航空機使用事業、自家用自動車使用事業という分類
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最終更新日:2017/08/31
通訳案内と翻訳導游員
航空法第2条は、航空運送事業(旅客又は貨物を運送する事業)と航空機使用事業(他人の需要に応じ、航空機を使用して有償)に区分し、例えば遊覧飛行等は航空機使用事業に該当すると行政運用されている。顧客が東京の空を観光したいといった場合、あるいは上空から東京を調査したいといった場合は、運送事業には該当しないことになる。しかしながら、楽しみの旅である遊覧は頭の中のことであり、どこか途中の飛行場に立ち寄った場合などは、運送目的が主であったかもしれない。外形上は判断できず、他人には伺いしれないこととになる。
さて、自家用飛行機で通訳案内サービス(有償)を行う事業は、航空機使用事業に該当する。遊覧飛行よりもさらに明確である。従って自家用車を用いて通訳案内サービスを行う事業もいわば自動車使用事業であって自動車運送事業には該当しないと考えられる。この考え方によって観光庁は行政運用している。観光庁の見解は、運賃報酬を受けない前提であれば、通訳案内士が車を運転してガイド業務を遂行することは、問題無しということである(運送行為に該当しない)。
通訳案内士法が改正になったが、この観光庁見解が継続されることの確認が望まれる。通訳は旅行に際して行われるという法律上の規定からすれば、改正があっても当然の解釈でもある。タクシー業界からの異論が想定されるが、政府全体の見解はオリンピック対応の規制緩和策であるということになると思われる。
しかしながら「有償運送」に関する国土交通省自動車局旅客課長の事務連絡文書を尊重して、通訳案内サービス料金は、自家用車を利用する場合としない場合の区別をせず、しかも発着地点も同一地点(ホテル等待ち合わせ場所)に限定することで対応することが賢明である。また、中国人観光客に中国語で案内サービスを行うことから、当然日本での就労資格は保有するわけであり、日本語能力は保有していると考えられ、そのうえで、東京であれば、東京についての観光資源をきちんと説明できる知識を保有することの保証が得られればいいのであろう。
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