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ネット右翼を構成する者 メディアが報じるような「若者の保守化」現象は見られない

樋口直人は『日本型排外主義』の中で、大部分は正規雇用の大卒ホワイトカラーであるとし、古谷経衡も「ネット右翼」は30代、40代、ホワイトカラーと自営業者が多く、大卒が6割を超える 自民党支持者に排外主義的な傾向が強い。あたかも自民党支持者は排外主義と軍備重視に凝り固まったカルト集団のように思えてくる

日本型排外主義 書評

 

ネットと愛国で描かれた差別してるのは社会の底辺層というイメージを覆す本
底辺が日頃のうっぷんを晴らしているだけというのはある意味分かりやすい構造ですが実態はもっと複雑であり、むしろ政治に対して強い関心を寄せる中間層の意識高い系が多いことが本書でよく分かる
欧州で昨今、盛んな反イスラム運動も差別主義者も中にはいますが、普通の市民も多く参加しています
差別を行うのは排外主義者や社会に不満を持つ底辺層であるという構造に落とし込めるのは一見分かりやすいですが、分かりやすいぶんことの本質を見誤る危険性があると思います

新自由主義の台頭で日本社会に格差が定着した。非正規労働者層が誕生し、人口の三割が経済的理由から家庭を持つことができないという、膨大な貧困層を形成した。人々は格差の存在をはっきりと感じ、豊かな人々は豊かさを、貧しい人々は貧しさをそれぞれに自覚しながら日々を送る。豊かさの程度によって日本はすでに分断され、「新しい階級社会」が成立しているのだ。最新の調査データが物語る、現代日本の恐るべき現実!!

ネットでよく見かけるいわゆるネトウヨは、どういう人たちなのか、私は以前から謎だったが、社会学者の共同研究によってその一端が明らかになった。「ネット右翼」と「オンライン排外主義者」とでは、「権威に従う」「伝統的家族観」「政治的有効性感覚」などの点が異なる(第1章)。でもツイッターでは、ネット右翼一人一人の顔はなかなか分らない。しかしフェイスブックの丹念な分析によって、低学歴の貧困な若者がネット右翼だという通説は誤りで、男性が圧倒的に多く、30代以降の自営業者が多いこと(医者や中企業経営者など決して低学歴ではない)、自分の生活関連ネタと政治的主張の投稿はさまざまに分離していること、ネット以外での右翼運動の参加者は少ないこと等が分かった(第3章)。だが本書の白眉は、ドイツ人の三人の学者による第5章、コーパス言語学の手法によるツイッター分析である。ツイッターの本質は、互いの主張を検討し合う冷静なコミュニケーションではなく、「互いが繋がること自体が目的であるコミュニケーション」にある。それは140字以内の投稿内容の是非を検討してもらうためではなく、それに「いいね」マークが付き、さらにリツイート、リンク、シェアされて、その投稿が拡散し、お互いが繋がっていることを確認し合えることが、最大の眼目なのである。その拡散機能を担うのは、実在の人間以外にも「bot」と呼ばれる自動アルゴリズムであり、2014年の総選挙における「安倍支持ツイート」の計量分析の結果は貴重である。少しだけ内容を変えて拡散するbotの比率が大きく、ネット右翼の実際の人数よりはるかに多く見せることができるのだ。それは、「架橋機能」つまり、政治的主張が異なっていても、その違いの部分を後景に退かせて繋いでみせること、すなわち、「安倍支持」という一点で繋がりを作るから、安倍政権をなまぬるいとして支持しない超右翼まで、一大勢力として繋がっているという感覚を生みだしている。これは、ツイート内容の意味論的分析をして初めて分ることであり、「反日死ね」「売国奴」等々の罵倒語やヘイトスピーチを使うネトウヨと、そういう言葉を使わない安倍首相や自民党の「公的な顔」とを「架橋し」、政治勢力としてまとめ上げる役割が、ネット右翼なのである。自民党は、NTT広報部出身の世耕弘成(経産相を務めた)の主導で、SNSを用いた政治活動に一歩先行しており、2012年にはネットサポータークラブを発足させた。その1万5千人の会員は、ネット右翼と重なっているはずである。ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』によれば、共同体の意識は、実際に一緒に住んでいる人間同士の間に生じるだけでなく、活字化された新聞を読むことが、近代の国民国家の共同体意識を創り出した。ネット右翼は、反韓国・反中国のナショナリズムとも連動しているから、それと同様なことがSNSを通じて起きているわけだ。「フレーム架橋するための空虚なシニフィアン」(p152)として機能するネット右翼は、「参加型文化」(第4章)の一形態として、コミュニケーションの変容を先鋭的に示すものであり、トランプの選挙戦、イギリスのEU離脱でもSNSは大きな役割を果たした。新聞、雑誌、TVなどが一方向的コミュニケーションであるのに対して、「繋がるという感覚そのものを創り出す」SNSは、先進国における極右の台頭を支える力でもあり、リベラルな価値観を尊ぶ現代の民主主義社会にとって大きな課題を突き付けている。

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