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QUORA 第二次世界大戦 · フォロー中の関連トピック 米国は、日本の真珠湾攻撃の計画を実際には知っていて、戦争参入の口実を作るために敢えて日本の攻撃を防がなかった、というのは真実ですか?

公開日: : 出版・講義資料, 軍隊、戦争

 

回答 · 第二次世界大戦 · フォロー中の関連トピック米国は、日本の真珠湾攻撃の計画を実際には知っていて、戦争参入の口実を作るために敢えて日本の攻撃を防がなかった、というのは真実ですか?

Madarame Yasuaki

Madarame Yasuaki, IT系企業の営業や事業企画など回答日時: 10月28日

全く違います。

真珠湾攻撃陰謀論は、第二次世界大戦で日本が関係する陰謀論では、最も有名な話かと思われます。

●当時のアメリカの方針

(アメリカにとって最も望ましいシナリオ)

1941年時点のアメリカは、そもそも戦争を望んでいません。

何故なら、アメリカにとって最も望ましいシナリオは、欧州戦線はアメリカの支援で連合国側が勝利しつつアメリカ自身を無傷で済ませ、世界の他の主要国が全て消耗したのに対して自国は十分な余力を残したまま、大戦後の主導権を握ることです。

太平洋では、大日本帝国が中国侵略を止め占領地域から撤退さえすれば、戦争してまでどうこうしようとは考えていません。そもそも、欧州戦線が致命的に大変な時期に、太平洋側まで相手したくないのです。

戦争には莫大な費用が掛かりますし、当時のアメリカにとってアメリカ兵の命は重く、アメリカにとっても大日本帝国は強力なのです(アメリカ兵に甚大な被害が出ることが確実)。

※ 実は、日中戦争初期に、アメリカが対日戦争を始める口実が作れる事件がありました。1937年12月12日に日本軍がアメリカの艦船を誤爆した「パナイ号事件」(沈没:砲艦1隻・民間船5隻、死者3名・負傷者74名)です。

(アメリカにとって最悪のシナリオ)

そして、アメリカにとっての最悪のシナリオは、欧州と太平洋での二正面戦争です。アメリカと言えども、さすがに二正面の総力戦は苦しいのです。実際、開戦から2年くらいは戦力不足で厳しい戦いを強いられました。

欧州は既にナチスドイツによって戦端が開かれてアメリカの多大な支援を必要としていましたが、太平洋ではまだ戦争になっていなかったことから、欧州に加えて太平洋側でも戦端が開かれることは、二正面になってしまうことから避けたかったのです。

しかも、アメリカの植民地であるフィリピンは、大日本帝国に近過ぎて戦力差が大きく、当時のアメリカでも大日本帝国相手にフィリピンを防衛することは困難でした。

つまり、開戦してしまえば、在フィリピンのアメリカ軍に大きな被害が出て、敗北する可能性が高かったのです。

●仮に、当時のアメリカ(ルーズベルト)が攻撃を知っていたとして、真珠湾攻撃陰謀論を考えることが論理的にあり得ない理由

①最悪のシナリオだから

→真珠湾攻撃によるアメリカ太平洋艦隊の壊滅は、ルーズベルト大統領や軍高官の大失策であり、普通に考えればあまりの責任の重さに辞職確実モノと言えます。

(史実では、見事な演説で国民の怒りを大失策を犯した大統領ではなく日本に向けることに成功しましたが)

しかも、よりにもよって、知っていたのにわざと攻撃させたなんていう陰謀論がアメリカ国民に知られれば、ルーズベルト大統領は辞職なんかで済むはずがありません。大統領が、アメリカ兵とアメリカ国民をわざと殺させたことになる訳ですから、政治的なリスクはアメリカ政治史上の最悪と言えるほど凄まじいものになり、そんな陰謀論を考えること自体あり得ないと言えます。

②知っていれば最良のシナリオを選べるから

→もし真珠湾攻撃が分かっていた場合のルーズベルトの最良のシナリオは、真珠湾近くで大日本帝国の連合艦隊を待ち受けての完全壊滅です。

これはもう素晴らしい成果であり、しかも対日戦争を早期に終わらせることができる最高の手です。わざわざ無防備に太平洋艦隊を攻撃させる愚を犯す意味がありません。

③仮にアメリカが対日開戦をしたい場合、真珠湾攻撃は必要ない

→前述の通り、アメリカの植民地であるフィリピンが大日本帝国に近過ぎる上に、大日本帝国の本命である蘭印(オランダ領東インド)から石油を運ぶルートにあるため、開戦した際に攻撃されることは必至でした。

大日本帝国に攻撃されれば、在フィリピンのアメリカ軍は大きな被害が出ることは確実です。

そして、当時のアメリカ兵の命は重く、在フィリピンのアメリカ兵に大きな被害が出れば、アメリカ国民が燃え上がる可能性は非常に高かったと言えるでしょう。

と言うか、自国の軍隊が壊滅させられて、それでも開戦を選ばないなんてことは、よほど政府が何が何でも開戦を避けようとしてすら難しく、基本的に開戦不可避のことなのです。

④太平洋戦線の戦争遂行に支障が出るから

当時の真珠湾には、アメリカ海軍の主力の半分近い戦力を集結させており、無防備に攻撃を受けてこのアメリカ太平洋艦隊が壊滅することは、当然ながら、その後の対日戦争を遂行する上で、大きなデメリットとなります。

在フィリピンのアメリカ軍や、シンガポールのイギリス東洋艦隊との連携による対日作戦計画が、根本から崩れ去るのです。

対日戦争を早くから優位に進めていくためには、アメリカ太平洋艦隊の主力の力が必要でした。

実際、史実では、主力のうち戦艦部隊8隻が壊滅(喪失2隻・大破着底2隻・損傷4隻)してしまい、特にその後の1年間は海上戦力不足で、アメリカ海軍は大いに苦しんでいます。

ちなみに、運良く攻撃を逃れた空母2隻は、真珠湾よりも前線寄りのミッドウェー島・ウェーク島へ航空機を輸送任務中であり、この2島は真珠湾攻撃と同日に連合艦隊から攻撃を受けていましたから、下手すると、空母が無防備な状態で会敵していた可能性があったのです。

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