*

ノーム・チョムスキー著『誰が世界を支配しているのか』

公開日: : 最終更新日:2023/05/31 出版・講義資料, 軍隊、戦争

アマゾンの書評で「太平洋戦争前に米国は自らの勝利を確信すると共に、欧州ではドイツが勝利すると予測し、両国が世界を支配する戦後を想定していたという話には驚かされるが、大戦直後の世界における米国の力は圧倒的であり、米国は当然のように世界を「所有」する権利があると考えていた、という考えに基づけば、戦後からこれまでに起こって来た事件の裏にあるものが見えて来る。米国をイスラム世界から追い出したいと考えていたビンラディンは、小さくとも(米国にとって)高くつく戦争に何度も引き込み、破産させることが有効であると考え、実行していたこと。アラブ世界の大多数は米国とイスラエルを最大の脅威とみなす一方、イランを脅威とみなす国は少ないこと。米国の意向に沿わない国の政権を転覆させるべく、抵抗勢力に武力供与すること(そしてそれが回り回って米国の利益とはならないこと)。などなど、米国中心の見方から視点を変えると見えるものも違って来る。世界を支配しているのが仮に米国だとしても、その米国の政治指導者に影響を与える権力構造はどうなっているのか、という点についても触れている。それは、多国籍企業や巨大な金融機関であり、資本家であり、必ずしも一般国民の意向が反映されている訳ではないとの指摘であるが、この構造はトランプ政権では少し変わって来る可能性があるかもしれない。」とあるのは、参考になった。

 

私がいつも疑問に思うのは、キューバのグアンタナモでの米国役人の拷問で、条約により米国がキューバから借りているにしろ、米国の法律が及ばないので、拷問が可能という点である。ではどの法律が適用されるのであろう。米国人にはどこであろうが米国の法律が適用されるという原則は働かないのか、いろいろよく調べてみたいと思う。

 

オバマ大統領が、独立国のパキスタンで、裁判にもかけずにビンラディンの殺害を命じたことは、私の常識からすれば、違法だと思っているが、この本の著者も同感のようだ。

 

ベンジャミン・フランクリンはアングロサクソン人種が純血であり、「新植民地はドイツからの移民に慎重であるべきだ」と警告していた。「なぜならスウェーデン人と同じであまりにも色が黒いからだ」というくだりも驚きである

 

欧州の移民排斥傾向にも警告を発し、ナチスが選挙で得票した割合は当初3%であったことを紹介している。

 

 

19世紀以前、綿花栽培地のアメリカとエジプト、両地域ともポテンシャルは同じであったが、アメリカは保護貿易で国内産業を英国から守ることができたが、植民とのエジプトは英国がそれを許さなかったから、今日の差ができたというフレーズも、それだけが原因とは思わないが、納得のできる面もある。

 

 

ベトナム戦争を始めたのは、ケネディとキッシンジャーであるという事実、そしてカーター大統領が「破壊はお互い様だ」といい、「借りはない」といって物議をかもした

 

アメリカは横暴だが、戦前のようにアメリカに歯向かうことはもっと無謀であり、今の日本の外務省の米国追随政策には基本的に賛成である。しかし、その自覚をもって追随すべきで、自覚なしの嫌中嫌韓のネット右翼は軽蔑するだけである。

関連記事

no image

観光資源評価の論理に使える面白い回答 「なぜ中国料理は油濃いのか」に対して、「日本人は油濃いのが好きなのですね」という答え

中華料理や台湾料理には、油を大量に使用した料理が非常に多いですが、そうなった理由はあるのでしょうか

記事を読む

no image

『カジノの歴史と文化』佐伯英隆著

IRという言葉の曖昧さ p.198 シンガポールにしても、世界から観光客を集める手法として、

記事を読む

no image

「温度生物学」富永真琴 学士会会報2019年Ⅱ pp52-62

(観光学研究に感性アナライザー等を用いたデータを蓄積した研究が必要と主張しているが、生物学では温

記事を読む

no image

ソ連の北方四島占領作戦は、米国の援助のもとで実施されたという「発見」 『さらば!検索サイト』太田昌国著 現代書館 

また私の頭の中で「歴史は新しく作られる」という例が増加した。表記のpp.77~79に記述されている

記事を読む

歴史認識と書評『1945 予定された敗戦: ソ連進攻と冷戦の到来』小代有希子

「ユーラシア太平洋戦争」の末期、日本では敗戦を見込んで、帝国崩壊後の世界情勢をめぐる様々な分析が行

記事を読む

no image

何故日米開戦が行われたか。秋丸機関の報告書への解説 『経済学者たちの日米開戦』

 書名は出版社がつけたものであろう。傑作ではある。書名にひかれて読むことになったが、およそ意思決定

記事を読む

no image

シャマニズム ~モンゴル、韓国の宗教事情~プラス『易経』

シャーマン的呪術は筮竹による数字と占いのテキストを使った方法にかわった。このことにより特殊能力者でな

記事を読む

no image

戦陣訓 世間が曲解して使用し、それが覆せないほど行き渡ってしまった例  

世間が曲解して使用し、それが覆せないほど行き渡ってしまった例である。「もはや戦後ではない」は私の

記事を読む

no image

運輸省(航空局監理部長)VS東亜国内航空(田中勇)のエピソード等

https://www.youtube.com/watch?v=flZz_Li7om8

記事を読む

no image

広田照幸著『陸軍将校の教育社会史』1997年発行をよんで

同氏の博士論文であり19回サントリー学芸賞受賞作である。原則、博士論文は条件として出版を義務付けられ

記事を読む

no image
ロシア旅行の前の、携帯wifi準備

https://tanakanews.com/251206rutrav

no image
ロシア旅行 田中宇

https://tanakanews.com/251205crimea

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

→もっと見る

PAGE TOP ↑