『AI言論』西垣通 神の支配と人間の自由
人間を超越する知性 宇宙的英知を持つ機械など人間に作れるか
人間は20万年くらい前に生物進化の中で偶然出現した哺乳類で、身体能力も知覚能力も高くないが、大脳皮質だけは異常に発達している。そういう偏った制限付きの身体を持って地球環境の中で生き抜くためのツールが本来、人知というもの
シンギュラリティ仮説 まるでAIが至高神のもつ普遍的な絶対知を実現してくれるかのようだ
AIが人知を代替するというならまだ理解できる
現代哲学の主流の議論を踏まえるならば、我々人間は世界の事物そのものには直接アクセスできず、間主観的に、つまり主観同士の相互すり合わせによる合意形成によって、分析や記述を行っていることになる
AIが目指すの、人間が生きるための実践的な生命知なのか、それとも普遍的真理にたる絶対知なのか(形而上学的)
前者だというのは一神教の伝統のない日本人にも受け入れやすいが、身体も持たず生きていない機会に生存目的の知が宿るはずがない
実践的か、理論的を棚上げして、何らかの目的に使われる「手段ないし技術」を指す概念としてAIを定義する 翻訳、運転
残念ながら不明確 目的と手段は簡単には区別できず、相互に絡み合って一体となっている
心が脳で決定されると決めつけるのは、観察者を無視した単純な議論
しかし一神教の欧米ではかなり事情が異なる。シンギュラリティ仮説を支持する言葉の奥に、瞠目するほど鋭い知性のきらめきが感じられることも少なくない。
三位一体の解説は、佐藤優氏の解説では、ギリシャ語からラテン語への翻訳のあやまりからきているとしているので、西垣氏の解説はそれを前提に読むと思しろい。
関連記事
-
書評『日本社会の仕組み』小熊英二
【本書の構成】 第1章 日本社会の「3つの生き方」第2章 日本の働き方、世界の働き方第3章
-
「世界最終戦論」石原莞爾
石原莞爾の『世界最終戦論』が含まれている『戦略論体系⑩石原莞爾』を港区図書館で借りて読んだ。同書の
-
書評 渡辺信一郎『中華の成立』岩波新書
ヒトゲノム分析によれば、山東省臨̪淄の遺跡 2500年前の人類集団は現代欧州と現代トルコ集団の中間
-
QUORA 李鴻章(リー・ホンチャン=President Lee)。
学校では教えてくれない大事なことや歴史的な事実は何ですか? 李鴻章(リー・ホンチャン=Pre
-
平野聡『「反日」中国の文明史 (ちくま新書) 』を読んで
平野聡『「反日」中国の文明史 (ちくま新書) 』に関するAmazonの紹介文は、「中国は雄大なロ
-
『鎌倉時代の交通』新城常三著 吉川弘文館
交通史の泰斗新城常三博士の著作物をはじめて読む。『社寺参詣の社会経済史的研究』が代表作であるが、既
-
生涯弁護人事件ファイル2 広中惇一郎
第一章 報道が作り出す犯罪 安部英医師薬害エイズ事件 アメリカの人気番組 LAW &
-
『インバウンドの衝撃』牧野知弘を読んでの批判
題名にひかれて、麻布図書館で予約をして読んでみた。2015年10月発行であるから、爆買いが話題の時代
-
書評『ペストの記憶』デフォー著
ロビンソン・クルーソーの作者ダニエル・デフォーは、17世紀のペストの流行に関し、ロンドン市長及び
-
塩野七生著『ルネサンスとは何であったのか』
後にキリスト教が一神教であることを明確にした段階で、他は邪教 犯した罪ごとに罰則を定める 一
- PREV
- 観光資源と伝統 『大阪的』井上章一著
- NEXT
- 『日本が好きすぎる中国人女子』桜井孝昌