*

『中国人のこころ』小野秀樹

公開日: : 最終更新日:2023/05/29 出版・講義資料, 脳科学と観光, 躾、接遇

本書を読んで、率直に感じたことは、自動翻訳やAIができる前に、日本型AI、中国型自動翻訳が登場するのだろうということである。言葉がコミュニケーションの手段であるのであるから、コミュニケーションの取り方が異なれば、伝わり方も変わるわけで、ニーハオとコンニチハは誰が使っているかで違ってくる。AIにはそれがすべてわかるはずがないわけで、中国人用のAIと、日本人用のAIでは違うということである。それは、AIが人間にとって代われないのではなく、人間がする誤解をAIも同じようにするものまでは実現するが、それ以上のものはないということなのである。

日本人「あなたたちは、いま何時だかわかっているのか!?」 中国人「……夜の2時半です」
日本人バスガイドさん「皆さま、お疲れ様でした」 中国人観光客「いえ、私は別に疲れていません……」

上記のような「噛み合わない」やり取りは、今日もまたどこかの日本人と中国人との間で交わされているに違いない。
それではなぜ、こうした誤解やすれ違いが生じてしまうことになるのだろうか? 
その答えのカギは、日本語と中国語のそれぞれの「ことば」がもつ特質と、それぞれの発想法の違いにあるのだという。
本書は、30年以上にわたり中国語を研究してきた著者が「言語」を切り口にして、
日本との比較を行いながら中国人に特有の思考様式や価値観について分析・紹介した、思わず笑える知識が満載のユーモア溢れる言語文化論である。
グローバル化が進み、中国人との日々の接点が増えている現代日本人にとって、必読の一冊だ。

【中国人の特徴を示すエピソード】 ( 本書内容より一部を抜粋 )

●定番の挨拶と思われている「你好(二―ハオ)」は、実はごく限られた場面や相手にしか使わない
●タテ社会ゆえ、人の呼び名にとりわけ細かい神経を使う
●「身内」か否かによって、その相手に対する態度がまったく違う!
●日本人に「いつもお世話になっております」と言われると、「世話をした覚えは無いのに……?」と反応に困ってしまうことも
●数字の験担ぎにとにかくこだわる
→最強のラッキーナンバー「99999」が付いた自動車のプレートが、なんと単体で5000万円で落札!!
●手土産はとにかく「大きさ」「豪華さ」が重要という文化
●ご馳走をするときは渋くて上品な和食料亭よりも、明るくて賑やかなファミレスがウケることも
●初対面の相手には「収入」を訊くのが定番だが、それはなぜか?

関連記事

no image

書評 AIの言語理解について考える」川添愛 学士会報940号P.42

分類がわかりやすい 1 今のAIは人間の言葉を理解している。  理解

記事を読む

no image

ソ連の北方四島占領作戦は、米国の援助のもとで実施されたという「発見」 『さらば!検索サイト』太田昌国著 現代書館 

また私の頭の中で「歴史は新しく作られる」という例が増加した。表記のpp.77~79に記述されている

記事を読む

『貧困と自己責任の中世日本史』木下光夫著 なぜ、かほどまでに生活困窮者の公的救済に冷たい社会となり、異常なまでに「自己責任」を追及する社会となってしまったのか。それを、近世日本の村社会を基点として、歴史的に考察

江戸時代の農村は本当に貧しかったのか 奈良田原村に残る片岡家文書、その中に近世農村

記事を読む

no image

ゆっくり解説】突然変異5選:新遺伝子はどうやって生まれるのか?【 進化 / 遺伝 子 / 科学 】

https://youtu.be/bGthe_Aw1gQ ミトコンドリアと真核生物の起源:生物進化

記事を読む

no image

gコンテンツ協議会「ウェアラブル観光委員会」最終会議 3月4日

言い出したはいいが、どうなることやらと思って始めた会議であったが、とりあえず「終わりよければすべてよ

記事を読む

no image

政治制度から考える国会のあるべき姿 大山礼子 公研2019年1月号

必要なのは与党のチェック機能 どこの国でも野党に政策決定をひっくり返す力はない 民主主義は多数決だ

記事を読む

no image

QUORAにみる歴史認識 アルメニア虐殺

アルメニア虐殺の歴史的背景はあまり知らてないように思いますが、20世紀の悲惨な虐殺の一ページとし

記事を読む

no image

日本人の北朝鮮観光

他事考慮での観光交流の中断 日本人観光客の北朝鮮訪問数の増加は、両国観光関係者にとっては利害が一致

記事を読む

no image

『金融資本市場のフロンティア 東京大学で学ぶFinTech、金融規制、資本市場』に学ぶべきMaaS

本書を読んで、アンバンドリングとリバンドリングという言葉に出会った。金融機能が、テクノロジーが導入

記事を読む

no image

動画で考える人流観光学 観光情報論 錯覚

https://youtu.be/WnsXhHJ_HJE

記事を読む

no image
ロシア旅行の前の、携帯wifi準備

https://tanakanews.com/251206rutrav

no image
ロシア旅行 田中宇

https://tanakanews.com/251205crimea

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

→もっと見る

PAGE TOP ↑