*

ゴッツン免許とUber

公開日: : 最終更新日:2016/11/25 展開されている人流・観光事業に関する感想等

ゴッツン免許とは俗称である。

体罰が犯罪とされる今日「ゴッツン」は死語かもしれないが、頭をゲンコツでたたくことでである。白トラック行為をしていた事業者が免許を貰う際に、それまで行っていた違法行為(同時に需要があるという証明でもある)に対しゴッツンと頭をたたかれるように処分を受けたことから表現されていた。ある意味で、規制制度が改善されないなかで、物流サービスの提供に齟齬をきたさないように、社会全体がうまく運営していた役人の知恵ともいえる産物であった。物流は経済界が利用者であり、車が不足して経済活動に支障をきたすことは容認されなかったから、既存トラック業界も最終的には文句が言えなかったのである。今では規制緩和が進展し、免許制度は廃止され、数量規制のない制度に変更されている。

カリフォルニアでは、Uberが利用者の支持を受けているのは、規制業界の旅客サービスが十分に提供されていないからであろう。州の規則違反であるかもしれないのであれば、需要があることを示して、ゴッツン免許を受けるという日本でおこなった解決を考えてもいいのではと思う。

翻って日本においても、高齢者の多い地域社会において、バス、タクシーの営業運送サービスが、自家用サービスを上回る水準のものを提供できないところが多くなってきている。その中で規制のみを主張していては、既存業界は社会的な支持を受けられないであろう。ゴッツン免許のような工夫が考えられてもいいのであるが、時代が変わりコンプライアンスも厳しくなっているところから、旅行業法の活用なり、自家用車の有償運送制度や特区制度を活用するなりの工夫が求められるようになってきていると思われる。

 

なお、1983 年 4 月 21 日参議院運輸委員会における梶原清の次のような発言がある

「ごっつん免許という問題を私、常々申し上げておるわけでございますが、トラック運送事業の 免許申請をする人、純粋にこれからトラック運送事業をやるという申請者の大半が白ナンバーの 車で営業類似行為をやっている人ではないかと私は推測をいたします。従来ある程度の実績が確 証できなければ免許にならないという風潮がありましたために、まず実績を稼ぐ、白ナンバーで 実績を稼ぐ、そしてどこそこにどういう荷物が確保できるからといって申請をする、それを認め る。しかし、いままで白ナンバー営業をやっておったのだから、道路運送法違反だから使用禁止 処分をするとごっつんを食らわせて、そして免許を与える。こういうことが従来二十年、三十年 続けられてきたように思うわけでございまして、実は私も自動車行政を長く担当いたしてまいり ましたから、その責任者の一人であるわけでございますが、しかしこれはちょっとやっぱり考え 直さなければいけない、こういうふうに思うわけでございます。しかし、なかなか言うべくして むずかしいことだと思います。トラック免許申請の需給関係について調査をしようというのがな かなかむずかしい、こういうふうに思うわけでございますが、こういう点につきまして運輸省に も一工夫をしていただかなければいけませんが、業界においてもそれなりの工夫をし努力をして いただかなければ正常化ができないのではないだろうか。また、そのゴッツン免許の方式を改め るとすれば、言葉をかえて言いますれば、白ナンバー営業をしておった者には免許を与えないと いうことをするためには、みずから業界の中でも襟を正していただかなければいけない、こうい うふうに思うのですが、これはなかなかむずかしい指摘でございますので、簡単に、御所見がもしありましたらお答えをいただきたいと思います。」に現れている。

関連記事

no image

パブリックコメント「道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について」の一部改正に関する意見公募について

道路運送法の有償性に関する事務連絡の改正が検討されており、パブリックコメントが募集されたので、応募し

記事を読む

no image

肥後交通グループの第2回オフサイトミーティングに参加して

チームネクストの番外の研修として、熊本県人吉市に所在する中小企業大学校研修室を使用して開催された、肥

記事を読む

no image

国際人流・観光状況の考察と訪日旅行者急増要因の分析(1)

Ⅰ 訪日外客数の急増と福島原発事故の世界の旅行界に与えた影響 明るい話題が少ないのか、訪日外国人客

記事を読む

no image

人流ビジネスと利用運送

旅客運送事業法が設備の数量規制を行っていた時代は、旅客運送行為は運送事業者が自ら行うことが前提となっ

記事を読む

no image

ホテルアセッセトマネジメントとAirbnb  人の移動の自由・労働者の囲い込みと専門職大学の在り方

これも機能分化である。運送機能の分化を考えてきたが、宿泊機能も分化している。オーナーとオペレーターへ

記事を読む

no image

脳波であらすじが変わる映画、英映画祭で公開へ

映画ではここまで来ているのに、観光研究者は失格である。 http://jbpress.isme

記事を読む

弘前・青森旅行 チームネクスト13回研修会に参加して 2016年8月1日~3日

チームネクストの研修会が弘前で開催。この機会に現地の北星交通社長の下山さんのお世話で弘前のねぷたと青

記事を読む

タクシー運転手の労働条件 『タクシーほど気楽な商売はない』を読んで

  「タクシ運転手」という職業は一般によく知られていますし、テレビドラマ等でもよく登

記事を読む

no image

観光資源としての「隠れキリシタン」 五体投地、カーバ神殿、アーミッシュとの比較

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産登録された。江戸時代の禁教期にひそかに信仰を続け

記事を読む

観光研究会メンバーによる岳温泉訪問

11月8日、9日溝尾良隆帝京大学教授のもと、福島大学の方々と共同で岳温泉を訪問しました。 岳温

記事を読む

no image
保護中: QUORA 第二次世界大戦時、なぜ戦況は悪化したのに、日本は戦争は辞められなかったのですか?

第二次世界大戦時、なぜ戦況は悪化したのに、戦争は辞められなかったので

no image
QUORA フランスには第一次世界大戦がきっかけで未だに住むことのできない地域があるって本当ですか?

この回答は次の質問に対するQuora英語版でのRichard

no image
カルムイク共和国

欧州唯一の仏教国

no image
Oneida Community Mansion House

https://www.bbc.com/reel/playlist/

no image
保護中: AIの進化が新たな局面を迎えた:GTP-3の衝撃

米国コロナ最前線と合衆国の本質(10)~AIの劇的な進展と政治利用の

→もっと見る

PAGE TOP ↑