観光資源創作と『ウェールズの山』
観光政策が注目されている。そのことはありがたいのであるが、マスコミ、コンサルが寄ってたかって財政資金をあてにして、ゆるキャラ、B級グルメを溢れさせている。
市議会も、隣町でやっているのにわが町ではなぜないのかと煽り立てるから、当局はサボっていてはまずいと、予算をつける。しかし個性的すぎるものは、うまくいかなかったときの反動が怖いのであろう、無難なものに落ち着くから話題性がかけてしまう。
観光資源について助言を求められたとき私は、「1年で作ったものは1年で真似をされてしまう。10年かけて作れば10年間はまねをされない」といっている。反対が強ければ強いほど時間もかかるが、真似もされにくい。従って町役場で実施しにくいものなのである。
DVDで『ウェールズの山』を借りてきた。一度見たことはあるが確認したかったからだ。ストーリーは「1917年、アンソンとガーランドという二人のイングランド人が地図作成のため、南ウェールズのある村に、ファノン・ガルーの山の高さを測るために訪れた。村人はその山が、イングランドからウェールズに入ると最初にある山として誇りに思っている。二人の到来により、村人はパブで山の高さについて賭をしたりして結果を待つ。その結果は299メートルであり、地図にのせるためには305メートル以上なければならない、すなわちかれらの「山(mountain)」は「丘(hill)」であるということになり、一同おおいに失望する。これに対し村のジョーンズ牧師はあと6メートル積み上げて305メートルの山にしようと呼びかける。再測量をしてもらうため村人は色々な細工をして、かれら二人を村から出られないようにしてしまう。その間、村人こぞり土を山頂に運ぶ作業が始まる。雨が作業を阻み、積み上げた土を流してしまう。日曜日、雨は上がり、安息日にもかかわらず村人は作業を続け、村人の熱意に動かされたアンソンは再測量をするが夜となり正確な測量ができない。翌朝かれはファノン・ガルーは山であると宣言する。」といったところである。
映画「ウェールズの山」のモデルになった山がある。その山はカーディフの近郊、カステル・コッホという美しいお城がある近くのGwaelod-y-Garthの村の北にある。ガース丘がそれである。地図で見るとTaff’s Wellとある近くである。まだウェールズに入ったことがないので一度訪れてみるつもりである。
関連記事
-
-
『シベリア出兵』広岩近広
知られざるシベリア出兵の謎1918年、ロシア革命への干渉戦争として行われたシベリア出兵。実際に起
-
-
「米中関係の行方と日本に及ぼす影響」高原明生 学士會会報No.939 pp26-37
金日成も金正日も金正恩も「朝鮮半島統一後も在韓米軍はいてもよい」と述べたこと 中国支配を恐れてい
-
-
書評『我ら見しままに』万延元年遣米使節の旅路 マサオ・ミヨシ著
p.70 何人かの男たちは自分たちの訪れた妓楼に言及している。妓楼がどこよりも問題のおこしやすい場
-
-
動画で考える人流観光学 観光資源 歴史は後から作られる 伝統は新しい
山田五郎のオトナの教養講座 https://www.youtube.com/watch?v=T
-
-
『ミルクと日本人』武田尚子著
「こんな強烈な匂いと味なのに、お茶に入れて飲むなんて!」牛乳を飲む英国人を見た日本人の言葉である。
-
-
『近世旅行史の研究』高橋陽一 清文堂出版 宮城女子学院大学
本書の存在を知り港区図書館の検索を探したが存在せず都立図書館で読むことにした。期待通りの内容で、
-
-
『素顔の孫文―国父になった大ぼら吹き』 横山宏章著 を読んで、歴史認識を観光資源する材料を考える
岩波書店にしては珍しいタイトル。著者は「後記」で、「正直な話、中国や日本で、革命の偉人として、孫文が
-
-
生涯弁護人事件ファイル2 広中惇一郎
第一章 報道が作り出す犯罪 安部英医師薬害エイズ事件 アメリカの人気番組 LAW &
-
-
英国通貨がユーロでない理由 志賀櫻著「日銀発金融危機」
ポンド危機と英国通貨がユーロでない理由 サッチャー政権
-
-
塩野七生著『ルネサンスとは何であったのか』
後にキリスト教が一神教であることを明確にした段階で、他は邪教 犯した罪ごとに罰則を定める 一
