*

「中国は国際秩序の守護者になるのか?」『公研』2017年3月号No.643鈴木一人

公開日: : 最終更新日:2023/05/30 歴史認識

偶然二編の論文を読み、日本のマスコミでは認識できない記述を見つけた。
嫌中ムードを煽り立てる記事が多い中、むしろ力をつけてきた中国を冷静に認識しなければならないと感じさせる記事である。

『公研』2017年3月号No.643鈴木一人「中国は国際秩序の守護者になるのか?」

p.13「これは筆者が国連で勤務していた時も感じていたことであった。中国は拒否権を持つ安保理常任理事国であるが、拒否権の行使は2000年以降7回に限られ、常にロシアとともに行使している。そのうち5回はシリアのアサド政権を非難する決議であり、2回はミャンマー・ジンバブエの人権問題である。・・・ちなみに同じ時期に米国は11回、ロシアは13回の拒否権行使を行っている。中国の国連での交渉スタイルは、最初に自国の立場を主張し、その主張と矛盾したり、対立するものでなければ一切口を出さないというものである。・・・・中国の官僚制や政策決定の仕組みのを考えると、柔軟に交渉を展開するよりは、原理原則を前面に出し、それが守られる限り何が起きても構わないという姿勢であるとも考えられる。日本からみると中国は南シナ海、東シナ海で力による現状変更をもくろみ、国際仲裁裁判所の判決も受け入れない、傍若無人なふるまいをする国とみられがちである。しかし国際社会での中国の評価はかなり違う。途上国は援助の提供国としてみており、また欧州はビジネスパートナーとして中国を見ており、グローバルな秩序に従い、その秩序を維持する立場であるとみている」

御手洗大輔「示威の自由に関する日中比較と日本人の課題」

関連記事

no image

書評 三谷太一郎『日本の近代とは何であったか』日本何故いかにして植民地帝国となったのか ビルマの竪琴のラストはスコットランド民謡 共通の歌曲がない 欧州文化と同じ意味でのアジア文化の存在に疑念

植民地帝国へと踏み出す日本 三国干渉が契機 非公式帝国主義 コストをかけなくてすむ方式 不平

記事を読む

no image

Quoraに見る歴史認識 終戦後に当時のソ連は、どうして北海道に侵攻しなかったのですか?

終戦後に当時のソ連は、どうして北海道に侵攻しなかったのですか? 回答を先に書けば、米国との間

記事を読む

『言ってはいけない中国の真実』橘玲2018年 新潮文庫  

 コロナ禍で海外旅行に行けないので、ブログにヴァーチャルを書いている。その一つである中国旅行記を

記事を読む

no image

Quoraにみる歴史認識 日露戦争で日本は英米に膨大な借金をしてますがどうやって返済したのでしょうか?

ご質問文に「英米」とありますが、高橋是清の求めに応じて日本の戦時国債を購入して支えたジェイコブ・ヘ

記事を読む

no image

Quoraに見る歴史認識 日露戦争の勝利を日本国民はどれくらい喜びましたか?

実際には、ロシアの極東での圧力を押し返して講和が結ばれただけだから、講和によって得られたのは、遼

記事を読む

「ブラックアース~ホロコーストの歴史と警告」ティモシー・スナイダー著池田年穂訳 を読んで

ホロコーストについても、観光学で歴史や伝統は後から作られると説明してきたが、この本を読んでさらにその

記事を読む

no image

『二・二六帝都兵乱』アマゾンの書評

著者は軍制、軍事面からアプローチしていると言っているが、それだけではない。当時の社会の通念、雰囲

記事を読む

no image

QUORAに見る歴史認識の一意見 東条英機と昭和天皇の関係に関する一意見

東条英機氏は几帳面で小心、そして子煩悩なな男だった伝えられている。石原莞爾氏などは、東条氏の小物

記事を読む

中国文明受入以前は、藤貞幹は日本に韓風文化があったとする。賀茂真淵は自然状態、本居宣長は日本文化があったとする。

中国文明受入以前は自然状態であったとする賀茂真淵、日本文化があったとする本居宣長に対して、藤貞幹

記事を読む

『総選挙はこのようにして始まった』稲田雅洋著 天皇制の下での議会は一部の金持ちや地主が議員になっていたという通説が実証的に覆されている。いわば「勝手連」のような庶民が、志ある有能な人物(国税15円を納める資力のない者)をどのような工夫で議員に押し立てたかを資料に基づいて丹念にドキュメンタリー風に解説

学校で教えられた事と大分違っていた。1890(明治23)年の第一回総選挙で当選して衆議院議員にな

記事を読む

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

2025年11月22日地球落穂ひろいの旅 プンタアレナス

旅程作成で、ウシュアイアとプンタアレナスの順序を考えた結果、パスクワか

2025年11月19日~21日 地球落穂ひろいの旅イースター島(ラパヌイ) 

チリへの訪問は2014年に国連加盟国 として訪問済み。イースタ

→もっと見る

PAGE TOP ↑