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『国債の歴史』(富田俊基著2006年東洋経済新報社)を読んで

公開日: : 最終更新日:2017/06/04 用語「人流」「観光」「ツーリズム」「ツーリスト」

標記図書を読み、あとがきが要領よくまとめられていた。財政に素人の私には、非常に参考になる。
要約すると以下の通り。

議会の誕生とともに、絶対君主の私債は国民の借金、つまり国債に生まれ変わった。
国債は、発行時に約束した貨幣で償還される。
元利金は金に兌換可能な貨幣で支払われていた。
国債を大量に発行するために金本位制を停止することがあっても、人々のインフレ期待は抑えられていた。

金ではなく国債を担保に貨幣が発行されるようになると、中央銀行の行動如何が貨幣価値と国際価格に大きな影響を与える。
貨幣の発行が人知の裁量に大きくゆだねられるようになると、目先の便宜が優先されがちとなり、・・・・政治の了解が必要とされるようになった。
言い換えると、貨幣を裁量で発行できるようになった。

対外資本移動を禁止し、政府が中央銀行に影響力を行使すれば、ほぼ無制限の国債発行が可能となる。
市場の否定は、民主主義の否定であった。
中央銀行による国債引き受けを禁止した。暴走の危険がある民主主義に、制約を設けたのである。

国債は最も安全な資産である。
国内で最も信用力の高い資産であっても、・・・各国の国債間には金利差がついてきた。
各国の国債の信用力の格差を示している。
将来にわたる財政収支の予想があたかも金本位制下の金準備のような役割を果たしている。
国債市場は絶えず民主主義の健全性を推し量ろうとしている。

以上である。

北陸の有名旅館が倒産したことがある。銀行が支援しなくなったからである。大型旅館の経営状況は当時の社会経済状況を繁栄しているから、どこも似たようなものであったろう。それにもかかわらず、ある旅館の支援は打ち切りある旅館の支援は継続された。その判断は国際市場に似ている。
日本政府の借金状況は、他国と比較して優れているわけではないにもかかわらず、国際市場での評価が高いのは、日本経済社会の健全性が評価されているからであろう。北陸の有名旅館も、同じであろう。経営者というか、旅館の管理体制が評価されれば支援が継続され、管理体制に問題があれば支援が中止されたということである。有名旅館に限らず、融資一般に言えることであろうから、富田氏の結論はごく常識的なことを言っていることになる。当たり前だからこそ、説得力があるのであろう。

ところで、貨幣の発行であるが、Bitcoinの普及が始まりつつある報道がなされている。コンビニでも使用が開始されたようだ。このBitcoinの評価の評価も市場が行うのであろう。まだ頭の中で整理がついていないのであるが、Bitcoinの普及は安易な国債の発行を許さなくなるとすれば、大いに評価されなければならない。しかし、世界市場が金本位制度と同じく単一化されるとすれば、世界市場が安定しないと、Bicoinも評価されないということになる。それはそれで国を単位とした体制が崩れることを意味し、新しい社会が始まるのかもしれない。

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