『中国はなぜ軍拡を続けるのか』阿南友亮著
第40回サントリー学芸賞(政治・経済部門)受賞!
第30回アジア・太平洋賞特別賞受賞!
何故「軍拡」か。
第一義的には、共産党独裁体制存続のためのコストである。用心棒代である。
貧弱であっても、威嚇・恫喝・牽制の手段とはそれなりになる。
そして、軍需産業は、共産党幹部や軍幹部の既得権となっている。軍拡は、金の生る木である。
鄧小平の「誤算」と「軍拡の底なし沼」とは――?
共産党独裁の「暴力依存」構造を解き明かす。
日本がいかに誠実な対応を取ろうとも、どれだけ経済的相互依存を深めようとも、中国共産党はこの先も軍拡を続けるし、いつか武力衝突に発展する危険性がある。それはなぜか――? 人民解放軍の分析を長年にわたり続けてきた気鋭の中国研究者が、一党独裁体制における政軍関係のパラドックスを構造的に解き明かし、対中政策の転換を迫る決定的論考。
「あとがき」に書いてありますが、
革命の聖地とされる延安に向かう途中で寄った村では村に水道さえなく、天秤棒で重い水くみ水運びが日々の欠かせない重労働。
著者はこう訊きます。「共産党の革命を支えた地の農民たちがいまだに水にすら困っていることをどう思うか?」
農民の答えは、「革命をやっても苦しさが変わらないのなら、これからも変わらないさ」
関連記事
-
-
書評 渡辺信一郎『中華の成立』岩波新書
ヒトゲノム分析によれば、山東省臨̪淄の遺跡 2500年前の人類集団は現代欧州と現代トルコ集団の中間
-
-
電力、情報、金融の融合
「ブロックチェーンとエネルギーの将来」阿部力也 公研2019No673 電気の値段は下がって
-
-
『シュリューマン旅行記』 清国・日本 日本人の宗教観
『シュリューマン旅行記 清国・日本』石井和子訳 シュリューマンは1865年世界漫遊の旅に出か
-
-
Quoraに見る歴史認識 太平洋戦争(大東亜戦争)は侵略戦争だったのでしょうか?
侵略には外交用語として明確な定義があります。計画に基づいて軍事作戦を先制発動することです。
-
-
地域観光が個性を失う理由ー太田肇著『同調圧力の正体』を読んでわかったこと
本書で、社会学者G・ジンメルの言説を知った。「集団は小さければ小さいほど個性的になるが、その集団
-
-
保護中: 『from 911/USAレポート』第827回 「アベノミクスの功罪と出口シナリオ」冷泉彰彦 これだけ識字率と基礎算術と社会性の訓練を受けた分厚い人口を抱えた大国が、利幅が薄く労働集約型の観光業を主要産業とするという、どう考えても悲劇的な産業構造に追い詰められた、これは7年半にわたって改革に消極であったことのツケにしても、随分と妙な方向になったと思います
結果的に、これだけ識字率と基礎算術と社会性の訓練を受けた分厚い人口を抱えた大国が、利幅が薄く労働
-
-
『パッケージツアーの文化史』吉田春夫 草思社
港区図書館の新刊本コーナーにあり、さっそく借り出して読んだ。JTBでの実務経験が豊富な筆者であり、
-
-
『ざっくりとわかる宇宙論』竹内薫
物理学的に宇宙を考察すればするほど、この宇宙がいかに特殊で奇妙なものかが明らかになる。マルチバー
-
-
『芸術を創る脳』酒井邦嘉著
メモ P29 言葉よりも指揮棒を振ることがより直接的 P36 レナードバースタイン 母校ハー
-
-
ふるまいよしこ氏の尖閣報道と観光
ふるまいよしこさんの記事は長年読ませていただいている。 大手メディアの配信する記事より、信頼できる
- PREV
- 『カシュガール』滞在記 マカートニ夫人著 金子民雄訳
- NEXT
- 格差社会と階級社会
