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事業創造提案・自家用車を用いた通訳案内サービスビジネスの新展開の可能性(1)

公開日: : 最終更新日:2017/09/05 通訳案内と翻訳導游員

1 通訳案内士法が改正された。

簡単に解説すると、これまでは、留学生等中国語を母国語とする者が、中国から日本に観光に来ている者に、報酬を得て、中国語を用いて観光案内をすることは、通訳案内士の資格がなければ、通訳案内士法違反となった。ネイティブと比較すれば下手な中国語しかしゃべれない日本人通訳案内士のほうが有利な制度であった。今後は「通訳案内士」と名乗らなければ、これまでと異なり、観光案内が可能となった。留学生等が案内しても、通訳案内士という名称を用いなければ、直ちには違反とはならなくなったのである。急増する外国人観光客の需要に対応するためにはもっと早くに改正すべきであったであろう。

すなわち
通訳案内士法が改正され、2018年3月1日から施行されることとなった。通訳ガイドの量の確保を図るため、 通訳案内士資格について、業務独占から名称独占(注)へと規制を見直し、幅広い主体による通訳ガイドを可能としたものである。あわせて、全国レベルのものに限定されず、地域通訳案内士制度も設置されたが、本質なことは両者とも同じである。
なお、同法成立にあたって衆参両院から新制度の周知や通訳案内士の就業環境の整備、受講しやすい研修制度などを求める付帯決議がなされている。

注 資格を有さない者が、当該資格の名称や類似名称を用いることができないとする規制。手話通訳士が一例。大学でない組織が大学とは名乗れなず、大学校と名乗っている例などである。

通訳案内士は、報酬を得て、通訳案内を行うことを業とする者を言い、法律上の定義で「通訳案内」とは、「外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行の関する案内を行うこと」をいうとされ、語学的にさらに高度な同時通訳などが含まれていない、特殊外国語には試験制度が準備されていない等の制度的矛盾を抱えていた。

また、通訳案内士法のもとでは、「外国人の活用を考慮していない」「旅行予約のオンライン化が進む中で、旅行者と通訳案内士の個人同士での手配に対応していない」「悪質ガイドと言っても、単に日本の慣習について知らなかっただけの外国人ガイドが悪質ガイドと判断されてしまう恐れがある」といったことも問題視されていた。

「通訳案内士」または「これに類する名称」を用いてはいけなく、違反は30万円以下の罰金である。日本は罪刑法定主義であるから、刑罰法規の適用において基準を明確にする必要がある。違法ドラッグが取り締まられなかったのも、このことによる。従って、例えば、「中国人用の旅游案内サービスです(日本の通訳案内士ではありません)」と明記することを違反とすることは法治国家の日本ではできないはずであるが、この点の確認が必要であろう
考えられる名称 「国際観光ガイド」「日本文化案内士」等ですが、日本語よりも中国語表記のほうが重要である。この名称を日本、できれば中国でもで商標登録、デザインは意匠登録しておく必要がある。

1-2 日本に滞在する中国人留学生等の組織化

中国人用旅游案内サービスを行うことにできる中国人留学生等の組織化が必要である。米国Uberドライバーのように、スマホで登録してもらうなどのシステム整備が必要となる。この場合に日本語の能力を客観的に評価できるもの(日本語検定、JTB地理試験等)と組み合わせるとなお適切であろう。

2 観光案内人の自家用車によるサービス

〇これまで、通訳案内士が自分の車で交通の不便な観光地を案内するサービスが行われていた。自家用車を用いたからといって、運送サービスの対価を得ていたのではなく、あくまで通訳案内サービスの対価を得ていたから、道路運送法違反にはならなかったのである。医療機関、教育機関や不動産業者が顧客を自家用車で案内して、医療サービス等の対価を得ても、運送サービスではなく、道路運送法違反とはみなされなかったのと同じである。
私も外国旅行をしていて、ネットで予約をした観光案内人が、自家用車で空港からホテルまでの移動サービスをしてくれて、タクシーを使わずにすみ、重宝したことがある。

