*

伝統は後から作られる例 関西は阪神フアンという伝統

これも学士會会報の記事、何時も面白い話をしてくれる井上章一氏の「ゆがめられた関西像」

戦後しばらく関西では巨人が大人気だった。映像記録を見ると1962年阪神が優勝を決めた当日の甲子園球場はガラガラであったそうだ。阪神電鉄の鉄道輸送記録や付帯収入も調べてみると面白いかもしれない。阪神フアンが増えたのはごく近年の現象なのだそうだ。ほとんどの子が巨人の帽子をかぶりあとは数名、南海の帽子をかぶっていた。

戦前は、人々は地元のライバル会社の大戦に興味を持った。「反東京」「反読売」という考え方にあおられる客はほとんどいなかった。
最初に「反巨人」に燃えたのは南海フアンだった。別所投手引き抜き事件の影響。1959年エース杉浦で日本一は私・寺前も子供頃で記憶があり、確かに阪神フアンは少なかったような気がする。私もテレビ中継がある巨人のフアンだったが、友達が「巨人フアンの野球知らず」といっていたことを思い出す。

新聞社の販売競争から二リーグ制が始まる。阪神は春の甲子園を毎日新聞に支えてもらっている恩義から、パリーグにゆく口約束をしていたが、セリーグに残留してしまった。怒った毎日新聞は阪神から有力選手を引き抜いた。この時に阪神フアンに「反毎日」感情が発生。まだ「反東京」ではなかった。

1959年の天覧試合、これも私はテレビで見た記憶がある。天覧試合の相手は阪神である必要はなかった。つまり巨人のライバルではなかった。その天覧試合の最終回、村山が長嶋のホームランでサヨナラ負けをしたことにより、「反巨人」の阪神フアンが誕生したと井上先生は解説されている。

「「あほらしいと思われることが、結構私たちを左右している」という信念のもと私はこれからもこうした研究を続けていきたいと思っています」と井上先生は締めくくっている。私も何時頃からか巨人も野球もどうでもよくなったが、伝統と思われていることが結構新しいということには相変わらず興味が尽きないのである。

関連記事

no image

田岡俊二さんの記事

昔、国際船舶制度の件でお世話になった田岡俊二さんの記事が出ていたので、面白かったところを抜き書き

記事を読む

no image

保護中: 『「おかげまいり」と「ええじゃないか」』 (岩波新書 青版 680) 藤谷俊雄著

観光学の観点から読んでみた。日本で楽しみの旅の概念がいつごろから発生したかを理解したいからである。

記事を読む

no image

『公研』 2018年2月号 「日本人は憲法をどう見てきたか?」

歴史は後から作られるの例である。 境家史郎氏と前田健太郎氏の対談 日本国民が最初から憲法九条

記事を読む

no image

読売新聞、朝日新聞記事に見る字句「ツーリズム」「観光」の用例

読売新聞の記事データベース「ヨミダス」及び朝日新聞の記事データベース「聞蔵Ⅱ」を活用して「ツーリスト

記事を読む

no image

渋滞学『公研』2019年4月 メモ

渋滞学 西成活裕 渋滞とは? 結局人の動き  法則性はあるのか? 空気や水と違って人間にはそれぞれ

記事を読む

no image

Nikita Stepanov からの質問

Nikita Stepanov (Saint-Petersburg State Polytechn

記事を読む

no image

錯聴 柏野牧夫

マスキング可能性の法則 連続聴効果 視覚と同様に、錯聴(auditory illusion)

記事を読む

no image

畑中三応子著『ファッションフードあります』日本食は変化が激しい。フードツーリズムに法則があるのか?

ティラミス、もつ鍋、B級グルメ……激しくはやりすたりを繰り返す食べ物から日本社会の一断面を切り

記事を読む

11月1日 チームネクスト合宿 in ニューヨーク 1日目

チームネクストでニューヨーク合宿を行った。メンバーにタクシージャパンの熊沢氏が参加されたので、ロンド

記事を読む

no image

梁山泊とダボス会議

ダボス会議を知らない人はいないくらい知名度が高くなった。従って安倍総理も出席するし、出席したがる人

記事を読む

no image
『動物たちの悲鳴』National Geographic 2019年6月号

観光と動物とSNS https://natgeo.nikkei

no image
ジャパンナウ原稿 人流大国・中国

 LCCの深夜便を利用して、1泊3日の南京(850万人)、蘇州(10

no image
中国の観光アウトバウンド政策公研No.675 pp45-46

倉田徹立教大学法学部教授 1997年にアジア通貨危機、2003

no image
聴覚   空間の解像度は視覚が強く、時間の分解度は聴覚が強い。人間の脳は、より信用できる方に重きを置いて最終決定する

人間の脳は、より信用できる方に重きを置いて最終決定する 聴覚が直接

no image
『本土の人間は知らないことが、沖縄の人はみんな知っていること』書籍情報社

p.236 細川護熙首相がアメリカ政府高官から北朝鮮の情勢が緊迫して

→もっと見る

PAGE TOP ↑