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日本人の北朝鮮観光

公開日: : 最終更新日:2023/05/31 人口、地域、, 出版・講義資料

他事考慮での観光交流の中断
日本人観光客の北朝鮮訪問数の増加は、両国観光関係者にとっては利害が一致する。
そのためには、日本人観光客が安心して旅行ができるよう双方が情報交換し、配慮するのであるが、これまでの歴史を振りけると、あまりにも観光以外の事由で観光交流が中断することが多く、またその繰り返しであった。そのため安心して旅行ビジネスに取り組めなかったことも真実である。

ガイドの役割
北朝鮮のガイドは、日本人が安心して旅行が継続できるようにアドバイスをする役目があり、それを果たすことが双方の利益につながるのであるが、日本人旅行者のブログ等を読むと、何を勘違いしているのか、ガイドを監視役に表現しているものがみられる。日本人旅行者は観光客として訪問しているのであり、それに徹するのであれば監視される行動はなく、むしろ無知からくる危険な行動を防止してくれるのがガイドである。アラブ諸国を旅行して、イスラム教の教えに違反する行動をとれば、知らなくても厳罰に処されることがあるのと同じで、むしろ旅行者は、ガイドにアドバイスを求めるくらい賢くなければならないのである。それにもかかわらず、違反を承知で禁止されている書物を持ち込み、反応を見て書き込みをしているブローガーが
いるのは愚かなことである。

北朝鮮を訪れる観光客は、旅行前に代理店から訪朝時の危険性について説明を受ける。外国文書の配布禁止や北朝鮮指導部を中傷する可能性のある行為の禁止など、同国の法律を順守するよう伝えられる。また、ロイターが入手した文書によると、外国の旅行会社は、北朝鮮の国営観光機関と共に観光客を同国の「法律や規制、社会的秩序に従わせ、尊重させる」という内容の契約書に署名する必要がある。

政策としての観光
米ワシントンのピーターソン国際経済研究所の北朝鮮専門家、ステファン・ハガード氏は、「最も興味深いのは、北朝鮮は観光収入の拡大に注力する一方、国外からの影響を恐れているという矛盾だ」と指摘している。しかし、戦前の日本の国際観光政策や旧ソ連邦の観光政策も同様であり、この場合には、外貨獲得と情報管理の両立を図る役割がガイドにあり、そのことにより観光客の安全も確保されるということは理解しておかなければならないであろう。現在でも多くに国で軍事施設の写真撮影等は禁止されているが、日本人観光客にはこのことの理解が不足するところから、ガイドなしの行動は訪問国の法に抵触する行為を犯しかねない危険性があるのである。

欧州からの北朝鮮観光
北朝鮮は2000年代に入り、ヨーロッパ諸国と次々に国交を樹立した。年間数千人のヨーロッパ人観光客が北朝鮮を訪問している。我々とは異なる北朝鮮観というものが国際社会には存在することを理解する必要もある。

北朝鮮観光の歴史

1987年 北朝鮮国家観光総局は国連世界観光機関(UNWTO)に加盟し、10月に日本人観光団初の北朝鮮観光 12月まで9グループ130名,北京経由で訪朝日本の中堅旅行会社8社が北朝鮮観光に取り組んだ(日中旅行社,日中平和観光,日中国際旅行社,エントク・エンタープライズ社,阪急旅行社,日中旅行開発,関西国際旅行社,幹事:中外旅行社)が、11月に大韓航空機爆破事件が発生し日本人観光客受け入れを停止した。

