*

 『財務省の近現代史』倉山満著 馬場鍈一が作成した恒久的増税案は、所得税の大衆課税化を軸とする昭和15年の税制改正で正式に恒久化されます・・・・・通行税、遊興飲食税、入場税等が制定されたのもこの時であり、戦費調達が理由となっていた 「日本人が汗水流して生み出した富は、中国大陸に消えてゆきました」と表現

公開日: : 最終更新日:2023/05/29 出版・講義資料, 路銀、為替、金融、財政、税制

p.98 「中国大陸での戦争に最も強く反対したのは、陸軍参謀本部

p.104 馬場鍈一が作成した恒久的増税案は、所得税の大衆課税化を軸とする昭和15年の税制改正で正式に恒久化されます・・・・・通行税、遊興飲食税、入場税等が制定されたのもこの時であり、戦費調達が理由となっていた 「日本人が汗水流して生み出した富は、中国大陸に消えてゆきました」と表現

馬場財政の混乱とその後

1936年(昭和11年)に広田内閣が発足すると馬場は満を持して蔵相として入閣。前任者の高橋是清蔵相が掲げていた公債漸減主義を放棄し、国防の充実と地方振興のためには増税と公債増発をもいとわない財政声明を出した(馬場財政)。またその政策遂行のために省内の人事刷新にも着手、長沼弘毅を蔵相秘書官にして新たな人事を練らせた。まず津島寿一次官を退任させ、軍部と強硬に渡り合ってきた賀屋興宣主計局長を理財局長に異動させたほか、石渡荘太郎主税局長を内閣調査局調査官へ、青木一男理財局長を対満事務局次長へと、それぞれ省外へ放出した[3]

こうして馬場が初めて主導権を握って作成した昭和十二度一般会計予算案の概要は次の通りだった。

  十二度予算案 前年度比
歳出 30億3850万円 7億6650万円増(↑33.7%)
うち軍事費 14億0800万円 3億4900万円増(↑33.0%)
公債発行額 9億5700万円 2億7700万円増(↑40.7%)
増税額 4億1750万円
増収額 1億5480万円

増税はタバコの値上げなどで賄うことにした。こうして昭和十二度予算案が明らかになると、軍需資材の需要増を見込んだ商社が一斉に輸入注文を出し、輸入為替が殺到して円が下落、輸入物資の高騰を招く混乱を招いた

 

特筆すべきは、日本が泥沼の支那事変・大東亜戦争に突入するのに必要な国家体制が出来上がった要因は、広田弘毅内閣の馬場鍈一蔵相にあるという趣旨のことを、大蔵省が公式の史書に記していることではないでしょうか。馬場鍈一は二・二六事件(1936)で暗殺された高橋是清に代わって蔵相に就任した人物ですが、彼は自由主義閣僚の排撃と軍拡路線を軸として広田内閣組閣を仕切り、蔵相就任後は統制経済と大増税・大軍拡を推進したのです。この路線を次の林内閣では、大蔵省・日銀・財界が一体となって修正しようとしましたが、結局軍事予算はほとんど削ることができませんでした。林内閣の次の第一次近衛内閣が成立してすぐに支那事変が発生、近衛は人気取りのために強硬に軍事介入を主張、そして大日本帝国は泥沼の戦争に沈んでいきました。

敗戦後の大蔵省は、占領前半期には占領軍や社会党内閣の社会主義者を巧みに排撃して大蔵省の組織を守り、占領後半期以降はアメリカの占領政策の転換によって大蔵省の伝統とする健全財政・自由主義経済を進めることが可能になるのですが、田中角栄以降その健全財政は崩れ、そして現在の1000兆円の負債という悲惨な財政状況に至ります。まさに「軍事と福祉は無限大の金食い虫」です。

恥ずかしながら僕はこの本を読むまで「竹下院政」をほとんど知りませんでした。外見から、田中角栄のほうが凄そうなイメージがありますが、実は竹下登のほうがかなり強固な体制を築いていたのですね。
「1976年成立の福田内閣以降、すべての内閣が田中角栄・竹下登という親中政治家の影響力下にあったので、小泉政権の誕生というのは、25年ぶりの親米政権が誕生したことを意味しています。」(p.236)

書評2

財務省の歴史を復習しようと思って買ったら、リフレ派のトンデモ本だった。
ありがちな陰謀論で纏められた本。
リフレ派の人以外は買わないほうがいいかな。
特に、若者は考えが偏るのでもうすこしマトモなものを読んだ方がいい。

書評3

良く分かっていない。勉強が足りない。それに尽きる。現役財務官僚より

関連記事

no image

『兵士のアイドル』押田信子著   盧溝橋事件勃発で、新聞の報道合戦開始 慰問団ブーム

陸軍恤兵(ジュッペイ)部  日清戦争時に少なくともそのたぐいの組織はできていた?

記事を読む

no image

大関真之『「量子」の仕業ですか?』

pp101-102 「仮にこの性質を利用して、脳が人の意識や判断、その他の動作を行っているとしたら、

記事を読む

no image

若者の課外旅行離れは本当か?観光学術学会論文の評価に疑問を呈す

「若者の海外旅行離れ」を読み解く:観光行動論からのアプローチ』という法律文化社から出版された書籍が

記事を読む

no image

Quora Covid-19の死亡者はアメリカが27.9万人、日本が2210人 (12/06現在) です。日本では医療崩壊の危険が差し迫っているとの報道がありますが、アメリカに比べて医療体制が貧弱なのでしょうか?

12月16日現在、アメリカでの死亡者数は約30万4千人、そして日本での死亡者数は2600名足らずで

記事を読む

no image

『鉄道が変えた社寺参詣』初詣は鉄道とともに生まれ育った 平山昇著 交通新聞社

初詣が新しいことは大学の講義でも取り上げておいた。アマゾンの書評が参考になるので載せておく。なお、

記事を読む

no image

『QUORA 日本人の賃金が30年間増えなかった理由』vs 渡辺努東大教授の「物価と賃金の心地よい状態」説

渡辺努「世界と日本の物価に何が」2022年12月13日 (火) https://www.nhk

記事を読む

no image

『海外旅行の誕生』有山輝雄著の記述から見る白人崇拝思想

表記図書を久しぶりに読み直してみた。学術書ではないから、読みやすい。専門家でもないので、観光や旅行

記事を読む

no image

保護中: 蓮池透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』

アマゾン書評 本書を読むに連れ安倍晋三とその取巻き政治家・官僚の身勝手さと自分たちの利権・宣伝

記事を読む

『サイロ・エフェクト』ジリアン・テット著 高度専門化社会の罠

デジタル庁が検討されている時期であり、港図書館で借りて読む。本書は、NYCのデータ解析により、テ

記事を読む

no image

『国債の歴史』(富田俊基著2006年東洋経済新報社)を読んで

標記図書を読み、あとがきが要領よくまとめられていた。財政に素人の私には、非常に参考になる。 要約す

記事を読む

no image
ロシア旅行の前の、携帯wifi準備

https://tanakanews.com/251206rutrav

no image
ロシア旅行 田中宇

https://tanakanews.com/251205crimea

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

→もっと見る

PAGE TOP ↑