国土交通省も「自家用自動車の適正使用について」という基準を公表している。
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/niigata/use/document/1._1.pdf
この基準によれば
➀宿泊者、利用者、従業員、会員等の「送迎のための輸送」であること。
⓶「サービスの提供の一環」として行われるものであること。
⓷ 送迎を利用する者と利用しない者との間に明らかな利用料金(宿泊料、飲
食料等)の差がないこと。
⓸ガソリン代等の実費を含め、送迎に係る運送の対価を収受していないこと。
となっており、通訳案内サービスの一環として、顧客のホテル等に自家用車を用いて迎えに行き、観光施設を案内し、再びホテル等に送ることは➀、⓶に該当すると考えられる。
自家用車が実費程度を徴収することは、方針変更により有償運送ではないことが国土交通省から明確されている。従って、ガソリン代等の実費を収受することは可能となっているので基準の⓸は現在では弾力的になってきていると考えられる。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170323/170323honkaigi07.pdf
http://www.mlit.go.jp/common/000225551.pdf
ブログでも紹介している。https://jinryu.jp/blog/?p=6183

〇これまでも日本においても通訳案内士が上記サービスをおこなうことは可能であったが、通訳案内士の資格を得ることが困難であり、実質機能してなかったが、今回の通訳案内士法の改正により、新ビジネスの可能性が出てきた。
「アシスタントガイド:添乗員資格を持つ通訳可能者です。」http://inter.bigs.co.jp/guideといったサービスからの発展が考えられるのである。このアシスタントサービスは中国語の場合4時間18000円で行っている。

〇ストレートに運送の対価を得る場合には、道路運送法の規制がかかり、運送サービスの対価は得ることができても、それより高度な通訳案内サービスの対価を得ることは、制度的体制も整備されておらず、事実上できなかった。今後は、運送サービスの対価を直接には得ずに、外国語を用いた観光案内サービスの対価として報酬を得ることが、通訳案内士法の改正により容易になった。

〇 たとえば、中国人観光客に対して、「東京見物半日ご案内いたします。公共交通機関を用いた場合2万円(鉄道運賃等はご自身で負担)、タクシーを用いた場合がタクシー代の実費+2万円、案内人の自家用車を用いた場合2万円(+ガソリン代等の実費)」という観光案内サービスを行うことは、違法ではないと考えられるようになった。この点は確認が必要であるが、私は、観光立国を標榜する政府が積極的に違法ではないと宣言するべきであるとさえ考えている。慎重に進めるとするのであれば、旅游案内サービス料金を例えば一人半日2万円と決め、電車を使おうが、タクシーを使おうが、自家用車を使おうが同一とするのである。そうすれば間違いなく運送の対価は得ていないことになる。

Uberの実験を福岡で行った際違法の疑いをもたれたのは、距離比例的な調査費の対価を得ていたこと、交通事故の賠償責任訴訟が海外で行うこと(その判断は私は疑問であるが)等であった。従って今回はその問題が起きないようにしておく必要があるのである。

〇 中国人留学生等の場合運転免許取得が必要である。台湾、マカオ、香港、韓国出身者の場合は国際免許で運転可能である。
〇ただし、交通事故等が発生すると、我が国の特性からすぐに規制が強化される傾向がある。外国人観光客であってもである(日本人が海外で事故にあう場合には、逆に日本の旅行業法の規制が強化され、外国の規制が強化されたということではなかった)。従って、このようなサービスをシステム的に提供する場合には、自動車保険の任意保険の付保等の措置は必須であろう。

〇 既存タクシー業者の協力を得るため、中国人旅游案内サービスと既存タクシー業者が提携して、旅行業商品として販売する方式も組み合わせておくとよいと考える。この場合も料金はメーター制に準拠しなくてよいから、競争力のあるものとすることができる。また、旅行業商品を先行して販売することも良策であろう。

2-2 自家用車による中国人旅游案内サービスの手順

3 新サービス市場は中国にある

個人で観光案内サービスを求める顧客は、外国人であり、中国人である。個人のスマホに自国でインストールしたアプリを使用して、日本の観光案内サービスを活用するであろう。従って、中国、台湾等で新ストールされたアプリに、この新サービス商品の宣伝をしておかなければならない。私が海外でBookingcomサービス等を活用する場合も、日本でインストールした日本語アプリを海外で使うからである。従って新サービスの成功は、強力な海外の提携先が必要なのである。

次に日本における中国人留学生等の組織化である。

4 東京オリンピック前の実施

政府はオリンピック成功のため、通訳案内士法の改正を実施したのである。従って、既存運輸業界からの上記構想への否定的運動は大義がなく、同調することはないと思われる。そもそも公共運送は通学通勤等に関するものであり、観光に関して過剰な規制を行うことは不適切である。

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