Quoraなぜ、当時の大日本帝国は国際連盟を脱退してしまったのですか?なぜ、満州国について話し合ってる中で軍事演習をしてしまったのか、なぜ、当初の目的である権益のほとんどを認められているのに堂々退場したのか。
日本の国際連盟脱退は、満州事変に対するリットン調査団の報告書を受け入れられないと判断して席を蹴ったものです。
客観的に見てリットン調査団の報告書はよく出来た公正な物です。清朝末期の動乱から満州事変に至るまでの日本と中国と当該地域の歴史的な経緯をよく把握しており、事変自体に関してもよく調べており、流石だなと言う印象です。
満州事変に対する欧米列強の最大の関心事は、満州における権益云々ではなくて、第一次世界大戦の反省からケロッグ=ブリアン条約(パリ不戦条約)において戦争を違法化、先制攻撃による侵略はこれを許さないと決めたのに、堂々と侵略をキメてくれちゃった日本にどう対処しようかと言う点にありました。
満州事変は関東軍の暴走による侵略行為であり、柳条湖事件に対する反撃と言うのは大嘘であると判明した以上、日本の軍事力による満州制圧からの傀儡国家の樹立という流れをそのまま追認することは不戦条約の精神をぶち壊しにすることになり、欧州と世界の平和に大きなヒビを入れることになりますから到底受け入れられません。
そこで、侵略行為に関しては手厳しく批判、軍の撤収を求めつつ、満州進出は軍事じゃない別のアプローチでやってくれよな、権益は大体において認めるからさぁ、と言う現実的な提案をしてきました。
しかし、満州事変以前の幣原外交による中国への過度の融和姿勢による舐められと、中国における現地日本人居留民へのテロ行為の頻発などに対してキレ気味であった日本国民は、満州事変を見て「いいぞ!もっとやれ!」と超盛り上がっていました。
最初は天皇陛下の意向に従い関東軍の責任者の処罰を行おうとしていた政府も、あまりの盛り上がりに尻込みして黙認する流れになってしまっていました。この状況では、日本の侵略行為を指摘して軍事的に一旦撤収することを求める勧告は、国内の政治情勢的にもはや受け入れることが出来なかったのです。
また、事変を首謀した関東軍の幹部連中は、いずれ中国と組んで欧米に対抗すべきと言う思想を持ち、欧米が作り上げたルールをぶち壊しにすることは善であると考えていましたから、政府が必死で事態を収拾しようとするのをあざ笑うかのように、欧米の態度が硬化するような行動を繰り返していました。
以下太字の部分は認識不足
ちなみに、あそこまで拙速な脱退決断は、松岡洋右の性格も影響しているような気はしますね。英語力と押しの強さだけが取り柄で堪え性がなく、外交に関するまともな見識を持ち合わせない松岡を代表として送り込んでいたのは、今から見ればなにやら悪夢のように思えます。
内田外務大臣の訓令が間違い。松岡は脱退する意図はなかった。しかし、帰国して国民が圧倒的に指示していたので驚いている。
関連記事
-
Quora カンボジャ虐殺の原因は米軍という解釈
Osamu Takimoto·金10年ほど海外で生活していました最も誤解されている歴史上の人物は誰
-
現代では観光資源の戦艦大和は戦前は知られていなかった? 歴史は後から作られる例
『太平洋戦争の大誤解』p.183 日本人も戦前はほとんど知らなかった。戦後アメリカの報道統制
-
『フクシマ戦記 上・下』船橋洋一 菅直人の再評価
書評1 2021年4月10日に日本でレビュー済み国民の誰もがリアルタイムで経験した
-
動画で考える人流観光学 マクスウェルの悪魔
【物理学150年の謎を日本人教授が解明】マクスウェルの悪魔が現れた!/東京大学 沙川貴大教授/教え子
-
QUORA ゴルビーはソ連を潰したのにも関わらず、なぜ評価されているのか?
ゴルバチョフ書記長ってソ連邦を潰した人でもありますよね。人格的に優れた人だったのかもしれませんが
-
観光資源評価の論理に使える面白い回答 「なぜ中国料理は油濃いのか」に対して、「日本人は油濃いのが好きなのですね」という答え
中華料理や台湾料理には、油を大量に使用した料理が非常に多いですが、そうなった理由はあるのでしょうか
-
MaaSに欠けている発想「災害時のロジステックスを考える」対談 西成活裕・有馬朱美 公研2019.6
公研で珍しく物流を取り上げている。p.42では「自動車メーカーは自社の車がどこを走っているかという
-
イサベラバードを通して日韓関係を考える
Facebook投稿文(2023年5月21日) 徳川時代を悪く評価する「薩
-
書評『ペストの記憶』デフォー著
ロビンソン・クルーソーの作者ダニエル・デフォーは、17世紀のペストの流行に関し、ロンドン市長及び
-
公研2019年2月号 記事二題 貧富の格差、言葉の発生
●「貧富の格差と世界の行方」津上俊哉 〇トーマスピケティ「21世紀の資本」