広告だけに収入を求める無償タクシーの報道
https://news.nifty.com/article/economy/business/12117-8496/
若い経営者が無償運送にチャレンジするという記事が話題になっている。無償運送自体はこれまでもいくらでも試みがあったから珍しくもないが、Uberに始まり中国人向けの白タクが話題になっているから記事に注目が浴びているのであろう。
そもそも無償ということはあり得ないのであり、何らかの形で資金回収をしている。慈善事業でもお布施で回収している。従って直接の対価性があるか否かの法的判断である。
CREWの例のようにチップで費用を回収している場合も無償であり、その事務経費は原価の範囲ということで無償扱いになっている。私が講師をしていたいくつかの大学は学生から200円程度の費用を回収していたが、実費の範囲内であるということらしい。
20年ほど前になるか、モバイル交通革命を出版した後、GoogleがGoogleタクシーのコンセプトを発表した。直接の対価を得ない無償タクシーである。マンハッタンの高級店の送迎をすれば、タクシー代などいらないで、店からのバックマージンで十分に資金回収できるという考えである。バックマージンでなくても広告費でも構わないであろう。カジノのハイローラに無償の部屋が提供されるのと同じことであり、今では日本のビジネスホテルでも朝食は無料が多い。部屋代に含まれているから食べなければ損なのである。これを泊食分離し、しかも抱き合わせで強制販売すると旅館業法違反となる。引受義務があるからである。東横インは空港送迎バスまで無料である。
Googleはその後なしのつぶてであり、広告モデルはうまくいかないと考えているのであろうが、フィリピンのMYCABをはじめこのアイデア利用が後続している。若いだけに福岡でも頑張ってもらいたいが、エンジェルの5000万円がなければご本人もやらないのではないかと思う。なお、フィリピンのケースは、マニラ等の交通混雑が激しく長時間乗車しているのでタブレットに乗客の好みの広告を載せれば十分に回収できると踏んでいるのだが、まだ手配を無償にする程度で、本格的な無料は始まっていない。
標記記事のタクシーコンサルタントの関氏のコメントに、そもそも国土交通省の許可が下りないであろうということが出ているが、記者の聞き間違いでなければ、無償なのであり許可が下りる云々は間違いである。許可はいらないのであり、コンサルタント能力が疑われるから、記事が間違いであれば、出版社に抗議しておいた方がいいと思う。
関連記事
-
-
自治会の無料バス(実費程度)
毎日新聞2017年2月21日にニュースが出ていた。 http://mainichi.jp/art
-
-
🌍👜 🚖シニアバックパッカーの旅 2018年9月11日 チームネクストモスクワ調査⑤ Fusion Auto社 ワールドカップ対策
Fusion Auto社Fusion Auto社は6月14日~8月15日にロシアで開催されたワール
-
-
Boro Taxis(Green Cab) ニューヨーク市民の新たな足「ファイブボロー・タクシー」 ニューヨークのタクシー台数増加
かつては、車体を独特の黄色に塗装した"メダリオン・タクシー" (medallion taxicabs
-
-
マニラのUber報道 Number of Uber, Grab vehicles shocks LTFRB
http://newsinfo.inquirer.net/919650/number-of-uber
-
-
ロンドンの観光ガイド付きレンタカー
ロンドンの観光ガイド付きレンタカーがネットに取り上げられていた。 運転手付きレンタカーの制度比較を
-
-
Ctripの空予約騒動について 大山鳴動に近い騒ぎ方への反省
「宿泊サイト、予約しない部屋を販売」といった表題でテレビが取り上げ、関係業界内ではやや炎上気味であ
-
-
Google日本とBRIDJセミナー
1月28日Google日本の陣内裕樹氏に面談させてもらい、六本木ヒルズのオフィスを見せていただきまし
-
-
越境白タクとアジアインバウンド観光振興会
不覚にも越境白タクという言葉があることを今まで知らなかった。「日本国内で増殖している中国の配車アプリ
-
-
🌍🎒 🚖 マニラのライドシェア状況報告 チームネクスト IN 新潟 11月1日
新潟でのチームネクストに参加し、マニラの報告を行った。 三条市のデマンド交通の説明を市長と中越交通
-
-
🌍🎒 🚖シニアバックパッカーの旅 ロンドン配車アプリ調査③ hailoの見学
本社はサマセットハウスの一般オフィスの中にあり、IT
