観光資源と伝統 『大阪的』井上章一著
今年も期末試験問題の一つに伝統は新しいという事例を提示せよという問題を出す予定。井上章一氏の大阪伝にも、大阪の観光資源の大半が後で作られているという事例が山積している。なお井上章一氏の著書で印象に残っているのは桂離宮論とラブホテル論です。はやり建築家ですからね。
ステレオタイプ化された大阪像の謎を解く
大阪と聞いて何を思いうかべるだろうか?芸人顔負けのおばちゃん、アンチ巨人の熱狂的阪神ファン、ドケチでがめつい商売人…これらは東京のメディアが誇張し、大阪側も話を盛ってひろがった、作り物の大阪的イメージだ。「おもろいおばはん」の登場は予算のない在阪局が素人出演番組を安く量産した結果だし、阪神戦のテレビ中継がまだない一九六〇年代、甲子園球場は対巨人戦以外ガラガラだった。ドケチな印象もテレビドラマが植えつけたもので、「がめつい」は本来、大阪言葉ではなかった。多面的な視点から、紋切型の大阪像をくつがえす。
●かつて関西人は、阪神より巨人を応援していた
●大阪エロの象徴だったストリップと「ノーパン喫茶」
●阪急神戸線に美人が多いのはなぜか
●「食いだおれの街」代表がタコ焼きなんて……
●「接待は京都で」のせつなさ
●「大化の改新」の舞台は大阪だと知っていますか?
●信長・秀吉の時代は「安土大阪時代」がふさわしい
●昔の大阪を「大坂」と書く必要はない
●金とエロの話の時だけ大阪弁になる関東人
●鎖国がなければ、大阪弁は世界の公用語に?
●『白い巨塔』に見る大阪人の懐事情
●大阪は音楽の都だった ……ほか
関連記事
-
-
『帝国陸軍師団変遷史』藤井非三四著 メモ
薩長土肥による討幕が明治維新ということになっているが、なんと首都の東京鎮台本営に入った六個大隊のう
-
-
中国の観光アウトバウンド政策 公研No.675 pp45-46
倉田徹立教大学法学部教授 1997年にアジア通貨危機、2003年にSARS流行発生時、香港経
-
-
ジャパンナウ観光情報協会機関紙138号原稿『コロナ禍に一人負けの人流観光ビジネス』
コロナ禍でも、世界経済はそれほど落ち込んでいないようだ。PAYPALによると、世界のオンライン
-
-
『インバウンドの衝撃』牧野知弘を読んでの批判
題名にひかれて、麻布図書館で予約をして読んでみた。2015年10月発行であるから、爆買いが話題の時代
-
-
マザーテレサ 歴史は後から作られる例
マザーテレサについて、ウィキペディアは、正反対の記事を二つ載せている。 スコピオを旅行したと
-
-
QUORAにみる歴史認識 アルメニア虐殺
アルメニア虐殺の歴史的背景はあまり知らてないように思いますが、20世紀の悲惨な虐殺の一ページとし
-
-
『プロヴァンスの村の終焉』上・下 ジャン=ピエール・ルゴフ著 2017年10月15日
市長時代にピーターメイルの「プロヴァンスの12か月」読み、観光地づくりの参考にしたいと孫を連れて南仏
-
-
書評『我ら見しままに』万延元年遣米使節の旅路 マサオ・ミヨシ著
p.70 何人かの男たちは自分たちの訪れた妓楼に言及している。妓楼がどこよりも問題のおこしやすい場
-
-
『二・二六帝都兵乱』アマゾンの書評
著者は軍制、軍事面からアプローチしていると言っているが、それだけではない。当時の社会の通念、雰囲
-
-
朝河寛一とアントニオ猪木 歴史認識は永遠ではないということ
アントニオ猪木の「訪朝」がバカにできない理由 窪田順生:ノンフィクションライター経営・戦略情