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『2050年のメディア』下山進

日本の新聞がこの10年で1000万部の部数を失っていることを知り、2018年4月より、慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授として、講座『2050年のメディア』を立ち上げた下山進氏による。Amazonの書評には「タイトルで気になって買いましたが、お世辞にも良い本とは言えません。まったく2050年が語られておらず、釣りタイトルとも言えるかもしれません。過去の歴史を辿っているだけで発見はほぼありませんでした」と厳しいものもあるが、その歴史も、読売を中心に、ヤフーが対立軸で、日経が補足的に登場している点で、朝日が出てこないところが面白い。私なりにメモする。まず読売の渡邉恒雄氏の大学合同説明会での「朝日を読むなら赤旗を読め」という言葉を紹介しているところで、学生どころか私まで驚かされてしまった。次に北区の新聞販売店主が学校の現場に入って日本の民主主義を支えてきた新聞を手に取ってもらうための活動をすると、「新聞の切り抜きの授業はできません」と2008年に言われたエピソードが出てくる。運輸省の広報室勤務時代、職員が毎朝、新聞の切り抜きを作っていたことを思い出し、どうなっているのかと思わされた。以下、読売、ヤフー、日経のデジタル化と人事の話を、エピソードを交えながら時代順に期日されている。デジタル販売と紙販売のウェイトの置き方がテーマになるが、ヤマトが三越の百貨店貨物輸送を切り捨てて宅急便に乗り出したことを思い出した。後から振り返れば当然の判断であっても、その時点でのステークホールだーの意向を抑えて乗り出すには、相当のリーダーシップがいる。読売新聞の拡販の武器はジャイアンツ戦の切符であったが、アメリカの銀行のそれはトースターであることも記述され、面白かった。アメリカの新聞の危機は日本より10年早く訪れていた。ニューヨークタイムズのことが紹介されているが、Uberの調査に行ったさいに、同社を訪問したことを思い出す。すでにデジタル化にかじを切った後であったが。デジタル部門で働く人の将来のキャリアパスがないということが最大の不満であり、問題であった。この問題点を「タイムズ・イノベーションレポート」で指摘され、機構改革が行われている。下山氏の作成したグラフをみれば、2011年を境に広告料収入より購読料収入が増加している。ページヴューにとらわれないで購読者数を増加させたのである。バズフィード等無料広告モデルは、FacebookやGoogleに負けてしまうのである。私が広報室勤務の時代は、朝刊の締め切り時間が朝の2時。ギリギリまで記者さんは取材をしていたから、家庭崩壊も珍しくなかった。朝日出身の細川総理はそれを狙って夜中に会見を行っっていた。コメの開放もその一例である。しかし、電子版が普及し、順次ネットに掲載されるようになると、新聞社も夜には人がいなくなっているようだ。デジタル化とグローバル化。ヤフージャパンは米国ヤフーとの関係でグローバル化ができなかったが、そのくびきが解かれたと最後に記述。しかし、メディアのグローバル化は、英語、中国語の世界もあり、私には想像もつかない。

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