*

御手洗大輔「示威の自由に関する日中比較と日本人の課題」

公開日: : 最終更新日:2023/05/30 出版・講義資料, 歴史認識

『横浜市立大学論叢』第68巻社会科学系列2号 御手洗大輔「示威の自由に関する日中比較と日本人の課題」

筆者は日本と中国はお互いにストレスを溜めるばかりで発散できない状態にあるとする。私が人流・観光資源としての記録・記憶遺産(歴史認識)論議・序論を発表した理由もそこにある。

2014年香港現象は「香港反政府デモ」「雨傘革命」「Occupy Central」とも呼ばれるが、本稿では徹底して「2014年香港現象」として呼ぶことにするとして日本のマスコミがもたない視点を提供している。

まず、筆者は倉田徹、他一名『香港:中国と向き合う自由都市』岩波新書2015年12月を紹介し、返還前のイギリス統治構造を見る限りでは自由とはいいがたい植民地統治システムがあり、香港の自由化を阻むものは香港内部の既得権益層とイギリス本国の意向だったとする。中国共産党を英国政府が批判する立場ではないということをインプライしているのである。私が1970年に香港を旅したとき、向こうでお世話になった宝石店の職員が中国との国境近くまで案内してもらい「私たちには国がない」といわれたことを思い出す。英国が中国共産党を非難する立場にはないことには同感である。

筆者は普通選挙とは何だろうかと問いかけている。現行の選挙制度は普通選挙でないといえるとする。選挙委員会の構成員の8分の1以上の推薦を得た者が候補者として選出し、出そろった候補者に対して選挙委員のみが投票となっているからである。学生が反対した選挙改革案は「候補者は指名委員会の過半数の支持が必要である」ものの、18歳以上の香港市民に投票権を与えるものであった点で、全ての成人者に選挙権を与えるという条件をクリアしているといわざるを得ないと筆者は既述する。そして筆者は、日本人の脳裏に刷り込まれた「作られた現代中国のイメージ」が現代中国の正視を妨げ、異論を完全否定することによって自らの正当化に勤しむ・・・と感想を述べるのである。

* マクリーン事件の判示を導き出したのは、在留更新の許否に関する法務大臣の裁量権は広範であり、司法審査の範囲は限定される。その論拠となったのは、国際慣習法上、外国人の入国の自由は保障されず、日本国憲法もその立場をとっている。参政権的機能を果たす政治活動の自由については、国民の場合と異なる特別の制約が許されると解する(通説・判例 芦部信喜『憲法学Ⅱ』[1994]151-153頁、本判決の立場)。

「中国は国際秩序の守護者になるのか?」『公研』2017年3月号No.643鈴木一人

 

関連記事

no image

QUORA ゴルビーはソ連を潰したのにも関わらず、なぜ評価されているのか?

ゴルバチョフ書記長ってソ連邦を潰した人でもありますよね。人格的に優れた人だったのかもしれませんが

記事を読む

no image

「脳コンピューター・インターフェイスの実用化には何が必要か」要点

https://www.technologyreview.jp/s/62158/for-brain-

記事を読む

no image

戦後70年の価値観が揺らいでいる」歴史家の加藤陽子氏、太平洋戦争からTPPとトランプ現象を紐解く   真珠湾攻撃から75年、歴史家・加藤陽子氏は語る「太平洋戦争を回避する選択肢はたくさんあった」                          三国同盟の見方 歴史は後から作られる例

/https://www.huffingtonpost.jp/2016/12/0

記事を読む

イサベラバードを通して日韓関係を考える

Facebook投稿文(2023年5月21日) 徳川時代を悪く評価する「薩

記事を読む

no image

Quoraなぜ、当時の大日本帝国は国際連盟を脱退してしまったのですか?なぜ、満州国について話し合ってる中で軍事演習をしてしまったのか、なぜ、当初の目的である権益のほとんどを認められているのに堂々退場したのか。

日本の国際連盟脱退は、満州事変に対するリットン調査団の報告書を受け入れられないと判断して席を蹴った

記事を読む

no image

岩波書店の丁稚奉公ストライキ

『教科書には載っていない戦前の日本』p.222 封建的な雇用制度の改善を求めて岩波書店側に突

記事を読む

『ヒトはこうして増えてきた』大塚龍太郎 新潮社

p.85 定住と農耕 1万2千年前 500万人 祭祀に農耕が始まった西アジアの発掘調査で明らかにさ

記事を読む

no image

『コロナ危機が浮き彫りにした日本の統治機構とその弱点』読書メモ 竹中治堅・手塚洋輔 公研no.695 2021.7

首相の権限は強くない例 安倍首相2020年4月6日にコロナ患者用の病床を5万床にすると発言、しかし

記事を読む

no image

ホーキング語録

I have never found that my lack of social graces

記事を読む

no image

矢部 宏治氏の「なぜ日本はアメリカの「いいなり」なのか?知ってはいけないウラの掟」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52466 外務省がつ

記事を読む

no image
ロシア旅行の前の、携帯wifi準備

https://tanakanews.com/251206rutrav

no image
ロシア旅行 田中宇

https://tanakanews.com/251205crimea

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

→もっと見る

PAGE TOP ↑