富裕層の海外脱出
公開日:
:
最終更新日:2021/08/05
出版・講義資料
さて、この文書からわかることは、100万米ドル以上の億万長者の海外脱出で最もメジャーな国は、ここのところ、中国、ロシア、インド、トルコ、イギリス、フランスです。なかでも最もきわだって多いのが中国です。
これらの億万長者の流入先は、オーストラリア、米国、カナダ、スイスなどですが、近年はオーストラリアが多くの億万長者を引きつけています。
このレポートを読むと、彼らは、より有利な税法、環境汚染の少なさ、治安の良さに惹かれて国を出ます。
しかし、最大の脱出理由は「自国政治経済体制への失望もしくは先行き不安」なのです。
私見ながら、日本からの租税回避目的の海外脱出が、他国に比して現時点ではそう多くないのは、そこまでこの国に失望している富裕層が多くないためでしょう。日本からも租税回避脱出者はいるでしょうが、まだまだ世界からみれば少数であるといえそうです。
関連記事
-
-
学士会報926号特集 「混迷の中東・欧州をトルコから読み解く」「EUはどこに向かうのか」読後メモ
「混迷の中東」内藤正典 化学兵器の使用はアサド政権の犯行。フセインと違い一切証拠を残さないが、イス
-
-
QUARA コロナ対処にあたってWHO非難の理由にWHOの渡航制限反対が挙げられていますが、これをどう思いますか?
渡航制限反対は主に「中国寄りだから」という文脈で語られています。しかし調べてみれば、今回のコロナウ
-
-
任文桓『日本帝国と大韓民国に仕えた官僚の回想』を読んで
まず、親日派排斥の韓国のイメージが日本で蔓延しているが、本書を読む限り、建前としての親日派排除はなく
-
-
書評『日本人になった祖先たち』篠田謙一 NHK出版 公研2020.1「人類学が迫る日本人の起源」
分子人類学的アプローチ SPN(一塩基多型)というDNAの変異を検出する技術が21
-
-
『兵士のアイドル』押田信子著 盧溝橋事件勃発で、新聞の報道合戦開始 慰問団ブーム
陸軍恤兵(ジュッペイ)部 日清戦争時に少なくともそのたぐいの組織はできていた?
-
-
『中国人のこころ』小野秀樹
本書を読んで、率直に感じたことは、自動翻訳やAIができる前に、日本型AI、中国型自動翻訳が登場す
-
-
『ざっくりとわかる宇宙論』竹内薫
物理学的に宇宙を考察すればするほど、この宇宙がいかに特殊で奇妙なものかが明らかになる。マルチバー
-
-
『脳の誕生』大隅典子 Amazon書評
http:// www.pnas.org/content/supp1/2004/05/13/040