『眼の誕生』アンドリュー・パーカー 感覚器官の進化はおそらく脳よりも前だった。脳は処理すべき情報をもたらす感覚器より前には存在する必要がなかった
眼の発達に関して新しい役割を獲得する前には、異なった機能を持っていたはず
しエダアシクラゲ(Cladonema) のようなクラゲの一部は精巧な眼を持つが、脳がない。彼らは眼でとらえた情報を直接筋肉へ送っており、脳によって中間処理をしない
カンブリア爆発の時期に眼は急速に発達し、イメージ情報処理と方向の識別能力は劇的に高まった
「眼は視覚と呼ばれる感覚を生み出すが、それは眼だけに特有の能力である。環境中には様々な波長の電磁波が飛び交っているが、色はない。色は脳の中にしか存在しない。」(238ページ)この一文を読んだ時、”電磁波には色がない””色は脳の中にしか存在しない”私たち人間が直接認識し得る世界は、ごく限られた世界なんだ、この世界には私たち人間が直接認識し得ない世界が広がっている
オーストラリアの生物学者アンドリュー・パーカーの書の邦訳版。現存する生物の多くが視覚的情報によって行動が規制されていることに着目し,外見を進化させてきた原因,特にカンブリア紀に発生した生命のビッグバンが眼を獲得したことによるという説を打ち出している。全10章から構成されるが,前半の多くは生物が持つ光の反射システムや発光現象,擬態や威嚇としての視覚効果,あるいは化石に見るそれらの系譜を紹介し,主論点となる『眼の誕生が爆発的進化の最大の要因である』とする持論展開は最後の数章のみである。著者が述べているように,できるだけ多くの読者に紹介するために専門用語は最小限となっている。ただし,360ページの内容は現代生物学,古生物学にとどまらず物理学や地勢学などの広い情報が含まれるため,高校生以上が数日かけて根気よく読むべき分量。学術書ともとれる一方で,著者自身の自伝的エッセイともとれる部分もあり,教養書に分類されると思う。
関連記事
-
-
『ミルクと日本人』武田尚子著
「こんな強烈な匂いと味なのに、お茶に入れて飲むなんて!」牛乳を飲む英国人を見た日本人の言葉である。
-
-
AIに聞く、甘利俊一博士の「脳・心・人工知能」を参考にした、『観光資源反応譜』の提案
人流・観光に関する学生用の教科書として、amazonのkindleで『人流・観光学概論』を出版してい
-
-
書評『ペストの記憶』デフォー著
ロビンソン・クルーソーの作者ダニエル・デフォーは、17世紀のペストの流行に関し、ロンドン市長及び
-
-
2002年『言語の脳科学』酒井邦嘉著 東大教養学部の講義(認知脳科学概論)をもとにした本 生成文法( generative grammar)
メモ p.135「最近の言語学の入門書は、最後の一章に脳科学との関連性が解説されている」私の観光教
-
-
Quora ヨーロッパ人による境界がなかった場合には、今日のアフリカには幾つくらいの国があったと思いますか? 欧州にはバスク語しか残らなかった
https://youtu.be/i28l-t4H1GM ヨーロッパ人による境界がなかっ
-
-
『尖閣諸島の核心』矢吹晋 鳩山由紀夫、野中務氏、田中角栄も尖閣問題棚上げ論を発言
屋島が源平の合戦の舞台にならなければ観光客は誰も関心を持たない。尖閣諸島も血を流してまで得るもの
-
-
『デモクラシーの帝国』 藤原帰一2002岩波新書 国際刑事裁判所 米国の不参加
国際刑事裁判所の設立を定めたローマ規程は、設立条約に合意していない諸国にも適用されるところから、アメ
-
-
『セイビング・ザ・サン リップルウッドと新生銀行の誕生』ジリアン・テット 武井楊一訳
バブル期の金融問題に関する書籍は数多く出版され、高杉良が長銀をモデルに書いた『小説・ザ・外資』はハ
-
-
QUORAにみる歴史認識 アルメニア虐殺
アルメニア虐殺の歴史的背景はあまり知らてないように思いますが、20世紀の悲惨な虐殺の一ページとし
