『築地と豊洲』澤章 都政新報社
Amazonの紹介では「平成が終わろうとしていたあの頃、東京のみならず日本中を巻き込んだ築地市場の豊洲市場への移転問題。あの騒動は一体、何だったのか。 小池都政最大の謎を、当時、知事の言動をつぶさに見聞した東京都中央卸売市場次長が小池知事の肉声を交えて解き明かす驚愕の内幕。ブレまくる知事、暗躍する知事側近、錯綜する関係者の思惑‥‥」とある。著者が何冊も出版経歴のある元東京都幹部職員なので、エピソードがリアルで、女帝と取り巻きの様子が際立つ。よくぞ豊洲市場開場にこぎつけたな、と感心、仲卸というサカナの目利きがこの騒動で果たした役割も興味深い。時間がない者には、冒頭(10ページ)の「去り際」だけでも読むと面白い。都知事としての評価は初登庁時ではなく、都庁を去るときに地金が見え、定まるとする。石原慎太郎は辞め時を間違えた。4期目の途中に老体となって、自らリクエストしたロッキーのテーマに送られて退庁。猪瀬直樹は札束がバッグに入る入らないの三文喜劇を演じた末に、引きつり気味の笑顔で去った。どけちぶりと小理屈付きで墓穴を掘った舛添要一は、退庁セレモニーを拒否し逃げるように去っていった。誰もが当選すると思っていなかった青島幸男は、退任セレモニーも人柄通り明るいものだった。4期16年を全うした鈴木俊一は誰よりの晴れがましかった。新庁舎を最初に去る栄誉にあずかった。さて小池知事はどう描写されるのであろうか、まだその時は来ないようである。
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