『ニッポンを蝕む全体主義』適菜収
本書は、安倍元総理殺害の前に出版されているから、その分、財界の下請け、属国化をおねだりした日本、人治主義への転落等の表現にみられるように、故人への配慮がなされていない点で、本音が出ているものとして興味深く読ませてもらった。
本書は、全体主義台頭の歴史をエーリッヒ・フロム、マルティン・ルター、夏目漱石、ニーチェなどを引用しながら前半の四章までで解説した後、残りの第五章、第六章は『維新の会』や橋下徹、安倍晋三といった【エセ保守への批判】を行なっている。筆者は保守主義とは、「主義」とついているものの、正反対に「主義」を否定する態度であり、思想体系、イデオロギーではないとするところが重要である。さらに保守は人間理性を疑うから、「正義」を警戒し、保守主義の本質は反権力であり、純粋な近代ヨーロッパの思想だとする。従て、わが国で保守を自称する頭の悪い人たちのような、排外主義や新自由主義、愛国カルトといったものとはミリとも関係がないと手厳しい。まるで統一教会を予言しているようでもある。巻末の中野剛志の解説では、本書の読者は、容赦のない批判のうちに「人に知られないさみしさも潜んでいる」ことに気が付くであろうと結んでいるが、暗殺事件によりはからずも人に知られることとなってしまった。
関連記事
-
-
「第3章 流入する他所者と飯盛女」武林弘恵著『旅と交流に見る近世社会』清文堂
旅と交流にみる近世社会 高橋陽一 編著
-
-
高木由臣 公研2019.1月「ゾウリムシ研究でたどり着いた『私の生命観』」
生命とは死なないのが本来の姿であり、死ぬことができるように進化した どうして? どのように?
-
-
渋滞学『公研』2019年4月 メモ
渋滞学 西成活裕 渋滞とは? 結局人の動き 法則性はあるのか? 空気や水と違って人間にはそれぞれ
-
-
塩野七生著『ルネサンスとは何であったのか』
後にキリスト教が一神教であることを明確にした段階で、他は邪教 犯した罪ごとに罰則を定める 一
-
-
「南洋游記」大宅壮一
都立図書館に行き、南洋遊記を検索し、[南方政策を現地に視る 南洋游記」 日本外事協会/編
-
-
運輸省(航空局監理部長)VS東亜国内航空(田中勇)のエピソード等
https://www.youtube.com/watch?v=flZz_Li7om8
-
-
ノーム・チョムスキー著『誰が世界を支配しているのか』
アマゾンの書評で「太平洋戦争前に米国は自らの勝利を確信すると共に、欧州ではドイツが勝利すると予測
-
-
シャマニズム ~モンゴル、韓国の宗教事情~プラス『易経』
シャーマン的呪術は筮竹による数字と占いのテキストを使った方法にかわった。このことにより特殊能力者でな
-
-
「食譜」という発想 学士會会報 2017-Ⅳ 「味を測る」 都甲潔
学士會会報はいつもながら素人の私には情報の宝庫である。観光資源の評価を感性を測定することで客観化しよ
