『庶民と旅の歴史』新城常三著
公開日:
:
最終更新日:2021/08/05
出版・講義資料
新城 常三(1911年4月21日- 1996年8月6日)は、日本の歴史学者。交通史を専門とした。1961年、「社寺参詣の社会経済史的研究」により、東京大学から文学博士の学位を授与される。1983年、『新稿社寺参詣の社会経済史的研究』で角川源義賞受賞。新稿社寺参詣の社会経済史的研究 塙書房 1982.5 本書が財団日本交通公社の「一度は読みたい観光研究書&実務書100選」に選ばれていないのは残念である。
旅と交通。旅はかつては、人の移動のみならず、広く運輸通信も含んでいた。陸上では、運輸も通信も人自身の移動=旅とともに果たされていたからである。
田中丘隅『民間省要』士農工商 主君の命に従っての旅行、生活のための旅、信仰のための旅、慰めのための遊山旅
ケンペルが当時の東海道の賑わいに、欧州大都会よりもにぎわっているという
中世の旅 中世の関所は古代や近世と異なり、交通税徴収のためのもの、大阪と京都間の淀川に660か所の関所、回族、山賊 信長、秀吉の統治で廃止になる。
病気治療の大義名分には勝てず、温泉行き等は認めていた。しかし、湯治や医療は、近距離の遊山旅の口実とはなっても、長期にわたる上方見物などに利用することは不向き。長期遠隔の旅の名目として、社寺参詣。これを抑制することは幕府も諸藩もできなかった。
「伊勢参り、大明神へもちょっとより」
隠れ念仏 封建領主の禁圧、薩摩藩等の真宗弾圧 隠れキリシタンと同じ潜伏門徒として明治維新まで継続
中世を通じ旅行界、参詣界に君臨していた武士は、江戸時代に入り、旅からは影を潜めた。
旅のシーズンは、農閑期1~3月、四月以降の旅行者の大半は、農村の有力者、商人、町民
抜け参りは伊勢特有の現象 身分的な桎梏を切断 婦女子、使用人 乞食巡礼

関連記事
-
-
『カシュガール』滞在記 マカートニ夫人著 金子民雄訳
とかく甘いムードの漂うシルクロードの世界しか知らない人には、こうした動乱の世界は全く想像を超えるも
-
-
『外国人労働者をどう受け入れるか』NHK取材班を読んで
日本とアジアの賃金格差は年々縮まり上海などの大都市は日本の田舎を凌駕している。そうした時代を読み違え
-
-
『QUORA 日本人の賃金が30年間増えなかった理由』vs 渡辺努東大教授の「物価と賃金の心地よい状態」説
渡辺努「世界と日本の物価に何が」2022年12月13日 (火) https://www.nhk
-
-
地域観光が個性を失う理由ー太田肇著『同調圧力の正体』を読んでわかったこと
本書で、社会学者G・ジンメルの言説を知った。「集団は小さければ小さいほど個性的になるが、その集団
-
-
戦略論体系⑩石原莞爾(facebook2021年5月23日投稿文)「極限まで行くと、戦争はなくなるが、闘争心はなくならないので、国家単位の対立がなくなるという。」
石原莞爾の『世界最終戦論』が含まれている『戦略論体系⑩石原莞爾』を港区図書館で借りて読んだ。同書の存
-
-
『江戸のパスポート』柴田純著 吉川弘文館
コロナで、宿泊業者が宿泊引き受け義務の緩和に関する政治的要望を行い、与党も法改正を行うことを検討
-
-
「第3章 流入する他所者と飯盛女」武林弘恵著『旅と交流に見る近世社会』清文堂
旅と交流にみる近世社会 高橋陽一 編著
-
-
『サカナとヤクザ』鈴木智彦著 食と観光、フードツーリズム研究者に求められる視点
築地市場から密漁団まで、決死の潜入ルポ! アワビもウナギもカニも、日本人の口にしている大
-
-
『起業の天才 江副浩正 8兆円企業を作った男』大西康之
父親の縁で小運送協会が運営していた学生寮に大学1,2年と在籍していた。その時の一年先輩に理科二類
-
-
『公共貨幣論入門』山口薫、山口陽恵
MMT論の天敵 Amazonの書評(注 少し難解だが、言わんとするところは読み取れ
- PREV
- 『富嶽旅百景』青柳周一 観光地域史の試み
- NEXT
- 『フクシマ戦記 上・下』船橋洋一 菅直人の再評価
