ダークツーリズムと『脳科学からみた「祈り」』中野信子著
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最終更新日:2021/08/05
出版・講義資料
ダークツ―リズム 怖いもの見たさの時の脳内物質を調査する必要がある。その調査をせずして、ダークツーリズムを語るのは、科学的ではない。
要約 「脳に与える祈りの影響」
<祈りの違い>
誰かに対して怒りや妬み、恐れ、不安といったネガティブな感情を持つと、「ストレス物質」であるコルチゾールという物質が分泌され、記憶の重要回路である「海馬」が委縮するそうです。つまり、ネガティブな祈りは、自分自身に悪影響を及ぼしてしまうと。逆に、ポジティブな祈りは、「ベーターエンドルフィン」や「ドーパミン」「オキシトシン」など、「脳内快感物質」と呼ばれる物質が分泌されるそうです。つまり、多幸感や快感をもたらし、脳を活性化させ、身体の免疫力を高めると。また、記憶力が高まり、集中力も増すそうです。
<よい祈りを続けると、良い方向に変わる>
同じポジティブな祈りでも、「ライバルを蹴落としたい」とかいう攻撃的な祈りには、「怒りのホルモン」である、アドレナリンやベーターエンドルフィンがでてしまう。しかし、それが、「この勝負で、ともに成長していきたい」という、相手の幸せをも祈れる時は、自らの幸福にもつながっていくと。
<脳を活性化する「愛情ホルモン」>
「オキシトシン」は愛おしさの感情を生みだす「愛情ホルモン」
大事な人が幸せになってほしい、自分のためでなく、誰かのために祈ることは、自分の脳にもよい影響を及ぼすもの。自他共の幸福を祈る中にこそ、「よい祈り」がある・・・
<祈りが強化する「展望的記憶」の力>
未来に対するヴィジョンをしっかり持ち、希望を持って人生を歩んでいけるのも、展望的記憶の能力があるからこそ。また、人間が未来をいきいきと思い描く時、海馬の活動が活発になることがわかってきました。・・・祈りを日常的にしているひとほど、展望的記憶をしっかり持って、いきいきと生きることができる。それが、ポジティブな利他の祈りであれば、脳に与える良い影響も強まる・・・
<祈りこそ最高の良薬>
「希望の言葉」は想像以上に大きい影響を持っている。・・・「オキシトシン」は、病気を治す天然の妙薬⇒祈りこそ副作用もない最高の良薬となる。
<脳はすぐには変われない・・・祈り続ける大切さ>
最低3カ月の継続を。⇒脳に変化が。しかし、惰性になってはいけない。朝夕に、祈りの的をきちんと定めて。「脳科学からみた幸福な人、不幸な人」
釈尊の教え=「人生で一番大事なことは、幸せになること」心の底から人々の幸福を願っての利他行動は、誰にほめられなくとも、幸福感が得られる。見返りを求めない、自ら遣ろうとする利他行動こそ、最も大きく、持続的な幸福感に結び付く。
<困難を乗り越える達成感を、脳は喜ぶ>
同じ刺激の繰り返しは、「慣れ」になり、分泌量は減っていく。波風の立たない日々の連続では、脳に撮って、何の感動もなく衰えてしまう。本来、脳は何らかの目標を達成することで、大きな喜びを感じるという性質がある。困難な目標を達成した時こそ、たくさんの脳内快感物質が分泌され、大きな喜びを感じる。だから、平穏無事な人生より、さまざまな困難が次々と襲ってくる人生の方が、それを乗り越えるたびに深い幸福感を感じることができる。
<「対話」こそ、脳を育てる最高の「刺激」>
脳を育てるには、たくさんの人との対話がよい。新しい人・知人をどんどん増やしていくこと⇒よい刺激、ネットワークが育つ。同業・同質の人より、いろんな職種・年齢・社会階層の人の方が刺激になる。ネット上のバーチャルな会話より実際に会っての会話がよい⇒「メラビアンの法則」より
<何歳でも、人は変われる!>
よい刺激は、脳の若さを保つ!(対話は、アルツハイマー型認知症のリスクを下げる)大人の脳内でも新しい神経細胞が生まれることが明らかになった。適切な刺激で、この若い細胞は生き残り、機能する。だから、脳を若くするには、脳に適度な刺激を与え、適度に困難な課題を乗り越えていくことが必須。このように、脳を育てていける人は、いくらでも自己を変革し、成長していけるのです。
<学び続け、成長し続ける幸福>
「すべての人間は、生まれながらにして知ることを欲する」 アリストテレス
新しい知識を欲するのは、遺伝子に組み込まれた人間の本能 知的に何かを達成した時に、強烈な快感を覚え、幸福感に満たされる。(知的幸福感)学び続け、成長し続け、達成を繰り返すことの中にこそ、脳が感じる幸福がある。つまり、脳にとっての幸とは、静的・固定的なものではなく、「変化のダイナミズム」の中にある。逆に、なんの刺激もない、退屈な状態では、幸福感は得られず、脳もどんどん衰えてしまう。
<利他行動で相手が変わる時、自分も変わる>
人間の共感力の土台=「ミラーニューロン」という神経細胞 利他の働きかけをした相手が良くなると、わがことのように喜べる 「相手を助けたい」という真剣な利他行動は、まさに自らの喜びとして感じられる。
<運の良い人、悪い人はより多くの人に配慮できるかで決まる>
京都大学藤井聡教授:「他人に配慮できる人は運がよい」という論文 「認知的焦点化理論」-人が心の奥底で何に焦点を当てているかによって運の善し悪しが決まる 「利己的な傾向を持つ人の方が、そうでない人よりも、主観的な幸福感が低い。」「配慮範囲」の広い利他的な志向を持つ人は、よい人間関係を持続でき、自分の周囲に盤石なネットワークを作れるから、運の良さとして現れる。人間は、「個体」というレベルで見れば、非力です。この非力な人間が唯一、他の動物と比べて発達しているのが「脳」「利他行動」で快感を覚える脳、率先して「利他の行動」を取らせる脳。これが、人類が生き延びてくるための、唯一の武器だった。私達は、助け合うことで生き残ってきた人間達の子孫
<人は一人では幸せになれない>
愛されることで、「自分が愛されるに足る価値のある人間だ」という自己肯定感になり、幸福感につながる。「誰かの役に立っている」という実感が、生きる力となる。
<人を育むことの幸福感>
「慈悲」「博愛」・・・「人を育む」ことは幸福感の拡大に。「幸せ物質」オキシトシンが分泌される
<利他も利己になる>
「自分1人だけで生きていけばいい」と思ってる人は、配慮範囲が狭く、幸福を感じる機会も少ない。「縁起」の思想 「この世のすべては相互に関わり合って存在しており、単独で存在しているものなどない」「その人の幸せを心から祈れる相手」が多いほど、脳が幸福を感じる機会が増える。
<逆境を乗り越えていう経験こそが、脳を鍛えている>
この難関を打開する方法を考える時、脳を振り絞っている。何度もの修羅場をくぐってきた人⇒人間としての底力、脳力がある。ただし、逆境に直面した時の心のありようが大切!⇒負けない意識とプラス思考。「いまこそ脳を鍛えるチャンスだ!」という一念が脳を変えていく。
<私の感じたまとめ>
利己の幸福から、利他の幸福へ。=「利他行動は自分自身も幸福にする」
安穏を求める静的な幸福から、困難に挑戦しつづける動的な幸福へ・・・・・・新たな幸福観の提示=「逆境の多い人生は、むしろ最高に幸せな人生になりえる」
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