錯聴(auditory illusion) 柏野牧夫
マスキング可能性の法則 連続聴効果
視覚と同様に、錯聴(auditory illusion)がある。イリュージョンフォーラムのデモで錯視と錯聴をあれこれ比べられる。
私たちが知覚している音の世界は、耳に入ってくる音そのものではないということ。日常の環境で、安定して効率よく音を聞き取るための数々の巧妙なしくみ。 裏を返せば、「耳」だけでは音は聞こえないということ。耳は聴覚システムの入り口、その後に続く脳での膨大な情報処理が支えている。錯聴を詳しく分析すれば、脳での音の処理メカニズムについての手がかりが得られる。
なぜ一般には錯視ほど知られていないのか。音に対する関心は人類の文化発祥以来とも言え、あえて錯聴と名付けなくとも、知覚特性を巧妙に利用した音の提示法はさまざまな分野で開発され、利用されてきた。バロック音楽では複数の旋律が同時に奏でられているように錯覚させる手法(音の流れの分凝)が使われた。オーディオも、限られた2チャンネルによる音の提示によって、あたかもその場で演奏されているような感覚をいかにして生じさせるかという錯覚の探求といえる。
研究は、1960年代から70年代にかけて第一次黄金期。連続聴効果や音階の錯覚、反復の変形などは、 この時代に発見された。
1990年代には、このような現象をより定量的に把握したり、計算モデルで説明したりしようという試みが盛んになった。
2000年代に入ると、 聴覚に関わる脳のメカニズムを解明する研究の中で、錯聴も格好の素材として取り上げられるようになった。
関連記事
-
-
自動運転車の可能性『ロボットは東大に入れるか』新井紀子
自動運転車の可能性は、「自動」の定義にもよるが、まったく人間の手を借りないで運転することはかなり遠い
-
-
観光学が収斂してゆくと思われる脳科学の動向(メモ)
◎ 観光学が対象としなければならない「感情」、「意識」とは何か ①評価をする「意識」とは何か
-
-
gコンテンツ協議会「ウェアラブル観光委員会」最終会議 3月4日
言い出したはいいが、どうなることやらと思って始めた会議であったが、とりあえず「終わりよければすべてよ
-
-
「第3章 流入する他所者と飯盛女」武林弘恵著『旅と交流に見る近世社会』清文堂
旅と交流にみる近世社会 高橋陽一 編著
-
-
保護中: 『from 911/USAレポート』第827回 「アベノミクスの功罪と出口シナリオ」冷泉彰彦 これだけ識字率と基礎算術と社会性の訓練を受けた分厚い人口を抱えた大国が、利幅が薄く労働集約型の観光業を主要産業とするという、どう考えても悲劇的な産業構造に追い詰められた、これは7年半にわたって改革に消極であったことのツケにしても、随分と妙な方向になったと思います
結果的に、これだけ識字率と基礎算術と社会性の訓練を受けた分厚い人口を抱えた大国が、利幅が薄く労働
-
-
書評 AIの言語理解について考える」川添愛 学士会報940号P.42
分類がわかりやすい 1 今のAIは人間の言葉を理解している。 理解
-
-
平野聡『「反日」中国の文明史 (ちくま新書) 』を読んで
平野聡『「反日」中国の文明史 (ちくま新書) 』に関するAmazonの紹介文は、「中国は雄大なロ
-
-
山泰幸『江戸の思想闘争』
社会の発見 社会現象は自然現象と未分離であるとする朱子学に対し、伊藤仁斎は自然現象
-
-
高木由臣 公研2019.1月「ゾウリムシ研究でたどり着いた『私の生命観』」
生命とは死なないのが本来の姿であり、死ぬことができるように進化した どうして? どのように?
-
-
観光立国から経済立国へ Recommendations with Respect to U.S.Policy toward Japan(NSC13/2)
この翻訳テキストは、細谷千博他『日米関係資料集1945~97』(東京大学出版会,1999)<当館
