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配車アプリの話題と将来  Hailoと提携しているナニワ交通を訪問して

公開日: : 最終更新日:2016/11/25 配車アプリ

○巨額投資を呼び込む配車アプリ会社

タクシーアプリが話題になっています。Hailo等はロンドン共通局のホームページで紹介されていますし、Uberは世界50カ国250都市において展開中で、その本社の評価額は400億ドルであると、海外マスコミで話題になっています。ソフトバンクはグラブタクシー・ホールディングスに、2億5000万ドル(約300億円)を出資し、最大の株主となったと報道されています。グラブタクシーは、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシアの17都市でサービスを展開するタクシー配車アプリで、携帯から、近くにいるタクシーを呼ぶことができようです。

当然、日本でも話題になります。タクシーアプリは日本交通をはじめ多くの交通機関が自社商品の利用促進に導入していますし、サードパーティー型のhailoもUberも進出しています。そこで、先進的にサードパーティー型のタクシーアプリを導入された大阪のナニワ交通植田保二氏に状況をお聞きする機会を得ましたのでその結果も踏まえて解説してみたいと思います。

○都市事情で必要性が異なる配車アプリ

先ず交通事情は都市によって千差万別で、ある都市で成功したから別の都市でうまくゆくというものではないということです。自家用車の規制が厳しいシンガポールではタクシーアプリ配車に人気があるものの、逆にそれだけタクシーが捕まえにくいということです。また、鉄道整備状況等が進展していないマニラやジャカルタでは、道路が混雑していますから、タクシーアプリ配車に人気が出るのでしょう。ロンドンのように流し営業が可能なブラックキャブはドライバーの資格取得がきわめて困難ですから、需要に供給が追い付かず、利用者の要望を反映して事前予約制のミニキャブ日本で言えば有償運送の許可を受けた自家用自動車のようなもの)が普及したのです。ミニキャブは流しが禁止されています。

ここに、ドライバーと運転手を直結する情報手段としてスマホ・アプリが登場しました。日本ではそれまで携帯電話や無線呼び出しも存在しましたが、デジタル位置情報機能が備わっていませんでした。日本の個人タクシーやロンドンのブラックキャブのようにドライバーが実質経営者的機能を持っていれば、サーパーティ機能をもった配車システムのもとに組織化されることは十分に考えられます。日本の個人タクシーは無線システムのもとに組織化されている面があります。法人タクシーも無線システムのもと組織化されているのも同様の事情でしょう。個人の多いブラックキャブもアプリ配車のHailoと組んだ理由がそこにあります。ですからロンドン交通局のHPに紹介されているのでしょう。

○タクシー配車アプリの規制

ここにUberが参入してきました。運賃収受に関与する点ではHailoも同じなのですが、ミニキャブ(自家用車)もシステムの中に組み込みましたから、運送機能を持っているとブラックキャブに攻撃されたのです。ロンドン交通局はHailo等との兼ね合いもあるのでしょう。運送機能を持っていると判断することには否定的です。シンガポール交通局は、タクシーアプリ規制を検討していると報道されています。サードパーティー的なものを排除するようです。グラブタクシーは運転手と直接面談を行い、ドライバーを雇用しています。手間はかかるがすべての運転手と直接面談を行い、徹底した身元確認を実施している。そうすることで、契約運転手の質を担保し、サービスの向上につなげているようです。

ライバルのUberは、ドライバーと乗客を結びつけるというアプローチで、マーケットと規制当局を混乱させており、タイやベトナムでは問題となっていると、ウォールストリートジャーナルは指摘しています。グラブタクシーは、タクシー会社のタクシーしか配車を行わないとし、当局と常に協力する姿勢を打ち出しているようです。

○人間の技と配車アプリ

植田保二氏との話の中で、タクシーアプリビジネスの成立には、人間の技との競争があることを強く認識させられました。私が中学生の頃、梅田駅では切符券売機の前で切符を販売しているおばさんたちがいて驚いたことがあります。回数券を事前に購入して、利用者にバラで販売しているのです。一割の利潤が確保されます。券売機よりも人力の方が素早く購入できるので利用されました。東京の街を流している売上成績の良いタクシードライバーは、何時何処で人流が発生するかすべて頭に入っていますから、アプリなど使っていると効率が悪いのです。駅、病院での待ち受けや無線予約配車より効率よく売上を上げています。アプリ配車が流しのドライバーに勝てるのと、知能ロボットが東大入学試験問題に合格できるのとどちらが早いのでしょうか。

○ビジネスモデルと規制

技だけではなく、大都会のビジネスモデルもアプリ向きではないのです。チップや逆に値切り交渉の多い大阪では、クレジットカード払いを前提とするアプリ配車は手数料計算で不具合が発生します。乗り間違いによるキャンセル等でのトラブルも考えられます。規制が厳しくてアプリに不向きなのではなく、建前を守ろうとするとアプリには不向きだということでしょう。

そんなこんなで、大坂で始まったHailoもナニワ交通では最初は10台で対応していたようですが、ドライバーのスマホに対する不慣れも重なって、現在では1~2台の対応で十分なニーズしかないということでした。

○配車アプリの将来

しかし、これからは確実にスマホアプリ配車が普及してゆくでしょう。車内忘れ物のナンバーワンがスマホです。宅配便の配達員と同様、高齢化社会では、勝手を知っているいつもの運転手さんという形が普及してゆくでしょう。スマホの操作性も利用者に対応して進化するでしょうし、何よりもドライバーの技に依拠した歩合制賃金体系のタクシーのビジネスモデルが変化する可能性があります。その変化は残念ながら日本発ではない可能性もありますが、日本の旅行業の特色を生かした月極め定額乗り放題タクシーの成立はそこまで迫っているような気がします。

(ナニワ交通の車庫)

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