*

北朝鮮観光「Young Pioneer Tours」について

公開日: : 最終更新日:2023/05/11 路銀、為替、金融、財政、税制

北朝鮮に旅行中に逮捕され有罪とされた米国人大学生のオットー・ワームビアさんが帰国直後に死亡したニュースが流れ、北朝鮮観光に注目が集まるなかで、この学生が参加した旅行会社Young Pioneer Toursに関心が集まっている。

毎日新聞の報道では 「正恩氏写真掲載新聞で靴包み拘束か 死亡米大学生」「出国予定日にホテルの部屋で荷物をまとめた際、靴を包んだ労働新聞に金正恩・朝鮮労働党委員長(当時は第1書記)の顔写真が掲載されており、靴の土が紙面に付いたとして激しくとがめられたという。」毎日新聞2017年6月23日 16時39分(最終更新 6月23日 17時30分)となっている。
これが事実とすれば、北朝鮮の関係者は無視できなかったであろうし、無視すれば無視した本人が大変なことになるのであろう。オットーワームビア氏には悪気はなく、政治的意図もなかったと思われるから、全く気の毒なことであり、家族には耐えられないことであろう。また、オットー氏が死亡した原因を作った北朝鮮関係者もやりすぎて無駄な軋轢を生じさせたということで激しい処罰を受けているかもしれない。どうなっているのかわからないところが北朝鮮である。このような行き違いを防ぐ意味でも、きちんとしたガイドが案内するツアーに参加することが自らの安全を守ることにもつながるはずである。今回同氏が参加したツアーは若者向きのバジェットツアーであり、若い人には重宝されるものであろうが、やはりガイドの補助も手薄になりかねないものである。
同種の行き違いが命にかかわる事件に発展することはイスラム圏を旅行する場合にも発生する。先進国でも軍事施設をめぐって発生する可能性が十分にあることから、情報提供がより一層重要になっている。
従って、危険を冒さないように渡航そのものをやめてしまえばいいとも思わない。観光の原点は異体験であり、特に若者は見聞を広めるべきと思う。未成年者への提供は問題かもしれないが、成人した若者には、適切な仕組みのもと、大いに見聞を広める機会はこれからも与えてゆくべきであろう。

(CNN) 北朝鮮に観光目的で入国したとされる米バージニア大の学生が、政府に「敵対的な行為」を働いたとして拘束されていたことが23日までに分かった。
今回の旅行を企画した中国企業「ヤング・パイオニア・ツアーズ」によれば、オットー・フレデリック・ワームビアさんは今月2日、首都・平壌で拘束された。同社のウェブサイトは、「母親が行かないでほしいと思う場所に格安旅行を提供する」としている。
同社によれば、家族にはすでに事情を伝えており、米国務省や北朝鮮外務省のほか、北朝鮮国内にいる米国人の窓口となっているスウェーデン大使館と協力して対応しているという。北朝鮮政府は過去にも、複数の米国人を同様の罪で逮捕・訴追している。

There has been a recent incident though where a 21-year-old American student named Otto Warmbier was arrested at the airport before departure, allegedly for removing a propaganda poster from a wall in his hotel.
Otto was at the time traveling with Chinese tour operator Young Pioneer Tours for a 5-day tourist trip to North Korea. He was convicted of “committing hostile acts” against the state and sentenced to 15 years hard labor. He was later released and returned for humanitarian reasons but was in a coma which led to his death on June 19, 2017. As a result the tour group stated that they would stop taking United States citizens to North Korea as the “risk is too high”.

旅行代理店によると、北朝鮮ツアーの人気は急速に高まっている。核・ミサイル開発計画に関連して米国の制裁対象となっている北朝鮮にとって、観光事業は数少ない外貨獲得手段の一つ。
北朝鮮政府は観光客数を公表していないが、旅行代理店の推計では、同国を訪れる欧米からの旅行者は年間6000人にも上り10年前の700人から大幅に増加している。大半は、「鉄のカーテン」の裏側にある暮らしに関心を持ち、「観光客の支払う金が圧政を支えている」との批判には耳を貸さない人たちだ。北朝鮮への観光客の圧倒的多数は、主要同盟国である中国から来ている。

北朝鮮への旅行を専門的に扱う、中国・北京の「高麗ツアーズ」は、過去10年間で事業が10倍に拡大した。同社のサイモン・カックレル氏によると、ピーク時の2012年には約2100人が同社のサービスを利用し、このうち4分の1は米国人だった。
同じく北朝鮮旅行を専門とする中国の代理店「ヤング・パイオニア・ツアーズ」のトロイ・コリングス氏は、同社事業が年間で2倍に拡大していると述べた。過去1年間に同社サービスを利用したのは1000人近くだったという

