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試験問題1(歴史や伝統は後から作られるということを何度か述べました。その実例を自分で考えて3編以上紹介し、観光資源としての歴史、伝統の活用について、400字以内で論述せよ。)

この設問は、事前に講義中に出題しておいた。実例を自分で探してもらうためだ。出席していない学生は教科書やHPから引用するだろうが、それはそれで評価するが、観光は個性の発揮でもある。しかし、恵方巻、赤レンガ等の似たような例の回答が多く、少し当てが外れた。例示とともに、観光資源としての活用についての記述は極めて少なかった。

私としては、古くから信じられてきたことが意外に新しく、意表を突くものであり、そのことが面白くもあって観光資源としてますます価値を高めるといった例が欲しかったのである。

よく勉強してきた学生は、歴史認識に触れている。歴史解釈が後で作られているという自覚をしっかりしておけば、観光資源として余裕をもって接触できることができるということを理解している。教えがいがあるというものである。

お国自慢の観光資源は学生もふるさと自慢を兼ねて答案に書き込んでいた。女装した男性が行う戸塚区のお札まきは江戸時代から継続しているようだが、ヘミングウェがパップローナの牛追い祭りを小説に使用したようなことでもないと、世界的な資源にはならないだろう。私が知らなかったのは、相撲が国技になったのは「明治期に」国技館が建設されてからだという解答、戊辰戦争時多くの農民は戦争に巻き込まれた側であり、藩に思い入れもなく、むしろ重税に苦しんで恨んでいたという説を紹介し、会津の悲劇も嘘ではないが、それに対する認識が立場により少し違うということの解答、鳥取砂丘は植林により農地として利用され、戦時中は軍事教練の場としても利用されていたが、そのうちに農地化案への反発などから砂丘の保存への声が高まり観光地化していったという解答は、私にとっても大きな収穫であった。勿論この解答をした学生は、この部分では最高点を獲得している。

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