和食を考える 『漁業という日本の問題』勝川俊雄を読んで
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最終更新日:2016/11/25
観光学者への辛口評論等~観光学研究発展のため~
マスコミによってつくられた常識は、一度は疑ってかかる必要があるということを感じていますが、「日本人は魚を食べる」ということも同様のようです。
政府の統計資料を基にした過去百年に渡る日本人の水産物の消費量の推移が勝川氏の著作物に出ています。
日本人は思ったほど魚を食べていなかったとすれば、伝統ある和食のイメージも変化してきます。観光資源の基となる「伝統や歴史:は後から造られるという私の仮説を補強する材料がまた一つ増えてしまいました。
見ずらいかもしれませんが、明治時代の人は「お正月にタイを食べるくらいで、普段は魚を食べていなかった」のです。冷凍技術が発達していない時代に魚を食べた人は一部の人だけだったのです。
日本のメディアは魚離れを大々的に取り上げました。朝日新聞に「魚離れ」の言葉が登場したのが1976年。78年水産白書から魚離れを取り上げたようです。魚離れの既成事実化は現在の破たんした水産行政を正当化する上で好都合だったようです。
日本漁船による乱獲等の問題指摘にとどまらずその処方箋を提示しているのが、本書であり、勝川氏のブログでしょう。
http://katukawa.com/
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