日本政府の場合 自粛要請あるいは渡航の是非の検討を要請する。シリアの場合旅券を没収で問題
(※日本国外務省は、人工衛星と称する弾道ミサイルの発射に伴い、北朝鮮全土に「渡航を自粛して下さい」との勧告を2月12日付けで行っております。最新の現地情報は旅行者自身で海外安全情報ホームページなどで確認し、ご自身の責任で渡航するようにお願いいたします。)と政府の報道に転嫁するのは、政府が発表したものですよという、一流メディア共通の報道姿勢である。日本のメディアも北朝鮮を報道するとき「本記事は編集部が渡航を勧めるものではありません」と注記するのは、後でクレームがつくことを警戒してのことであり、朝鮮国際観光社の人が嘆いていたことが理解できた。CNNが現在でもピョンヤンを流しているのとは対照的。

米国務省は「恣意的な拘束」が起きるリスクがあるとして、北朝鮮への渡航を控えるよう「強く勧告する」と発表。

外国人の入国制限は、ブータンが1971年まで鎖国、アルバニアは1980年代まで鎖国状態。サウジアラビア、トルクメニスタンなども厳しい入国制限。 

今回の事件で、さすがにYPTも継続するわけに行かず、6月20日STATEMENTを発表し、米人の北朝鮮旅行は受け付けないことになった。
同社は、British expat Gareth Johnsonが2008年に創立した中国は西安に本拠を置く会社で、安価なツアーを提供、
〇Its motto is “providing budget travel to destinations your mother would rather you stayed away from.
例 the DPRK, Afghanistan, Iran, Turkmenistan, Chernobyl, Cuba, Antarctica, Eritrea
  the nuclear wasteland of Chernobyl and unrecognised country of Transnistria!

〇we provide budget travel to destinations
€445 (extra option for the train either way between Dandong and Beijing) Dandong – Pyongyang – Dandong 2 nights, 3 days
Silk Road Summer Combo Tour
$3095 Ashgabat – Khiva – Bukhara – Samarqand – Tashkent – Bishkek – Kyzyl Suu – Naryn – Kashgar Hotan – Kuqa – Turpan – Urumqi 23 nights, 24 days
€740, Kiev – Odessa – Tiraspol– Bendery – Chisinau – Bucharest 9 Days

北朝鮮の旅行会社

Tourism in North Korea is organized by one of several state-owned tourism bureaus, including Korea International Travel Company (KITC), Korean International Sports Travel Company (KISTC), Korean International Taekwondo Tourism Company (KITTC) and Korean International Youth Travel Company (KIYTC).
Tourism in North Korea is highly controlled by the government, and only about 4,000 to 6,000 Western tourists visit North Korea each year.

関連記事

地方都市コンベンション関連団体によるシンフォニーでの発表会参加 2016年3月3日

ネット世界で知り合った元読売新聞の社員の方のお誘いを受けて、久しぶりにシンフォニー2時間の旅に参加す

記事を読む

no image

保護中: 『from 911/USAレポート』第827回 「アベノミクスの功罪と出口シナリオ」冷泉彰彦 これだけ識字率と基礎算術と社会性の訓練を受けた分厚い人口を抱えた大国が、利幅が薄く労働集約型の観光業を主要産業とするという、どう考えても悲劇的な産業構造に追い詰められた、これは7年半にわたって改革に消極であったことのツケにしても、随分と妙な方向になったと思います

結果的に、これだけ識字率と基礎算術と社会性の訓練を受けた分厚い人口を抱えた大国が、利幅が薄く労働

記事を読む

no image

人民元の動向と中国の通貨戦略 日本銀行アジア金融協力センター 露口洋介 2011.1

中国の現状は。日本の1970年を過ぎたところに当たる 大きく異なるのは、①中国は海外市場で

記事を読む

no image

『国債の歴史』(富田俊基著2006年東洋経済新報社)を読んで

標記図書を読み、あとがきが要領よくまとめられていた。財政に素人の私には、非常に参考になる。 要約す

記事を読む

no image

深夜運転のスキーバス問題の解決方法の一つ

深夜運転のスキーバス事故が発生し、社会問題になりました。飲酒運転や過積載事故が社会問題化し、飲酒運転

記事を読む

no image

「宿泊税とオーバーツーリズム」論議への批判

私の博士論文では、観光税制を詳しく取り上げたが、当時は誰も関心がなかった。いま議論されている宿泊税

記事を読む

no image

須田寛「国鉄改革を顧る」(くらしのリサーチセンター)メモと国の交通施策への感想

敬愛する須田寛氏の対談メモ。内容は既に知られていることではあるが、当事者が語ったものとしては数少ない

記事を読む

no image

雲の会 露口洋介氏「人民元と中国の金融改革」

11月6日雲の会で露口氏の話を聞いた。 人民元の国際化は1994年に決定されていたが、アジア通貨危

記事を読む

no image

『知られざるキューバ』渡邉優著 2018年

4年前のキューバ旅行のときにこの本が出版されていれば、また違った認識ができたとの思う。 カリ

記事を読む

no image

ゴッツン免許とUber

ゴッツン免許とは俗称である。 体罰が犯罪とされる今日「ゴッツン」は死語かもしれないが、頭をゲン

記事を読む

no image
ロシア旅行の前の、携帯wifi準備

https://tanakanews.com/251206rutrav

no image
ロシア旅行 田中宇

https://tanakanews.com/251205crimea

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

→もっと見る

PAGE TOP ↑