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ヒトラーはなぜ、ホロコーストを行ったのですか?

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この問題は一筋縄ではいきません。

「ナチス」がホロコーストを主導したのは間違いありません。しかし、ヒトラーがホロコーストをやれと言っただけで、それをドイツ国民が唯々諾々と受け入れたかどうかというのが大きな問題なのです。

ホロコーストのサイトを見ると、実行の主語が「ナチス政権とその協力者」です。ヒトラーが、とは書いていません。そして、ユダヤ人の組織的行政的虐殺は、ホロコーストにわずかに先んじて、ドイツの外でも、共産圏でも生じていました。

ヨーロッパに蔓延したユダヤ人に対する差別や暴力が根底にあったのです。

ドイツでは知識人が先導して19世紀末から排外主義的な出版が行われ始め、20世紀になると、「ユダヤ人の抹殺」という活字がドイツ人に読まれるようになりました。

そこに、政権の援助がほしい学者(人類学者、医師)が近づき、ユダヤ人を差別することを「学問的に正当化」します。

また、産業界も利益のためにユダヤ人差別の手助けをします。

もともとは、「ユダヤ人が持っている菌」を隔離するために、ゲットーが作られました。そして、食糧難が生じた時に、選択的にユダヤ人に食料を送らない、等の措置が取られました。

また、優生学から転じて身体障害者、精神障害者などを毒ガスで殺傷する方法が編み出されます。その頃、ユダヤ人を隔離し、強制労働させていましたが、そこに毒ガスが流用されるようになってしまいました。

このように、ユダヤ人に対する悪意にのっかり、ユダヤ人の財産を盗み取ろうとする一般人・手柄を求める各人・各組織が競争するように残虐行為に手を染めるようになりました。

ヒトラーはなぜ、という個人の問題ではないのです。

参考図書

竹岡 健一, ブッククラブと民族主義, 2017

ダン・ストーン, ホロコースト・スタディーズ, 2012

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