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コロナとハワイ

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/19973?page=2

ハワイ州が観光客受け入れ再開模索 新型コロナで観光産業が危機

自主隔離義務を順守せず逮捕された人も

相馬佳 (ハワイ在住ライター)

ハワイ州で今年3月、新型コロナウイルス感染拡大防止のため事実上の外出禁止令、そして渡航者に対する14日間の自主隔離令が発動されてから早くも3カ月近くが経った。これ以前は国内外から毎日約3万人の観光客を迎えていたハワイだが、14日間の自主隔離が義務化されている今は、ハワイに帰ってくる人や移住する人、または長期滞在をする人以外、渡航することは困難である。

 地元紙ホノルル・スターアドバタイザー電子版の報道によると、6月16日のハワイ渡航者数は全体で1671人。うち556人がハワイに戻った住民、190人が航空会社の乗組員、121人がハワイへの移住者、165人が軍関係者、114人が乗り継ぎの中継地として降機した人々で、観光客は445人だった。この数字では80人分の計算が合わないが、中には自主隔離するための宿泊施設の用意がないなどの理由で、そのまま強制的に乗機地に返される場合もある。実際、観光客の中には14日間のうち1回しか使用できないホテルのカードキーを渡されて現実に目覚め、滞在予定をキャンセルしてハワイを後にした家族もいるという。

 記事によると、約8割の観光客は渡航理由としてハワイに住む家族や友人訪問を挙げている。しかし、現在の状況から格安になった航空運賃に惹かれてハワイに渡航したはいいが、自主隔離義務を順守せずに外出して通報されて逮捕された人も多い。

5月末の卒業シーズンで新規感染者が微増

観光客の姿がないダニエル・K・イノウエ国際空港(筆者撮影)

 渡航規制と外出禁止令、外出時のマスク着用令、そしてソーシャルディスタンスの成果か、4月中旬から5月下旬までハワイではほとんど新規感染者が出ていなかった。そのため、4月25日にエクササイズ向けにアラモアナ・ビーチパークなど市営ビーチパークが開放されたのを皮切りに、5月15日にはアラモアナセンターなどのショッピングモールが営業を再開。そして6月5日にはレストランやカフェが店内飲食を再開した。6月16日にはネイバーアイランド間で14日間の自主隔離義務も解除され、州内の経済再開は着実に進んでいる。

 しかし、経済再開と同時に州民の気が緩んだこと、パーティーが多い5月末の卒業シーズンと重なったこともあり、6月上旬から中旬まで、新型コロナウイルスの新規感染者が微増して10人以上になる日が数日間続いた。多くの大家族が一つ屋根の下に住むオアフ島西部で家族間のクラスターが発生したり、老人介護施設で数人のクラスターが発生した例もある。その後また新規感染者数は落ち着き、6月16日には4人、17日は5人だったが、小規模ながらハワイでも人種差別に対する抗議デモが実施されたことからか、18日の感染者数は18人に増加した。

 一方でハワイは現在、渡航者受け入れを再開しなければ経済が停滞、再開すれば州内では新型コロナウイルスが外部から再び持ち込まれかねないというジレンマに陥っている。観光客受け入れを拡大しない限り、ホテルやツアー業者は開店休業状態を余儀なくされる。また日本人観光客に人気の高級ブランド店やお土産店でも現在は閑古鳥が鳴いている状態だ。観光・リテールセクターで不況が続けば失業者が仕事に戻れずに失業保険金の支払いが増え、ビジネスからの税収も減るため、ハワイ州政府の経済危機も続くことになる。

太平洋の真ん中にあり、地理的に守られているハワイと違い、新型コロナウイルス新規感染者は今も世界中で増加し続けている。ジョンズ・ホプキンス大学の調査によると、6月18日現在、アメリカ全体の感染者数は215万7768人、死者数は11万7622人。

 この状態では、いくら経済的ジレンマがあろうと、何らかの規制を設けない限りは以前のように観光客を迎えるわけにはいかない。そんな中で、デービッド・イゲ州知事は6月10日、現在ハワイ渡航者に義務付けられている到着後14日間の自主隔離令を7月31日まで延長した。

 しかし、このままハワイを「鎖国」状態にしていたのでは、ハワイのライフラインである観光業がさらなる危機的状況に陥るうえ、失業した人々が仕事に戻れなくなる。そこで州政府は今、ハワイの経済再開の最終段階として日本を含む国内外からの観光客受け入れをどのように再開するかについてを検討している。

 ホノルル・スターアドバタイザー電子版によると、今夏観光客の再受け入れ策について検討中のジョッシュ・グリーン同州副知事は、アラスカ州や仏領ポリネシアが採用する「感染検査結果をベースとした受け入れ策」を考慮しているという。

 その内容とは、出発72時間以内の新型コロナウイルス陰性結果をハワイ到着時に検査官に提示した場合、14日間の自主隔離義務を免除するというものである。アラスカ州では到着時に空港内で検査を受けて陰性結果が出た場合でも、その後の自主隔離義務が免除される。ホノルル・スターアドバタイザー電子版は18日、イゲ州知事が近々、14日間の自主規制免除に関する新しいルールを発表する可能性を報道した。

 効果が証明された新型コロナワクチンが開発されていない現況で、ハワイでは以前のようにすべての観光客を無条件で受け入れることは不可能である。また、14日間の自主隔離という大きな壁がある限り、日本人を含むたいていの観光客はハワイに渡航できない。

 しかし、感染検査の陰性結果がハワイにおける自主隔離免除条件となる場合、感染者でさえなかなか検査が受けられない日本では、出発直前に旅行者が陰性結果を取得するのは困難だろう。

 一方、ハワイでは現在、感染症状がなくても費用を払えば検査が受けられる体制が整ってきている。日本人観光客の場合、ハワイ到着時に空港で検査を受け、陰性結果が出るまで自主隔離する方法が最も現実的と思われる。ただし陽性結果が出た場合、政府が用意した施設などにそのまま隔離されたり、症状がある場合は強制的に入院させられたりする可能性もある。

 グリーン副知事は現在ハワイ州政府が「連邦政府機関とのパートナーシップで、(空港での)検査が可能かどうかを模索している」と語っている。ハワイの空港で検査体制を整えることができれば、日本人観光客がハワイに戻れる日もそう遠くはないだろう。 

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