*

「地消地産」も「アメリカファースト」も同じ 

公開日: : 最終更新日:2018/04/01 用語「人流」「観光」「ツーリズム」「ツーリスト」

『地元経済を創りなおす』枝廣淳子著 岩波新書を読んだ。ちょうど教科書原稿を書いているときだったので参考になった。

外国人観光客が増加しても地域住民所得が増加していないことを論文にまとめている。標記の書物は大変参考になった。
「漏れバケツ」理論 https://www.japanfs.org/ja/files/wbg_131205_02.pdf を紹介してる。地域内乗数効果の説明であり、専門家には常識的なことであるが、ネーミングからしてこのほうが学生にはわかりやすいであろう。
日本中の地域の最大の「バケツの漏れ」はエネルギー料金というのも言われてみると当然。唯一の例外は屋久島で、屋久島電工が提供する水力発電で供給されているからだ。
英国トットネス地方(人口12000人)の成功例を紹介ている。「コーヒー戦争に勝つ」と題して、全国チェーンのコーヒーショップの進出を阻止した話を紹介。地元の42軒のカフェを利用する運動を起こしたということである。地元でお金が回り続ける運動として紹介している。

学校給食 地産地消ではなく「地消地産」を提唱している。学校給食では地元産品を使えということである。しかし、流通革命前全国に存在した地酒、地醤油は全国ブランドに席巻された。ボリュームディスカウントを禁止ない限り当然の流れである。市場メカニズムを活用しないで地産地消を唱えていても効果は薄いから、政策的に行うことになるが、無理に行えばアメリカファースト政策と同じである。制度的に行っていたのが、「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(大店法)に基づき地元商工会議所等が行っていた商業活動調整協議会である(商調協)。当然のことながら消費者からの反発は大きかった。
「創造的過疎」という言葉も称されている。人口減少は受け入れるということである。しかしどこか言葉遊びの感じが否めめなかったのも、やはり、トランプ大統領が言っている「アメリアファースト」を地域的に主張しているだけのような気がしたからである。勿論地元民が満足してい実行しているならそれで構わないわけで、米国民がアメリカファーストに満足していればそれで構わないのであるが、それでは世界経済の成長はストップしてしまうであろう。合成の誤謬というやつであろうか。狭い範囲では好意的に受け止めるメンタリティがあるが、米国大統領が言うとインテリは反発するするのである。

地域経済循環図 RESAS https://resas.go.jp/#/13/13101
https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/13/13100/1/2013

バケツ漏れの例として離島が数多く出てくるが、沖縄の数字を見ると、南大東島(人口1339人)は所得高い。ハワイ並である。公務員給与が高いわけではない。ラスパイラス指数は100を割り、90である。最低賃金も737円と全国最下位レベルである。基幹産業は大規模なサトウキビ栽培であり、手厚い農業補助があるのかもしれない。 人口は1970年 2275人から減少している。
一人当たり市町村民所得(2013年度)
南大東町 4632
北大東町 3373
嘉手納町 2880
与那国町 2582
恩納村 2431
那覇市 2430
浦添市 2317
竹富町 2238
石垣市 2143
県全体 2102
宜野湾市 2037
宮古島市 1969
名護市 1943
沖縄市 1938
糸満市 1848
うるま市 1679
大宜味村 1609
今帰仁村 1421
沖縄県企画部統計課「平成25年度 沖縄県市町村民所得」
http://www.meti.go.jp/press/2017/06/20170602005/20170602005-25.pdf

関連記事

no image

『大阪の宿』水上瀧太郎著 小説 映画

東京のサラリーマンが転勤で大阪の下宿屋に暮らした2年間を描いたもの。小説では大正時代(「大正十四年

記事を読む

no image

2002年『言語の脳科学』酒井邦嘉著 東大教養学部の講義(認知脳科学概論)をもとにした本 生成文法( generative grammar)

メモ p.135「最近の言語学の入門書は、最後の一章に脳科学との関連性が解説されている」私の観光教

記事を読む

no image

中国人白タク問題  運転手派遣業とレンタカーの組み合わせによる新規ビジネス

運送機能の分化:金沢学院大学の大学院の講義を契機に、二十年来運送機能の分化について考えてきている。

記事を読む

no image

「南洋游記」大宅壮一

都立図書館に行き、南洋遊記を検索し、[南方政策を現地に視る 南洋游記」  日本外事協会/編

記事を読む

no image

杉原幸吉先生の「錯覚観光」 ジャパンナウ観光情報協会セミナー

杉原幸吉先生の錯覚の研究についてはこれまでも紹介してきたので省略して、今回のセミナーで気付いたことを

記事を読む

no image

日本人が海外旅行ができず、韓国人が海外旅行ができる理由   『from 911/USAレポート』第747回 「働き方改革を考える」冷泉彰彦 を読んで、

勤労者一人当たり所得では、日本も韓国も同じレベル 時間当たりの所得では、日本は途上国並み これで

記事を読む

no image

『創られた伝統』

第一に、全ての「伝統」は歴史の中で恒常的に取捨選択された結果であり、長年の「伝統」であれ、その都

記事を読む

no image

伝統論議 蓮池薫『私が見た「韓国歴史ドラマ」の舞台と今』

〇 蓮池氏の著作 「現代にも、脈打つ檀君の思想、古朝鮮の魂』などをよむと、南北共通の教育があること

記事を読む

no image

『徳川家康の黒幕』武田鏡村著を読んで

私が知らなかったことなのかもしれないが、豊臣家が消滅させられたのは、徳川内の派閥攻勢の結果であったと

記事を読む

no image

日本人の北朝鮮観光

他事考慮での観光交流の中断 日本人観光客の北朝鮮訪問数の増加は、両国観光関係者にとっては利害が一致

記事を読む

no image
QUORA 戦前の財閥ってどれくらいお金持ちだったんでしょうか?具体的に分かるように説明していただけませんか?

そのジニ係数は――あえて国際比較を行うと――大土地所有者と彼ら以外の

no image
保護中: quora 知られていない歴史上の出来事の中には、知る価値のあるものがあるのでしょうか? 第二次世界大戦後に行われた米兵による日本の民間人への大量レイプである。

以前にもこれについて書いたことがあるが、その程度や実際に如何程酷かっ

no image
QUARA コロナ対処にあたってWHO非難の理由にWHOの渡航制限反対が挙げられていますが、これをどう思いますか?

渡航制限反対は主に「中国寄りだから」という文脈で語られています。しか

no image
Quora イギリスが中国にアヘンを売ったのは有名です。あるイギリス人の言い訳が、アヘンを売り始めた頃中国には麻薬の売買を禁止する法律が無かったから問題ない。これ真実ですか?それにしても犯罪者の理屈ですよね?Asakawa Kozo 

イギリスが中国にアヘンを売ったのは有名です。あるイギリス人の言い訳が

no image
Quora  漢字が日本に来た頃、日本に中国語を話す人はいたのでしょうか?漢字は書き言葉ですが、漢字すなわち古代中国語を話す必要性は日本にあったのでしょうか?蔡 鸟 (Cai Niao),

漢字が日本に来た頃、日本に中国語を話す人はいたのでしょうか?漢字は書

→もっと見る

PAGE TOP ↑