参考にしたいと孫を連れて南仏

記事を読む

no image

『生成文法』書評

「人間の言語習得は知性の獲得を証明するものではなく、単に種の進化の延長であるーー。」はじめてこの

記事を読む

no image

聴覚   空間の解像度は視覚が強く、時間の分解度は聴覚が強い。人間の脳は、より信用できる方に重きを置いて最終決定する

人間の脳は、より信用できる方に重きを置いて最終決定する 聴覚が直接情動に訴えかけるのは、大脳皮質

記事を読む

冒険遺伝子(移動しようとする遺伝子) 『科学技術のフロントランナーがいま挑戦していること』川口淳一郎監修 

P.192 高井研 ドーパミンD4受容体7Rという遺伝子 一時期「冒険遺伝子」として注目された 

記事を読む

書評『シュリューマン旅行記 清国・日本』石井和子訳

日本人の簡素な和式の生活への洞察力は、ベルツと同じ。宗教観は、シュリューマンとは逆に伊藤博文等が

記事を読む

no image

三谷太一郎『日本の近代とは何であったか』なぜ日本に政党政治が成立したのか

1 なぜ日本に政党政治が成立したのか (これまではなぜ政党政治は短命に終わったかを論じてきた)

記事を読む

no image

御手洗大輔「示威の自由に関する日中比較と日本人の課題」

『横浜市立大学論叢』第68巻社会科学系列2号 御手洗大輔「示威の自由に関する日中比較と日本人の課題」

記事を読む

no image

旅資料 安田純平『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』集英社新書

p.254「戦火のイラクに滞在し、現地の人々の置かれた状況を考えれば自分の拘束などどういうことでも

記事を読む

PAGE TOP ↑