*

看中国 予定原稿① 11月22日用

①日本での運送法体系についてお聞かせてください
中国人に教えるようにわかりやすく答えていただけますか

・日本の陸上旅客運送体系は、乗合形態のもと貸切形態のものに分類されます。
・乗合である鉄道や乗合バスは、誰でも利用できる交通機関ですので、運賃や運送条件等が法律で規制されています。その代り、他の交通機関を抑制することで営業が保護されています。貸切形態のものは、借りた人だけが利用できるものですから、その分公共性が薄く、規制も緩やかです。
・そこで、タクシーは公共交通機関であるかという問題が出てきます。
・流し営業をしているタクシーは、道路上で誰でも利用できますから、公共交通機関に準じた扱いがなされています。この点は、日本も、英国・米国も同じです
・車庫で予約を待っているような、流し営業をしていないタクシーは、英米では、公共交通とは考えられていませんので、規制が緩やかです。従ってライドシェリングが可能なのです。
・日本では、流し営業をしていないタクシーも、流しをしているタクシーと同じ規制が法律でなされています。運転免許証も専用のものが必要となります。ライドシェリングはできません。
・従って、タクシー車両ではない車を使用して、業として、有償で他人を運送すると、道路運送法違反になります。
「業として」という意味は、反復継続して行っているということで、一度や二度程度は該当しません。
「有償」の意味は幅があります。高速道路代金やガソリン代等の実費をもらうことは有償とはみなされません。東京には、CREWという配車アプリがありますが、実費として500円程度もらっているようです。あとはチップをもらうだけで、料金は決めていませんから、違法ではないと行政解釈されています。
「他人を運送」するという意味でありますから、家族等を運送することは違法ではありません。少人数のクラブ制で会員が交互に運送することは違法ではありません。私は、携帯電話の普及で、このクラブ制の範囲が拡大すると思い、2000年に『モバイル交通革命』という本を書きました。
・携帯電話の登場により、この解釈環境にも大きな変化が起きていることは事実です。日本は法治国家ですから、最終的には裁判所で決定されますが、それまでは運輸行政当局の判断が優先されます。刑事事件の場合は、推定無罪ということで、判決が出るまでは無罪です。刑事訴訟法の手続きがありますから、警察は証拠もなしに逮捕することはありません。

図(省略)

②運転手付きのレンタカー  日本社会でメリットは何ですか
現時点の問題点は何ですか

レンタカーは、ナンバープレートが白色であるようにバスタクシーといった営業用の車両ではなく、自家用自動車と分類されています。通常は、レンタカーを借り受ける人が自分で運転するのですが、必ずしも、借りた人が運転しなければならないわけではありません。会社が借りた車を、社員が運転することもあれば、友人が借りた車を運転することもあります。

レンタカーのメリットは、自分で好きな車が選べることと、費用が安く済む場合が多いことでしょう。日本の自動車損害賠償保障法は、レンタカー会社等のように、自動車の運行により利益を受けている者に、事実上の無過失賠償責任を認めていますから、被害者保護が徹底しています。従って、レンタカー会社は強制保険に加えて、任意の損害賠償責任保険に必ず入っています。その意味では、個人の車で事故を起こした時に比べて、被害者保護がしっかりしていると言えます。中国からのお客さんも安心して同乗できると思います。

そこで、レンタカーを貸す場合に、運転手をつけて車を貸すことが考えられるわけです。フィリピン等諸外国では、ドラーバー付きレンタカー制度が普及しているようです。言葉もでき、道もよく知っているドライバーに旅行案内をしてもらうことは快適です。

日本にも、運転手を派遣する制度があります。しかしながら、レンタカー会社が直接ドライバーをつけて車を貸すと、実質上予約を受けて配車するタクシーと同じ形態になってしまいます。流し営業と区別している国では問題になりませんが、日本では区別していませんから、道路運送法違反になる可能性が高いのです。行政当局も道路運送法違反の疑いが濃いと考えています(内閣の公式見解は出ていませんし、判例もありませんが)。

