*

広告だけに収入を求める無償タクシーの報道

公開日: : 最終更新日:2023/05/30 ライドシェア, 運賃、費用、経営

https://news.nifty.com/article/economy/business/12117-8496/

若い経営者が無償運送にチャレンジするという記事が話題になっている。無償運送自体はこれまでもいくらでも試みがあったから珍しくもないが、Uberに始まり中国人向けの白タクが話題になっているから記事に注目が浴びているのであろう。

そもそも無償ということはあり得ないのであり、何らかの形で資金回収をしている。慈善事業でもお布施で回収している。従って直接の対価性があるか否かの法的判断である。
CREWの例のようにチップで費用を回収している場合も無償であり、その事務経費は原価の範囲ということで無償扱いになっている。私が講師をしていたいくつかの大学は学生から200円程度の費用を回収していたが、実費の範囲内であるということらしい。

20年ほど前になるか、モバイル交通革命を出版した後、GoogleがGoogleタクシーのコンセプトを発表した。直接の対価を得ない無償タクシーである。マンハッタンの高級店の送迎をすれば、タクシー代などいらないで、店からのバックマージンで十分に資金回収できるという考えである。バックマージンでなくても広告費でも構わないであろう。カジノのハイローラに無償の部屋が提供されるのと同じことであり、今では日本のビジネスホテルでも朝食は無料が多い。部屋代に含まれているから食べなければ損なのである。これを泊食分離し、しかも抱き合わせで強制販売すると旅館業法違反となる。引受義務があるからである。東横インは空港送迎バスまで無料である。

Googleはその後なしのつぶてであり、広告モデルはうまくいかないと考えているのであろうが、フィリピンのMYCABをはじめこのアイデア利用が後続している。若いだけに福岡でも頑張ってもらいたいが、エンジェルの5000万円がなければご本人もやらないのではないかと思う。なお、フィリピンのケースは、マニラ等の交通混雑が激しく長時間乗車しているのでタブレットに乗客の好みの広告を載せれば十分に回収できると踏んでいるのだが、まだ手配を無償にする程度で、本格的な無料は始まっていない。

標記記事のタクシーコンサルタントの関氏のコメントに、そもそも国土交通省の許可が下りないであろうということが出ているが、記者の聞き間違いでなければ、無償なのであり許可が下りる云々は間違いである。許可はいらないのであり、コンサルタント能力が疑われるから、記事が間違いであれば、出版社に抗議しておいた方がいいと思う。

関連記事

no image

出入国管理・旅券等の動向

総合旅行業務取扱管理者には、出入国管理、税関、動物植物検疫制度等に関する知識が求められるようである。

記事を読む

越境白タクとアジアインバウンド観光振興会

不覚にも越境白タクという言葉があることを今まで知らなかった。「日本国内で増殖している中国の配車アプリ

記事を読む

no image

動画で見る世界人流観光施策風土記 チームネクスト・ロンドンタクシー事情調査にあたって

○ ロンドンタクシー事情調査 3月中旬にチームネクストの事業として、ロンドンのタクシー事情を調

記事を読む

no image

定額乗り放題タクシーの開始

いよいよ定額乗り放題タクシーが始まりました。 福岡の模様がテレビ東京のワールドサテライトビジネスで

記事を読む

🌍🎒 🚖シニアバックパッカーの旅 動画で見る世界人流観光施策風土記 2016年11月1日 チームネクスト合宿 in ニューヨーク 1日目

チームネクストでニューヨーク合宿を行った。メンバーにタクシージャパンの熊沢氏が参加されたので、ロンド

記事を読む

no image

深夜運転のスキーバス問題の解決方法の一つ

深夜運転のスキーバス事故が発生し、社会問題になりました。飲酒運転や過積載事故が社会問題化し、飲酒運転

記事を読む

🌍🎒 🚖シニアバックパッカーの旅 ロンドン配車アプリ調査② 前提となる予備知識とロンドンの配車アプリビジネス事情どう

○日本との違い ロンドンのタクシー制度は日本と根本的に2点異なることを理解しておく必要がある。

記事を読む

no image

googleタクシーの記事

日経新聞にGoogleの無料送迎タクシーの記事が出ていた。概念そのものはすでに周知のことで、私も講義

記事を読む

no image

自己手配時に知っておくべき「国際航空運賃」の計算方法

今日の国際航空運賃が出来上がるまでには歴史があったと考えられる。勉強していないので知らないが、国際海

記事を読む

New 3PHL(Third party human logistics)  Transport app Moovit has arrived in Australia(http://mashable.com/2015/03/30/transport-app-moovit-australia/#:eyJzIjoiZiIsImkiOiJfeW80dTUya2M5cGVmdG95dSJ9)

ロンドンではタクシーの配車アプリを調査して、つくづく3PHL(サードパーティ人流)の時代が来ていると

記事を読む

PAGE TOP ↑