*

タクシー事業者の自家用有償運送に関して

公開日: : 配車アプリ

前にもブログで、ライドシェアが社会問題化しつつあるが、健康食品と医薬品の関係に似た議論であることを記述した。

タクシー事業が成立しない地域において、NPOに自家用車の有償運送を認めているのだから、タクシー事業者にも自家用の有償運送を認めろという議論は一瞬もっともらしく響く。
しかし、道路運送法はバスタクシーが成り立たたないことを前提にしており、タクシーがメインではない。思想的にはバスの成立の妨げになるタクシーも規制しているのであり、タクシー事業者の乗合運送は法的に完全に禁止されているのである。従って乗合クシーを実施するには、貸切バス許可を受けてからでないと、乗合の許可が下りないのである。

車庫待ちのハイヤー行為だから、欧米と同じように認めろという論理も飛躍があり、欧米でも、例えばブラックキャブやイェローキャブがハイヤー行為をするわけではなく、完全に別会社が行っている。その点では、三ヶ森タクシーの主張はロンドンとは違うのである。従って、完全に別会社が行えるようにしろというのであれば、筋が通っているが、そんな主張はしていない。あくまで既存タクシー業者に認めろと主張するから、法律上の建前が崩れる国土交通省は否定するのである。規制改革委員会は、タクシー会社の自家用運送を手始めに、道路運送法に風穴を開ければいいのであろうから、論理的な対応をしているわけでもない。

私は、スマホ配車時代、車庫待ち営業を流しと同じ基準で規制するべきではないと思っている。その場合に、車庫待ち営業は欧米のように自家用運送とするなら、タクシーやバス会社だけではなく、レンタカー会社、車両管理会社、運転手派遣会社、NPO法人等多様な主体で構わないと思っている。健康食品販売を薬局に限って特別扱いする理由もないことと同じである。車庫待ち営業は勿論のこと、地域運輸を自治体の権限にして、自治体が判断すればいいのである。この案には既存タクシー業界は賛成できないであろう。従って、タクシー事業者が自家用有償運送ができるという案にもうかつに乗るわけにはいかないのである。規制改革委員会に駆け込んだ案は裏切りと映るのも仕方がないのかもしれない。

この点に関する専門紙の報道ぶりは腰が据わっていないというか、よく理解していないという感じがする。それは、欧米の車庫待ち営業に関する記事一つを取り上げても正確さに欠けることから分かる。

関連記事

ニューヨークのタクシーから予測すること ロボットタクシーよりも外国人運転者

VOAのニュースで、2016年4月の市議会で、外国語で与えられるべきタクシーライセンスを取得

記事を読む

no image

タクシージャパンのライドシェアに関する記事(労組関係)

タクシージャパンで、戸崎肇氏及び国際運輸労連ロンドン本部内陸運輸部長浦田氏の講演内容の紹介記事を読ん

記事を読む

no image

「相乗り」「乗合」ライドシェア及びタクシー乗り放題制度(「タクシー定期券」)に関する大いなる誤解

2001年『モバイル交通革命』を出版したときに、乗り放題制度を提唱し、その前提にはライドシェアを置い

記事を読む

Boro Taxis(Green Cab) ニューヨーク市民の新たな足「ファイブボロー・タクシー」  ニューヨークのタクシー台数増加

かつては、車体を独特の黄色に塗装した"メダリオン・タクシー" (medallion taxicabs

記事を読む

🌍🎒 🚖シニアバックパッカーの旅 11月2日 チームネクスト合宿 in ニューヨーク 2日目 ニューヨークタイムズ観光部訪問

11月2日 朝は、ニューヨークタイムズ社に行く。タクシーJapanの熊沢さんが立派な説明資料を

記事を読む

no image

看中国 予定原稿① 11月22日用

①日本での運送法体系についてお聞かせてください 中国人に教えるようにわかりやすく答えていただけます

記事を読む

no image

ヘルシンキのシェアリングエコノミー・サービス「Whim」

ヘルシンキのWhimがNewspicksで取り上げられて、好意的なコメントが多かった http:/

記事を読む

🌍👜 🚖シニアバックパッカーの旅 2018年9月11日 チームネクストモスクワ調査⑤ Fusion Auto社 ワールドカップ対策

Fusion Auto社Fusion Auto社は6月14日~8月15日にロシアで開催されたワール

記事を読む

no image

ニューヨーク市長がUberの台数制限案を引っ込めたという記事 July 22, 2015  De Blasio Drops Plan for Uber Cap

De Blasio Drops Plan for Uber Cap After long, bitt

記事を読む

no image

生産性向上特別措置法(規制のサンドボックス)を必要としない旅行業法の活用

参加者や期限を限定すること等により、例えば道路運送法の規制を外して、自家用自動車の有償運送の実証実験

記事を読む

PAGE TOP ↑