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中国が冷静なことに関する二題

偶然二編の論文を読み、日本のマスコミでは認識できない記述を見つけた。
嫌中ムードを煽り立てる記事が多い中、むしろ力をつけてきた中国を冷静に認識しなければならないと感じさせる記事である。

『公研』2017年3月号No.643鈴木一人「中国は国際秩序の守護者になるのか?」

p.13「これは筆者が国連で勤務していた時も感じていたことであった。中国は拒否権を持つ安保理常任理事国であるが、拒否権の行使は2000年以降7回に限られ、常にロシアとともに行使している。そのうち5回はシリアのアサド政権を非難する決議であり、2回はミャンマー・ジンバブエの人権問題である。・・・ちなみに同じ時期に米国は11回、ロシアは13回の拒否権行使を行っている。中国の国連での交渉スタイルは、最初に自国の立場を主張し、その主張と矛盾したり、対立するものでなければ一切口を出さないというものである。・・・・中国の官僚制や政策決定の仕組みのを考えると、柔軟に交渉を展開するよりは、原理原則を前面に出し、それが守られる限り何が起きても構わないという姿勢であるとも考えられる。日本からみると中国は南シナ海、東シナ海で力による現状変更をもくろみ、国際仲裁裁判所の判決も受け入れない、傍若無人なふるまいをする国とみられがちである。しかし国際社会での中国の評価はかなり違う。途上国は援助の提供国としてみており、また欧州はビジネスパートナーとして中国を見ており、グローバルな秩序に従い、その秩序を維持する立場であるとみている」

『横浜市立大学論叢』第68巻社会科学系列2号 御手洗大輔「示威の自由に関する日中比較と日本人の課題」

筆者は日本と中国はお互いにストレスを溜めるばかりで発散できない状態にあるとする。私が人流・観光資源としての記録・記憶遺産(歴史認識)論議・序論を発表した理由もそこにある。

2014年香港現象は「香港反政府デモ」「雨傘革命」「Occupy Central」とも呼ばれるが、本稿では徹底して「2014年香港現象」として呼ぶことにするとして日本のマスコミがもたない視点を提供している。

まず、筆者は倉田徹、他一名『香港:中国と向き合う自由都市』岩波新書2015年12月を紹介し、返還前のイギリス統治構造を見る限りでは自由とはいいがたい植民地統治システムがあり、香港の自由化を阻むものは香港内部の既得権益層とイギリス本国の意向だったとする。中国共産党を英国政府が批判する立場ではないということをインプライしているのである。私が1970年に香港を旅したとき、向こうでお世話になった宝石店の職員が中国との国境近くまで案内してもらい「私たちには国がない」といわれたことを思い出す。英国が中国共産党を非難する立場にはないことには同感である。

筆者は普通選挙とは何だろうかと問いかけている。現行の選挙制度は普通選挙でないといえるとする。選挙委員会の構成員の8分の1以上の推薦を得た者が候補者として選出し、出そろった候補者に対して選挙委員のみが投票となっているからである。学生が反対した選挙改革案は「候補者は指名委員会の過半数の支持が必要である」ものの、18歳以上の香港市民に投票権を与えるものであった点で、全ての成人者に選挙権を与えるという条件をクリアしているといわざるを得ないと筆者は既述する。そして筆者は、日本人の脳裏に刷り込まれた「作られた現代中国のイメージ」が現代中国の正視を妨げ、異論を完全否定することによって自らの正当化に勤しむ・・・と感想を述べるのである。

* マクリーン事件の判示を導き出したのは、在留更新の許否に関する法務大臣の裁量権は広範であり、司法審査の範囲は限定される。その論拠となったのは、国際慣習法上、外国人の入国の自由は保障されず、日本国憲法もその立場をとっている。参政権的機能を果たす政治活動の自由については、国民の場合と異なる特別の制約が許されると解する(通説・判例 芦部信喜『憲法学Ⅱ』[1994]151-153頁、本判決の立場)。

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