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宇田川幸大「考証 東京裁判」メモ

公開日: : 最終更新日:2023/05/29 出版・講義資料, 歴史認識

政治論ではなく、裁判のプロセスを論じている点に独自性がある

太平洋戦争時のジュネーヴ条約の取り扱い 日本は調印はしたが軍部の反対で批准していなかった。開戦後、連合国からの問い合わせに、軍部は「これに準じて措置する」という意見、赤十字社は「準用」はあいまいで物議をかもす原因となるから、初めから適用しないとする方がよいという意見であったが、外務省は「必要な修正を加えて適用する」という準用の回答をおこなう。

ポツダム宣言は吾等の俘虜を虐待せるものを含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を加えらるべし

 

交差する戦争観 陸軍、海軍、外務省の確執

満州事変等も自衛戦争とする陸軍、満州事変まで自衛戦争とはできないとする海軍、戦争には反対であったとする外務省

榎本重治は満州事変は侵略戦であり、九か条条約違反の恐れある。自衛戦争論も通用せず。海軍側の主張をかえって阻害する。榎本の判断は現実的であった

外務省は、資料提供を除き、弁護に直接くみしない方針

 

東京裁判は形式的には連合国対被告人個人  植民地支配の問題は、検察、弁護人双方で看過されていた

 

通例の戦争犯罪以外の「事後法」によって極刑者を出すと「後世の批判を免れない」ので、「死刑にするには何とか残虐行為に結び付けなければならいとの一般方針」をもって臨むことになった。事実上通例の戦争が犯罪のみが対象となった

 

検察は民間人の被害を中心に立証をこころみた

 

困難を極めた残虐行為に関する弁明

元参謀本部総務部長の宣誓供述書では、東条、杉山、木村が、泰麺鉄道建設に帆量を使役する公文書に署名とあり、通例の戦争犯罪に関与した証拠とされた

海軍中央と残虐行為を直接結び付ける証拠が提出されなかった むき出しの自衛論は出されていない

 

昭和天皇の終戦史  海軍は検察側を教育して、陸軍が主役であるイメージを植え付けた

 

一部の極端な外交官が同盟締結を推進

宣戦布告通告遅延はだれの責任だったか?検察は事実上手を挙げ、裁判官にゆだねる、つまり敗北する。

田中隆吉の証言は外務省は郵便ポスト、しかし外務省の態度も看過できるようなものではなかった。

検察側立証段階では広田が極刑になる可能性はほとんどなかった

外務省はGHQへの配慮からか、弁護の直接かかわることは徹底して避けていた。各被告人の弁明、証人の訓練等総合的におこな機関が設けられていなかった。準備不足

 

丸山真男は日本ふぁしすずむ支配の膨大なる無責任の体系 軍国支配者の精神構造 

陸軍は暴力犯、海軍は知能。いずれも陸海軍あって、国あるを忘れたり

 

裁判官は多数派工作

侵略戦争、植民地への侵略はフランス、オランダへの侵略

残虐行為は、命令、故意の許容

重視された連合国捕虜、二の次にされるアジア人

 

平和に対する罪のみで有罪となったものは、死刑はない

通告問題は不問

外務省と残虐行為  閣議にもち出さなかったという弁護側の証言 南京事件に関する弁護人のミスが重大な結果を招いた

 

毒ガスと細菌兵器  アメリカ軍の意向で持ち出さなかった

 

中堅幕僚の責任  岩畔豪雄

国際法無視 大井篤 国際法のような水っぽいことをやってられるか、勝てばいい

 

昭和天皇の責任

 

帝国主義、植民地主義を前提とした欧米中心の裁判

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