従って、レンタカー会社からドライバーの紹介を受けるのではなく、自分でドラーバーを探すことが必要となってくるのです。幸い、中国でのネット情報は発達していますから、中国語ができ、なおかつ、日本で運転できる資格のある者を検索して申込をおこない、レンタカー代金とは別にドライバーに謝礼を支払えば、完全に合法的に楽しい旅ができます。まだ本格的なシステムは存在しないようですが、一日も早く立ち上がることを期待します。必要であればお手伝いも致します。

現在、自分の所有する車で旅行案内をしている日本在住の中国人もいると思われますが、有料で業として行っているようであれば、道路運送法違反の可能性が極めて高いです。レンタカー制度を組み合わせて、レンタカーを借り受けた人の代わりに運転する形に一刻も早く変更されることを期待します。

本当は、中国人旅行客が直接運転ができればいいのですが、日本と中国の間には、運転免許証の相互承認制度がありません。一日も早く相互承認制度ができることを祈っています。

関連記事

Boro Taxis(Green Cab) ニューヨーク市民の新たな足「ファイブボロー・タクシー」  ニューヨークのタクシー台数増加

かつては、車体を独特の黄色に塗装した"メダリオン・タクシー" (medallion taxicabs

記事を読む

🌍👜 🚖シニアバックパッカーの旅 2018年9月11日 チームネクストモスクワ調査⑤ Fusion Auto社 ワールドカップ対策

Fusion Auto社Fusion Auto社は6月14日~8月15日にロシアで開催されたワール

記事を読む

no image

『高度人流社会を迎える配車サービスの動向』 WEB観光政策フォーラム(https://www.kankou-seisaku.jp/)視点(2月)原稿

スマホに目的地を入力するとたちどころに経路と時間が表示される。高精度GPSが装備され、Wi-Fi

記事を読む

no image

松尾豊氏の「デープラーニングの先にあるもの」を聴講して、「配車アプリ」を考える

本日、東大の山上会館において資本主義研究会が主催した表記講演を聞いてきた。 松尾氏の説明では、

記事を読む

no image

動画で見る世界人流観光施策風土記 Uberの中国市場撤退の見方

わが国ではUberに対する生理的反感を持つ人(交通学者に意外とみられる)と手放しで歓迎する人(New

記事を読む

no image

パブリックコメント「道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について」の一部改正に関する意見公募について

道路運送法の有償性に関する事務連絡の改正が検討されており、パブリックコメントが募集されたので、応募し

記事を読む

🌍🎒 🚖シニアバックパッカーの旅 動画で見る世界人流観光施策風土記 2016年11月4日 チームネクスト合宿 in ニューヨーク 4日目 配車アプリ関係者ヒアリング

朝ホテルで朝食。そのあと、地下鉄でStonewallに行く。地下鉄のチケットの買い方一つでも戸惑うも

記事を読む

配車アプリー今年を総括するー総合生活移動サービスの将来

配車アプリが登場した当初はネット社会では大歓迎で、Uber等の企業評価額も天井知らずでした。欧州でタ

記事を読む

London Car Dispatch App Report ①

8th March 2015 we arrived in London Heathrow Airpo

記事を読む

ニューヨーク市長のタクシー政策 ~チームネクスト合宿 in New York  に備えて~

「For-Hire Vehicle Transportation Study January, 20

記事を読む

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

2025年11月22日地球落穂ひろいの旅 プンタアレナス

旅程作成で、ウシュアイアとプンタアレナスの順序を考えた結果、パスクワか

2025年11月19日~21日 地球落穂ひろいの旅イースター島(ラパヌイ) 

チリへの訪問は2014年に国連加盟国 として訪問済み。イースタ

→もっと見る

PAGE TOP ↑