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規制改革会議 無償運送、謝礼に関心 東京交通新聞2017年3月27日

公開日: : 最終更新日:2019/07/07 人流・観光政策への評論, 通訳案内と翻訳導游員, 配車アプリ

標記の記事が東京交通新聞に出ていた。
規制改革会議が、3月23日現行の基準を緩和できるかヒアリングをしたとある。国土交通省は否定的な考えを示したと報道している。
規制改革会議の内容は次のアドレスに出ている。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170323/agenda.html

資料はhttp://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170323/170323honkaigi07.pdf
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170323/170323honkaigi08.pdf

経緯 
道路運送法等の一部を改正する法律(平成18年法律第40号)が成立した。その結果、市町村、ボランティア団体等が行う自家用有償旅客運送について、新たに登録制とされた。規制緩和に逆行する懸念もあったのか、参議院国土交通委員会において「NPO等による福祉有償運送について、好意に対する任意の謝礼にとどまる金銭の授受は有償に含めないこととするなど「自家用有償旅客運送」に係る有償の考え方及び運送対象者の範囲を示す」旨の附帯決議がつけられた。

平成18年9月29日に、国土交通省自動車局旅客課長名で、各地方運輸局自動車交通部長及び沖縄総合事務局運輸部長に対して事務連絡として「道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について本附帯決議の趣旨を踏まえ、標記についての考え方 を整理したので、その旨了知されるとともにその取扱いについて円滑な実施に努める」ように文書(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170323/170323honkaigi10.pdf)が出された。いわゆる行政機関内部の通達であり、対外的には法的拘束力はないものの、行政行為に関わることであり、処分が取り消されない間は有効性を持つものである。

行政手続法が制定されており、行政機関(特に地方運輸局)が恣意的にならないように慎重に配慮する姿勢がみられる。
形式的には登録等を必要としないものを示す形になっているが、付帯決議の精神及び行政手続法からすると、登録を必要とするものを具体的に限定列挙すべきなのであろうが、それでは関係業界からの反発も激しいことが予想され、このような形に落ち着いたのであろう。

地方分権
国土交通省の関係機関間の事務連絡であり、安心院の農村民泊が認められた時のように、権限が自治体の長に移譲されている場合には、国の課長レベルの事務連絡では政治的に有効性をもたなくなってしまう(相手次第ではあるが)。大分県では県知事の判断が大きく影響し、解釈によって規制が緩和され、農村民泊が認められた。観光関係で評価の高い安心院の農村民泊が可能となったのである。同様に自家用自動車の有償運送の行政処分権限が自治体に移譲する制度が制定されている。その場合には、農村民泊と同様に地方自治の精神から有償運送行為の範囲が限定される運用効果が期待されるところである。

裁判等
運賃認可でも訴訟になるように、最終的には裁判で決められるものであるが、裁判で決定するまでは、行政機関の判断が有効である。課長は行政機関ではないから、この場合は大臣か地方運輸局長の判断が必要である。

裁判ではなく行政機関の解釈を公式に聞きたいとなれば、国会議員による質問主意書を利用する方法がある。この場合は閣議決定されて、内閣の返事が国会に報告されるから、極めて内容の重いものになる。閣議決定される場合には、内閣法制局の審査を受けるからしっかりした回答になる。自動車局の範囲を超えて、内閣全体の判断になるから、規制改革会議の所管大臣の同意も必要になり内閣全体の判断となる。ばす・タクシー業界だけの意向が反映されるわけではなく、利用者の意向も反映されることになる。

白バス・白タクの判断
さて、基準の中身である。国会での議論を踏まえたものとなっている。ホテルの無料送迎バスまで白バス・白タクだというような時代ではなく、国会議員も付帯決議で無償の範囲を広くするように意見を付けている。
それを素人向けにわかりやすく図式化したもがhttp://www.mlit.go.jp/common/000225551.pdfに出ている。よくできた資料であり、日本の霞が関のレベルはまだまだ捨てたものでなく安心である。

大雑把には、燃料代、通行料、駐車料金など実費は有償運送に該当しない対価であるとなっている(通信費、減価償却費、人件費等合理的に判断した場合にはそれなりに議論が数多く出るであろう)。任意の謝礼(チップが典型で否定できない)も有償性がないとなっている。この説明ではパチンコの三点買い方式のようなものには否定的であるが、同じ内閣の警察庁からは異論が出るかもしれない。自家用車の運送行為のお礼にパチンコの景品を提供した場合、受け取った人は景品替えの店で現金化できるが、道路運送法違反だとする前に、刑法に触れることになるから、内閣全体で方針を決めなければならなくなるから、この課長通達はフライング気味と思われる。

