QUORA 李鴻章(リー・ホンチャン=President Lee)。
李鴻章(リー・ホンチャン=President Lee)。
李鴻章は清の時代の政治家・将軍。イギリスに「99年」という期間を設けて貸与した本人。これによって領土拡大しようと目論んだイギリスの動きを封じた。イギリスにとっては99年というのは「充分な成果」であった。しかし中国にとっては「ほんの僅かな期間」にしか過ぎない。李鴻章は近代欧米の限界を知り尽くしていた。よって遅ればせながらイギリスが気付いた時には手遅れとなった。またロシアと交渉し領土拡大を最小限に、フランスにはベトナムを、日本には台湾と満州鉄道の許可などで、またドイツと交渉し中国の列強による分断を防いだ。日清戦争があたかも日本と中国の全面的な戦争とされているのは真っ赤な嘘で、事実上は李鴻章の私兵との戦闘。日清戦争の停戦を下関で伊藤博文と締結したのもまた彼である。結果、世界でも最大の国家を国家たらしめたのはこの四面楚歌の時代に生きたたった一人の英雄によるものである。「敗北の英雄」と呼ばれている。
毛沢東による革命も「文化大革命」という名の虐殺も、それが可能だったのは李鴻章という稀代の天才によって「支那」あるいは「中国」が分断されなかったことによる。事実上李鴻章はナポレオン、アレクサンダー大王にも比肩するべき、「守りの英雄」であった。
中国には他にもたくさんの英雄の伝説があるけど、日本人はもちろん、共産党政権もまたそれを握りつぶしている。文学作品だけでも聊斎志異や金瓶梅をなかったことにしている。かろうじて魯迅の「阿Q正伝」が伝わっているぐらいだ。「狂人日記」「酒楼にて」「孔乙己」など素晴らしい作品を残している。また彼は医者であり、日本で学んだ。その時の思い出に「藤野先生」という作品も残している。
関連記事
-
-
QUORAにみる歴史認識 英国はなぜ世界の覇者になれたんでしょうか?
英国はなぜ世界の覇者になれたんでしょうか? この話を解く鍵は実はイギリスにはないと
-
-
現代では観光資源の戦艦大和は戦前は知られていなかった? 歴史は後から作られる例
『太平洋戦争の大誤解』p.183 日本人も戦前はほとんど知らなかった。戦後アメリカの報道統制
-
-
世界の運営を米国でなく中露に任せる 2023年6月7日 田中 宇
https://tanakanews.com/230607armenia.htm 5月25日、
-
-
『ヒトはこうして増えてきた』大塚龍太郎 新潮社
p.85 定住と農耕 1万2千年前 500万人 祭祀に農耕が始まった西アジアの発掘調査で明らかにさ
-
-
『「源氏物語」と戦争』有働裕 教科書に採用されたのは意外に遅く、1938年。なぜ戦争に向かうこの時期に、退廃的とも言える源氏物語が教科書に採用されたのか
アマゾン書評 源氏物語といえば、枕草子と並んで国語教科書に必ず登場する古典である。
-
-
『鎌倉時代の交通』新城常三著 吉川弘文館
交通史の泰斗新城常三博士の著作物をはじめて読む。『社寺参詣の社会経済史的研究』が代表作であるが、既
-
-
『初期仏教』 馬場紀寿著
初期仏教は全能の神を否定 神々も迷える存在であるので、祈りの対象とならない
-
-
『支那四億のお客様』カール・クロ―著
毎朝散歩コースになっている一か所に商業会館ビルというのがある。この本を出版したのが倉本長治氏のよう
-
-
『官僚制としての日本陸軍』北岡伸一著 筑摩書房 を読んで、歴史認識と観光を考える
○ 政治と軍 「軍が政治に不関与」とは竹橋事件を契機に明治政府が作ったことである。そもそも明治国家
