『「日本の伝統」の正体』
公開日:
:
最終更新日:2023/05/21
伝統・伝承(嘘も含めて), 出版・講義資料
現在、「伝統」と呼ばれている習慣の多くが明治時代以降に定着したと聞いたら驚く人も多いかもしれない。
例えば、喪服は黒色でなく、室町時代以降、江戸時代に入っても白色だったし、七五三は関東限定の地域イベントだった。正月の代名詞ともいえる初詣に至っては誕生したのは明治中期で、今、世間を揺るがしている相撲が「国技」と呼ばれ始めたのは国技館がつくられた明治末だ。
歴史が浅いから価値が下がるわけではない。重要なのは、「伝統」と呼ばれる習慣の背後にはビジネスや権威付けをもくろむ人間が存在するという視点を持つことだと著者は指摘する。「伝統」の二文字が大好きな日本人にとっては耳が痛い話も多い。本書を読むと、我々がいかに深く考えずに前例を踏襲しているかに気づかされるだろう。 「初詣」は江戸時代になかった? ★「江戸しぐさ」のいかがわしさ ★神前結婚式は古式ゆかしくない ★「古典落語」は新しい? ★恵方巻は、本当はいつからあったのか? ★アレもコレも「京都マジック」! ★初めて「卵かけご飯」を食べた男とは? ★サザエさんファミリーは日本の伝統か? ……一見、古来から「連綿と続く伝統」のように見えるしきたりや風習・文化。しかし中には、意外に新しい時代に「発明された伝統」もある。もっともらしい「和の衣裳」を身にまとった「あやしい伝統」
関連記事
-
-
伝統は後で作られる例①
日本のサンクチュアリシリーズ 484宮内庁書陵部 皇居の庁舎で天皇・皇族の戸籍簿「皇統譜」や文書類
-
-
21世紀を考える会「仮想通貨の現状」岩下直之京都大教授の話を聞く 2018年4月20日
Bitcoinの発掘の仕組み 256ビットの最初の30個は零が続かなければらないという約束。ハッシュ
-
-
植田信太郎 脳の「大進化」(種としての進化)、「小進化」(集団としての進化)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/rigakuru/03
-
-
『カシュガール』滞在記 マカートニ夫人著 金子民雄訳
とかく甘いムードの漂うシルクロードの世界しか知らない人には、こうした動乱の世界は全く想像を超えるも
-
-
『AI言論』西垣通 神の支配と人間の自由
人間を超越する知性 宇宙的英知を持つ機械など人間に作れるか 人間は20万年くらい前に生物進
-
-
『ざっくりとわかる宇宙論』竹内薫
物理学的に宇宙を考察すればするほど、この宇宙がいかに特殊で奇妙なものかが明らかになる。マルチバー
-
-
安易なフードツーリズム、食育、和食神話への批判 コメに無期ヒ素が含まれているのはものすごく都合が悪い。大手メーカーが「ただの水です」といって水素水を売っている
公研2016年6月号に「食の安全とリスクを考える」畝山智香子(国立医療品食品研究所安全情報部第三室長
-
-
何故日米開戦が行われたか。秋丸機関の報告書への解説 『経済学者たちの日米開戦』
書名は出版社がつけたものであろう。傑作ではある。書名にひかれて読むことになったが、およそ意思決定
-
-
「若者の海外旅行離れ」という 業界人、研究者の思い込み
『「若者の海外旅行離れ」を読み解く:観光行動論からのアプローチ』という法律文化社から出版された書
- PREV
- 『創られた伝統』
- NEXT
- 書評 渡辺信一郎『中華の成立』岩波新書
