*

錯聴(auditory illusion) 柏野牧夫

公開日: : 最終更新日:2023/05/21 出版・講義資料, 脳科学と観光

マスキング可能性の法則 連続聴効果

視覚と同様に、錯聴(auditory illusion)がある。イリュージョンフォーラムのデモで錯視と錯聴をあれこれ比べられる。

  私たちが知覚している音の世界は、耳に入ってくる音そのものではないということ。日常の環境で、安定して効率よく音を聞き取るための数々の巧妙なしくみ。 裏を返せば、「耳」だけでは音は聞こえないということ。耳は聴覚システムの入り口、その後に続く脳での膨大な情報処理が支えている。錯聴を詳しく分析すれば、脳での音の処理メカニズムについての手がかりが得られる。

なぜ一般には錯視ほど知られていないのか。音に対する関心は人類の文化発祥以来とも言え、あえて錯聴と名付けなくとも、知覚特性を巧妙に利用した音の提示法はさまざまな分野で開発され、利用されてきた。バロック音楽では複数の旋律が同時に奏でられているように錯覚させる手法(音の流れの分凝)が使われた。オーディオも、限られた2チャンネルによる音の提示によって、あたかもその場で演奏されているような感覚をいかにして生じさせるかという錯覚の探求といえる。

研究は、1960年代から70年代にかけて第一次黄金期。連続聴効果や音階の錯覚、反復の変形などは、 この時代に発見された。

1990年代には、このような現象をより定量的に把握したり、計算モデルで説明したりしようという試みが盛んになった。

2000年代に入ると、 聴覚に関わる脳のメカニズムを解明する研究の中で、錯聴も格好の素材として取り上げられるようになった。

関連記事

『時間は存在しない』カルロ・ロヴェッリ

『時間は存在しない』は、35か国で刊行決定の世界的ベストセラー。挫折するかもしれないので、港区図書

記事を読む

no image

米軍現役兵士の数

およそ130万人 うち20万人弱が海外 日本4万、ドイツ3万5千、韓国2万5千、イタリア1万

記事を読む

no image

Quoraなぜ、当時の大日本帝国は国際連盟を脱退してしまったのですか?なぜ、満州国について話し合ってる中で軍事演習をしてしまったのか、なぜ、当初の目的である権益のほとんどを認められているのに堂々退場したのか。

日本の国際連盟脱退は、満州事変に対するリットン調査団の報告書を受け入れられないと判断して席を蹴った

記事を読む

no image

『創られた伝統』

第一に、全ての「伝統」は歴史の中で恒常的に取捨選択された結果であり、長年の「伝統」であれ、その都

記事を読む

no image

Quora 英語は文字通り発音しない単語が多い理由は、ペストの流行が原因?

Shiro Kawaiさんの名回答 1400年頃までの中英語(Middle English)

記事を読む

no image

南米「棄民」政策の実像 遠藤十亜希著 岩波現代全書 最も南米移民を排出したのが最貧困地帯たる東北ではなく北部九州~山陽ラインだったのは何故か?

19世紀末から20世紀半ばまで、約31万人の日本人が、新天地を求めて未知の地ラテンアメリカに移住

記事を読む

no image

生涯弁護人事件ファイル2 広中惇一郎

第一章 報道が作り出す犯罪 安部英医師薬害エイズ事件 アメリカの人気番組 LAW &

記事を読む

no image

中国語の中の日本語(Chinese Borrowings from the Japanese Language) 陳 生保(Chen Sheng Bao) 上海外国語大学教授

中国語の中の日本語(Chinese Borrowings from the Japanese

記事を読む

no image

旅資料 安田純平『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』集英社新書

p.254「戦火のイラクに滞在し、現地の人々の置かれた状況を考えれば自分の拘束などどういうことでも

記事を読む

『眼の誕生』アンドリュー・パーカー 感覚器官の進化はおそらく脳よりも前だった。脳は処理すべき情報をもたらす感覚器より前には存在する必要がなかった

眼の発達に関して新しい役割を獲得する前には、異なった機能を持っていたはず しエダア

記事を読む

no image
2025年11月25日 地球落穂ひろいの旅 サンチアゴ再訪

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

2025年11月22日地球落穂ひろいの旅 プンタアレナス

旅程作成で、ウシュアイアとプンタアレナスの順序を考えた結果、パスクワか

2025年11月19日~21日 地球落穂ひろいの旅イースター島(ラパヌイ) 

チリへの訪問は2014年に国連加盟国 として訪問済み。イースタ

→もっと見る

PAGE TOP ↑