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在日中国人の観光客用「白タク?」行為の合法・非合法論議

公開日: : 最終更新日:2017/09/05 通訳案内と翻訳導游員

問題定期

在日中国人が、中国のHPに自家用車による都市観光や空港送迎を、人民元建てで広告宣伝している。決済も中国の決済システムによっていると思われる。
同じことは、日本人もマニラで実施しているし、トラベロコというサイトは全世界で広範なサービス提供の展開をしているhttps://traveloco.jp/。おそらく世界中で同種のことが行われているはずである。
旅行者にとって、海外において自国語での観光や空港送迎を利用できることは便利であり、事故も少ないであろう。

翻って、日本で中国語のできるタクシードライバーはいないに等しいはずである。
従って、インバウンド政策の叫ばれる中、英語のできる運転手の確保には関心はあるものの、
圧倒的に数の多い、中国人に対する配慮がタクシー業界においてなされていなかったから、
この問題を提起するにも、業界エゴとしかうけとめられず、かえって藪蛇になることも予想されたのである。

通訳案内サービスの現状

通訳案内とは、単に通訳をするものではなく、旅行に伴って行うものであることが法定されている。従って、自家用車等の使用も前提となっている。これまで、通訳案内士が自家用車で観光案内を行う場合。運送の対価として報酬を得ていなければ、無償運送行為であるとして、道路運送法違反とはされていなかった。当然のことでもある。学校や医療機関等が自家用車で利用者の送迎等を実施していると同様の取扱である。通訳案内士の場合、教育機関の提供する教育サービスに該当するものが、観光案内サービスであるからである。しかも、解釈上、実費程度は徴収してかまわないというにまでなっている。

在日中国人のいわゆる「白タク行為」の違法性の判断

在日中国人が中国人旅行者に対して都市観光案内や空港送迎を、自家用車で実施した場合、可能性としては、道路運送法違反又は通訳案内士法違反の疑いが発生する。
通訳案内士法36条違反の場合は、50万円以下の罰金であり、道路運送法4条違反の場合は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金となっている。
HPを見る限り、通訳案内サービスを実施するということを想起させるものは多くはないが、日本に在住して、運転免許まで保有しているのであるから、通訳案内サービスを提供する能力は多くの場合保有していると思われる。しかし、中国語の通訳案内士の資格を保有する者は日本では2千人程度しか存在しないから、道路運送法違反というよりも、通訳案内士法違反に該当すると判断することが適当であろう。有能な弁護士が付けばそうなること必然である。マスコミは「白タク」と報道しているが、「無資格通訳案内」であって、「白タク」ではないのであろう。

通訳案内士法の規制緩和

通訳案内士法が改正され、通訳案内士試験に合格していなくても、通訳案内サービスを実施できるようになった(2018年1月から)。そこで、再び自家用自動車の使用が問題となる。これまでどおり、通訳案内士の資格を保有して自家用車(無償)を使用してサービスを提供する者は、引き続き合法であると考えることが素直である。その合法性は、通訳案内士法の解釈ではなく、道路運送法の有償運送の解釈の結果でもあるからである。

では、資格が不要となることにより新たに通訳案内サービスに参加する者はどうであろう。これまで「白タク」だといわれる可能性のあったサービスは、一斉に通訳案内サービスだと主張されるようになるはずである。通訳案内サービスとは旅行に伴って提供するものであるから、自家用車(無償)の使用は当然想定されるサービスである。これを引き続き通訳案内士法違反とは言えなくなったのであるから(通訳案内士以外の名称を用いればいい)、今度は「白タク」だということにするのであろうか。

解釈を大幅に変えて、通訳案内サービスに関しては、自家用車の利用はすべて有償行為だとみなす運用に変更されることは考えられる。タクシー業界からの強い反対も予想されるからである。しかしこれでは、従来からの資格を保有している者にとっては、規制強化になってしまう。東京五輪対策としてもマイナス効果しかないことになる。タクシー業界が通訳案内士業界を泣かせたということにもなってしまう。

そこで、名称独占となった通訳案内士資格を保有する者のみは従来通りと解釈する場合、通訳案内士資格を保有せずに通訳案内サービスを提供する者だけが有償運送行為として道路運送法違反に問われることとなる。これまた、通訳案内士法の規制緩和を行った趣旨(名称独占)に合うものではなく、またおかしな法運用にもなってしまう。刑法解釈としては、憲法違反の疑いすら発生しかねず、いくら業界が陳情してきても、監督官庁には採用できるものではない。

上記のことは通訳案内士法の改正時に国会で大いに論議されたと思うのであるが、残念ながら、議事録には見受けられない。タクシー業界もセンサーが鈍かったのであろうか。UBERにばかり目が向けられていて、太宗需要者の中国人には目が向けられなかったのであろう。

私は、観光目的の運送行為を従来通り事業規制することが合理的ではないと考えている。観光と日常の運送行為を同じ法律の中で運用することに無理があり、今回の規制改革でそのことが露呈したのだと思っている。観光とは創意工夫を土台とするものであり、「観光タクシー」がいちいち行政にお伺いを立てて考えているようでは、先進的なサービスとは思われないのである。

なお、中国語通訳案内ガイドのネットでの紹介は皇包車でも行われている
https://www.huangbaoche.com/app/city.html?cityId=217

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