介護保険導入の際に、介護保険財政上の要請から規制が強化されたような面もあるが、当時と異なり、高齢者の運転の問題に移ってきているから、都会と過疎地域を同じレベルで議論している課長通達は、かえって公益に反するようになってきている。つまり、バス・タクシー会社も引き受けないような事例の救済策が必要になってきているからである。

社会的コストをかけて裁判所で細かに判例を作るような社会システムに日本はなっていない(交通事故損害賠償は例外的)から、行政機関がある程度指針を示すことは効率的であると思われるが、地域の実情が反映される必要がある。そのためには国で一律に判断するのではなく、自治体で判断すればいいと思われる。自家用運送の有償運送の権限は自治体に移譲できるのであるから、多くの首長が手を上げざるを得ないようにすることが早道であろう。

規制改革会議が基準緩和の意向を打診したとあるが、自動車局長を追い込んでも、業界との板挟みになるだけで気の毒である。それよりも地方分権が早道であろう。地方分権で業界は困らないはずである。

整理をすると、白タク行為でないとされる場合が定型化される。

〇まず「運送」ではないとされる場合である。航空機の場合、運送事業と使用事業に分類され、遊覧飛行は運送であるが、写真撮影は使用事業である。車をチャーターして撮影する場合は運送事業ではない。スクールバスや通院バスも同じ範疇なのであろう。

事業ではないとされる場合がある。偶発的に行われたものであり反復して行わなければ、いちいち規制する必要はないということである。程度問題であろう。

直接の対価性の問題は、パチンコの三点買い方式が典型である。

間接の対価性は奥歯にものが挟まった状態であろう。時代が変わったこともあり、役所側の説明が明確でないと違反とすることが困難な社会である。朝食や送迎が無料のビジネスホテルは宿泊代金で回収しているが、これを有償運送とは認識しない時代になっている。福岡のUberの実験は調査ということで運送ではないという論理と調査費の支払いという説明を準備していたが、わきが甘すぎて違反とされた。社会的に脱法行為とみなされても仕方がない状況であった。論理を整えておけば違反とする立場にも責任があるのであるから、成功したかもしれない。

実費の徴収 現在スクールバス、通院バスが実費を徴収している。事務連絡でも認めており、5百円程度は構わないようである。違反とした場合、多くの学校、病院からのクレームが殺到するであろうし、また行政事務も増大する。関係運送業界も日頃お世話になっている病院や教育機関との対立は避けたいであろうから、実費の徴収は対価はないという解釈にならざるを得ないのであろう。本来はこれらの指導も行政手続法では文章で明確化しなければならないことになっている。

チップの扱い 海外旅行のガイドブックには必ずチップの相場が記載されている。チップであるから確定額ではなく幅が示されている。日本のタクシーの場合チップは必須ではないが、もらっていけないとは記載されていない。仮に標準チップが掲示されていた場合道路運送法違反になるのかという問題があるが、今のところ事例が見当たらない。

パッケージツアーの構成商品として提供される場合 詳しく記述するスペースがなく、HPの関係個所(博士論文等)を参照してもらいたいが、旅行業者と運送業者の間に道路運送法に適用があるかないかになる。あるとしてもないとしても現行制度を合理的に説明できない実態がある。航空法のように旅行商品用の運賃を決めて約款を整備するしかない。しかも国際的に通用するようにしておかないとパック商品ができない。従って現状では道路運送法の運賃は適用されていないという実態になっている。では運送を旅行業者から引き受ける者は道路運送法の許可を持っていなければならないかという問題が残る。旅館が自家用車で観光案内をすることは考えられるからである。無償との関連もでるが、現実処理からすると規制する必要は薄いものの、事故が発生すると大事になるであろう。要は事業規制ではなく、ドライバー規制として制度を整理すればこれらの問題は解決するのである。

運送機能の分化現象 運送行為は、車両の提供、ドラーバーの管理、乗客の確保に大きく分かれる。古典的な運送業はこれらの3つの機能をすべて運送事業者が保有していた。免許制のもと数量規制が行われていたから当然でもあった。しかし、社会情勢の変化により運送用具の確保はリースで行われるようになり、車もレンタル、リースが普及している。職員は人材派遣業を活用するように変化している。乗客の確保は旅行業を活用する。従って、これらの機能を活用すれば、いつでも運送業が始められいつでもやめることができるようになったてきたのである。そのような中での有償性論議であり、海運や航空では当たり前のコードシェアであるライドシェアが普及するのは必然のことでもあった。

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