キャッシュレス時代における2019年1月14日付東京交通新聞「クルー」の記事の書き方
クルーのシステムが本年1月いっぱいメンテナンスに入り、再開は2月と報道されていた。HPにも出ているからニュースでも何でもないだろう。しかしCREWに、組合と川鍋氏がクレームをつけていることが専門紙としてはニュースになるので、あえて記事にしたのであろう。そのことはメディアの特性として理解できる。
当局は、業界、組合からの苦情もあり、事務連絡、通達を出している。しかし、それは去年の3月のことで、今更記事にすることでもないはずだ。
また、通達も事務連絡も行政法上は区別する意味合いはないが、当局も業界向けには格上げしたといった方が通りがいいのであろう。苦労していることがわかる。
謝礼つまりチップは、ハイヤー、バス、タクシーの運転手はみなもらっている。むしろキャッシュレスを政府が推進しているから、海外のように、クレジットカード上のチップの取り扱いや、タブレットでのチップの表示が必要になってくるはずである。消費税の内数か外数かもある。運賃に含まれるすると認可運賃違反になるのだから問題でもある。ツアー客を連れて行ったレストラン等では、ドライバーへの心づけがなされることもある。これを運賃に入れる人はいないだろう。
チップを強要すると認可運賃違反になるという気持ちは理解ができる。クルーの運転手はどこで費用を回収しているのということになるから、疑念が起きるのはわからないでもない。
しかし、大道芸人がパフォーマンスをしたあと、おひねりを期待するのと、自家用車の運転が好きで、ついでに客を乗せているのと、本質は変わらない。両者ともチップをもらえることもあるから何とかなっていると理解するのである。
チップを強要すれば、CREWでなくても、大道芸人でも、レストランでも問題である。従ってそこは社会常識であろう。居酒屋の「お通し」やレストラン、旅館の「サービス料」があとから請求書に書き込まれていて問題になるのは、外国人の社会常識が違うからである。
日本は法治国家である。刑法は罪刑法的主義だから、拡大解釈は許されないということを、法学部の刑法の講義で、霞が関の役人はしっかり学んでいるから、道路運送法違反の解釈もしっかりできる者が担当している。従って、組合等の苦情への対応にも苦労があるのである。
記事の最後、「業界側、クルー双方の意見を聞きながら引き続き注視してゆく」という表現は法治国家の大人の表現である。よくできた回答である。
関連記事
-
-
ニューヨークのタクシー王の記事
http://www.crainsnewyork.com/article/20180615/TRAN
-
-
シニアバックパッカーの旅 世界人流観光施策風土記 2017年9月 フィリピンはマニラの観光・交通事情 承前
フィリピンの首都マニラに9月11日から15日まで、チームネクストの調査に参加する。 フィリピンは今
-
-
シニアバックパッカーの旅 2019年9月11日 チームネクスト 清華大学やDiDiで考えさせられた無人運転車
筆者の参加しているタクシー事業者等の研究グループ(チームネクスト)で、恒例の海外視察に参加した。
-
-
黒船はUberではなく中国の配車アプリ
下田沖にあらわれた「黒船」は一年前からくることがわかっていたから、江戸住民は弁当をもって見学に集まっ
-
-
自家用自動車の共同使用(ライドシェ)
タクシー業界がライドシェに過敏になっているのか、行政当局もライドシェに否定的な報道が目立つ。しかし、
-
-
シニアバックパッカーの旅 ロンドン配車アプリ調査② 前提となる予備知識とロンドンの配車アプリビジネス事情どう
○日本との違い ロンドンのタクシー制度は日本と根本的に2点異なることを理解しておく必要がある。
-
-
自己手配時に知っておくべき「国際航空運賃」の計算方法
今日の国際航空運賃が出来上がるまでには歴史があったと考えられる。勉強していないので知らないが、国際海
-
-
ロンドンの観光ガイド付きレンタカー
ロンドンの観光ガイド付きレンタカーがネットに取り上げられていた。 運転手付きレンタカーの制度比較を
-
-
マニラのUber報道 ‘Defiant’ Uber probed; execs air lament
http://newsinfo.inquirer.net/919535/defiant-uber-p
-
-
MaaSのおとし所 「両備運輸の思い上がり」「JERONタクシーが実証実験だという例として出しているが、とんでもない間違い」
チームネクストの総会に参加していくつか私なりに進展があった。 MaaS以外に自動運
- PREV
- TravelerとTouristの違い
- NEXT
- 非言語情報の「痛み」