『コロナ危機が浮き彫りにした日本の統治機構とその弱点』読書メモ 竹中治堅・手塚洋輔 公研no.695 2021.7
公開日:
:
最終更新日:2021/08/05
出版・講義資料
首相の権限は強くない例 安倍首相2020年4月6日にコロナ患者用の病床を5万床にすると発言、しかし2021年6月36000床と目標に到達していない。社会にキャパシティはあっも、権限がない。逆に、PCR検査は権限がっても能力がなかった。検査権限や隔離権限は保健所の設置者、都道府県、政令市、中核市、特別区等が設置し、かなり狭いユニット。都道府県以外は医療体制に責任がないというズレがある。第4波は都立広尾病院等を専門病院として活用し、乗り切っている。デジタル庁や、こども庁よりも先に「公衆衛生庁」が必要。中国、イタリア等を対岸の火事としてみており、入国禁止措置は、入国管理法の規定を実施するまで時間がかかった。飲食店には休業や時短要請を出しておきながら、状況が少し改善するとGOTOトラベルキャンペーンを始めたことへのチグハグ感への批判。責任ある者から、希望観測的な発言はあっても、現実的な予測や中長期的な見通しが示されていない。東京五輪は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の長期計画では、長期戦と明示。PCR検査と水際人流規制を徹底すれば、イスラエル等の「ゼロコロナ」に近づけた。厚生労働省は初期の頃大規模なPRC検査にきわめて否定的で、付和雷同型の意見がネットで拡散、しかし欧米での成功談が報道されなんだやれるじゃないかというムードに変化。今じゃ民間無料検査まで普及。専門家会議は感染対策と経済は分離し、両者の関係は官邸が責任を持つとすれば、五輪対応もわかりやすかった。原子力事故以来専門家の評判が地に落ちていた。ワクチン行政の遅延は、子宮頸がんワクチン等これまでの情報公開が遅れていたことのつけ、1960年代のポリオ大流行時は、政治的決断の元、国内治験を省略して承認している。
関連記事
-
-
保護中: 『from 911/USAレポート』第827回 「アベノミクスの功罪と出口シナリオ」冷泉彰彦 これだけ識字率と基礎算術と社会性の訓練を受けた分厚い人口を抱えた大国が、利幅が薄く労働集約型の観光業を主要産業とするという、どう考えても悲劇的な産業構造に追い詰められた、これは7年半にわたって改革に消極であったことのツケにしても、随分と妙な方向になったと思います
結果的に、これだけ識字率と基礎算術と社会性の訓練を受けた分厚い人口を抱えた大国が、利幅が薄く労働
-
-
『コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から 』西原智昭 現代書館
西原智昭氏の著書を読んだ。氏の経歴のHP http://www.arsvi.com/w/nt10.h
-
-
『日本経済の歴史』第2巻第1章労働と人口 移動の自由と技能の形成 を読んで メモ
面白いと思ったところを箇条書きする p.33 「幕府が鎖国政策によって欧米列強の干渉を回避した
-
-
橋本健二 『格差と階級の戦後史』
この社会はどのようにして、現在のようなかたちになったのか?敗戦、ヤミ市、復興、高度成長、「一億総
-
-
『AI言論』西垣通 神の支配と人間の自由
人間を超越する知性 宇宙的英知を持つ機械など人間に作れるか 人間は20万年くらい前に生物進
-
-
『中国人のこころ』小野秀樹
本書を読んで、率直に感じたことは、自動翻訳やAIができる前に、日本型AI、中国型自動翻訳が登場す
-
-
『「源氏物語」と戦争』有働裕 教科書に採用されたのは意外に遅く、1938年。なぜ戦争に向かうこの時期に、退廃的とも言える源氏物語が教科書に採用されたのか
アマゾン書評 源氏物語といえば、枕草子と並んで国語教科書に必ず登場する古典である。
-
-
『セイヴィング・ザ・サン』 ジリアン・テッド
バブル期に関する書籍は数多く出版され、高杉良が長銀をモデルに書いた『小説・ザ・外資』はア
-
-
『2050年のメディア』下山進
日本の新聞がこの10年で1000万部の部数を失っていることを知り、2018年4月より、慶應義塾大学
