観光資源としての明治維新
公開日:
:
最終更新日:2018/01/17
観光資源
NHKの大河ドラマは、源平合戦、関ケ原の戦い、明治維新が三大テーマのように思うが、観光資源としての価値は明治維新が最大で、鹿児島県、山口県は言うに及ばず、高知県も京都市も明治維新資源でビジネスをしているようなものである。寺田屋事件、松下村塾などがテロ事件のイメージで取り上げられることはないし、城山も反乱軍のイメージではない。史実か否かは別として、ここが日本人にとっては南京事件などと大きく違うのであり、大河ドラマにならないのであろう。
石光真人著『ある明治人の記録』で柴五郎の遺書等をよめば、明治維新観も変化する。会津人であるから、その分は割引もあろうが、福沢諭吉のように、維新そのものの歴史的意義をあまり認めず、廃藩置県に重要性を求めている。
観光資源としての評価は、史実とは異なるが、学会の主流見解が一般化すれば大きく影響する。西郷隆盛のイメージが変わればそれを補うものがなければ、鹿児島県の観光資源価値は減少することは間違いがない。坂本龍馬が教科書から消えれば、清水の次郎長を若者が知らないのと同じことになる。そう思って観光資源論を考えるべきなのであろう。
関連記事
-
大衆軍隊出現の意味 三谷太一郎講演メモ 学士会報2018-Ⅳ
226事件は、天皇の統帥権の名目化 軍隊の大衆化 軍隊内の実権は将官、佐官、尉官へと下降した
-
『カジノの歴史と文化』佐伯英隆著
IRという言葉の曖昧さ p.198 シンガポールにしても、世界から観光客を集める手法として、
-
『ピカソは本当に偉いのか?』西岡文彦 新潮新書 2012年 を読んで
錯覚研究会での発表に備えて読んでみた。演題が「ピカソの贋作は本物を超えるか」としたため、慌てて読んで
-
『枕草子つづれ織り 清少納言奮闘す』土方洋一 紙が貴重な時代は、日記ではなく公文書
団塊の世代が義務教育時代に学修したことの一部が、その後の研究により覆されている。シジュウカラが言
-
『「鎖国」という外交』ロナルド・トビ 2008年 小学館 メモ 歴史は後から作られる
ロナルド・トビさんは、江戸時代から日本には「手放し日本文化礼賛論」があったことを説明し、富岳遠望奇譚
-
畑中三応子著『ファッションフードあります』日本食は変化が激しい。フードツーリズムに法則があるのか?
ティラミス、もつ鍋、B級グルメ……激しくはやりすたりを繰り返す食べ物から日本社会の一断面を切り
-
『動物たちの悲鳴』National Geographic 2019年6月号
観光と動物とSNS https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/m
-
『素顔の孫文―国父になった大ぼら吹き』 横山宏章著 を読んで、歴史認識を観光資源する材料を考える
岩波書店にしては珍しいタイトル。著者は「後記」で、「正直な話、中国や日本で、革命の偉人として、孫文が
-
天児慧著『中国政治の社会態制』岩波書店2018を読んで
中国民族は概念としては梁啓超以来使われていたが実体のないものであった。 それを一挙に内実化し実体を
-
動画で考える人流観光学 観光資源論 宇宙旅行
https://youtu.be/KpGnwLiTYj8 https://youtu.be/a