黒船はUberではなく中国の配車アプリ
下田沖にあらわれた「黒船」は一年前からくることがわかっていたから、江戸住民は弁当をもって見学に集まった。
黒船に関する川柳も、時間がたっぷりあったから洗練されたものができたのである。
日本のタクシー業界がUberのことを「黒船」と読んでいるが、黒船は来ることがわかっているから、
本当に怖いのは「黒船」ではなく、中国船なのである。
昨年2400万の外客が来たと話題になっているが、外客というから実像がわからない。
そのうち1800万人は中国、韓国、香港、台湾である。
中国本土からは650万人が訪日しているのである。
将来予測では本土客は簡単に一千万人を超えるであろうから、いわゆる華人が日本国内を歩き回っている姿が目に浮かぶ。
それと同時に中国本土でインストールし使い慣れたスマホでライドシェアする姿も目に浮かぶ。
日本のタクシー業者はお客を逃すまいと、先を急いで中国や香港等からの配車アプリに参加するようになっているかもしれない。
三年前に中国人の友人で日本でビジネスをしていた者が上海に拠点を移した。家族は日本に残しているから逆単身である。
その者が当時東京プリンスのラウンジで、日本は遅れていると中国の配車アプリのすごさを語ってくれたが、ようやく日本にもその事実が浸透してきたようだ。
その一例がNewspicksの中国の配車アプリの記事である。興味の力点は投資のほうであるが、事情はよく伝わってくる。
https://www.uzabase.com/speeda/analysis/archive/56/
また、広州や深圳等珠江デルタの記事も出ていた。珠江デルタの一人当たりのGDPは日本の田舎を超えだした。
鹿児島や青森の人の海外旅行率は4%程度であるが、中国本土は香港等への日帰りも含めれば全国平均で8%にまでなりだしたのである。
NY調査でご一緒したタクシージャパンの熊沢さんも昨年末に杭州と上海にゆき、中国事情をレポートしている。
臨場感があって面白いが、シンガポール等も同じなのであろう。
タクシーのことがわかるには、マイカーとバスのことがわからないと全体は見えてこないと思っている。
マイカーの需要は減少していないのに、バスの需要が6割になったのは、ニーズに適合していないからだと、2002年のモバイル交通革命で主張した。
タクシーの需要も同様である。地方では個人が一人一台、車を持っているのに、バスなど使わない。ましてやタクシーなどである。
当時はタクシー業界もモバイル交通革命に賛同する人がいたが、今ではライドシェア反対で話しづらくなっている。
私は、モバイル交通革命で書いたことを、UberやHailoが実施しているだけだと思っているのだが。
なのにライドシェア大反対の大合唱には理解ができない面がある。
叫ぶなら白タク反対というべきであろう。
ライドシェアは乗合であるから、合理的であり、それをスマホが可能にしたのである。
営業行為、有償行為としてどう位置付けるかの積極的議論を展開すればいいのであろう。
さらに言えば、全国一律で議論することもやめた方がいいのであろう。
逃げ腰の首長が多いとは思うが、自治体に責任を持たせれば、カネも出さざるを得ないのである。
運輸局行政では財源がないのである。
制度的には日本の場合、旅行業法の企画旅行を活用すれば障害はない。
旅行業法は陸海空、それも海外旅行の場合にまで適用されるから、
タクシーだけのために法の解釈や運用を変えるわけにはいかないであろう。
東京のタクシーは、道で拾えるから便利である。便利だから配車アプリが普及しない。
道で拾えない、ニューヨークや中国では配車プリが普及した。
どっちがいいかは難しいが、その次にあるものが違うのである。
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