1988年1月 外務省が北朝鮮「渡航自粛」勧告 米国,北朝鮮を「テロ支援国家」と認定して対北朝鮮制裁措置を発表、2月に日本人観光団受け入れ中止
1989年7月 第13回世界青年学生大会平壌開幕。日本人観光団受け入れ再開、中外旅行社,北朝鮮観光業務開始 12月中外旅行社,北朝鮮観光業務中断(パチンコ疑惑,米韓合同軍事演習)
1990年9月 金丸元副総理代表とする代表団が訪朝し,早期国交樹立のための共同宣言に調印
1991年1月 日朝国交正常化交渉開始4月 日本国一般旅券の「北朝鮮を除く」渡航制限条項削除
5月 金剛山国際航空で名古屋空港発第一回チャーター便運航 6月中外旅行社北朝鮮観光業務再開12月JTB初の北朝鮮ツアー
1992年1月 名古屋空港,新潟空港チャーター機開設決定,年間北朝鮮側・日本側各80便運航許可受ける
4月 北朝鮮憲法修正で「観光」を明記
第119条 内閣は、次の任務及び権限を有する。工業、農業、建設、運輸、逓信、商業、貿易、国土管理、都市経営、教育、科学、文化、保健、体育、労働行政、環境保護、観光、その他の諸部門の事業を組織執行する。
1993年2月 名古屋空港,新潟空港チャーター開設決定 6月北朝鮮,外国人の入国を禁止。核査察問題
1994年8月 中外旅行社,北朝鮮観光業務再開
1995年4月 アントニオ猪木,世界スポーツ祭典参加し,2800名が日本より参加しJTB,中外旅行社が手配
5月 北朝鮮,日本人観光客受け入れ停止(核疑惑,水害)
1996年4月 北朝鮮,日本人観光客受け入れ再開
1998年9月 日本政府が日朝間の直行チャーター便の運航停止決定
1999年2月 中外旅行社が基軸を主催旅行から手配旅行に
11月 日本政府が日朝直行チャーター便の運航凍結解除発表 
2005年4月 近畿日本ツーリスト団体200名弾丸ツアーが中止
2008年  金剛山観光1998年~2008年の10年間で193万4662人,外国人1万2817人

2009年 日本人の年間訪朝者数が100名を下回る
2011年 11月サッカーW杯アジア3次予選,日朝代表観戦ツアー
12月 日本人渡航者400名サッカーW杯ブラジル予選北朝鮮代表VS日本代表に観戦者160名含む
2012年 10月 北朝鮮観光,欧州から年間2万人,中国から2万人弱

参考 2016年12月末現在、「在留外国人(韓国・朝鮮)」として表される韓国・朝鮮籍の「中長期在留者」及び「特別永住者」の合計は485,557人、そのうち韓国籍は453,069人、朝鮮籍は32,461人である。長年に亘り日本定住外国人の最大勢力であったが、帰化と死去による特別永住者の減少が続き、2007年度、急増する在日中国人が在日韓国・朝鮮人人口を上回った。

サウジアラビア
死刑囚の大半は外国人労働者であるともいわれており、死刑囚の出身国との間で外交問題に発展することは日常茶飯事であるが、サウジアラビア側は多くの場合に死刑を執行している。サウジアラビア国外で騒ぎが大きくなったときは、一度死刑の執行を停止し、その後、ほとぼりが冷めたころに死刑を執行する方法も行われている。
また、名誉殺人は罰せられないため、私刑による死刑が横行しているともいわれている。「神に対する冒涜を行った異教徒を殺すことは名誉殺人である」との判例が出ており、テロリスト輸出国になってしまった原因だと指摘する意見もある。
死刑が適用される犯罪
殺人
サウジアラビアにはディーヤと呼ばれる制度があり、被害者の法定相続人が加害者を免責した場合は減刑される。これは金銭によって示談が成立した場合にも適用される。
名誉殺人の場合は罪に問われない。
窃盗
麻薬の密売
同性愛
建前上では重罪としているが、実運用においては罰金刑や鞭打ち刑が科されるだけで処刑されることは稀である。
サウジにおける同性愛についてはen:LGBT rights in Saudi Arabiaを参照
不倫と婚前性交渉(ジナの罪)
ただし、通常、男性は「女が誘惑した」などと言い逃れをし、司法も多くの場合それを認めるので、実際には、男性は死刑にならず、女性のみが死刑になることも少なくない。
強姦
ただし、相手の女性が異教徒であれば、刑罰は減免される。また、婚外セックス(ジナ)同様、『女が誘惑した』と言い逃れをすることで、死刑を逃れる事例が少なくない。また、女性が証人の用意ができず、逆に、偽証罪で罰せられることもある。また、夫婦の間でのレイプは合法とされている。
売春
国王に対する冒涜
イスラム教(特にワッハーブ派)に対する冒涜
神や預言者(ムハンマド)を冒涜するような言論、出版物の作成、所持
他の宗教を信仰すること(1993年の基本統治法施行以降は緩和された)
ワッハーブ派の信者を他の宗派や宗教へ勧誘する行為
魔術を使うこと
偶像崇拝と見なされる収集物の購入

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