*

新経済連盟の提言 「ライドシェア新法」の提案  に関する感想

公開日: : 配車アプリ

新経済連が提案をしている。事務局から親切にも直接送っていただいた。役所の後輩が中心で活躍しているので、ときおり意見を求められることもあるから敬意を表してくれたのであろう。
法案を提案する点では、霞が関以外にも法案提案能力が生まれて来たということで世の中が進化しているのであろう。

〇字句「ライドシェア」

ライドシェアの分類もされており、わかりやすくしている。私としては、公共交通(乗合)がライドシェアのチャンピンであり、プラスイメージでまとめた方がいいと思うが、「相乗り」概念を中心にしているのは、日本におけるUberの失敗が尾を引いているのかもしれない。定時定路線の鉄道やバスが進化して、バーチャル時刻表、バーチャル停留場がスマホで可能となったという位置づけの延長に、タクシーや自家用車があるという説明の方が、公共空間の道路等を利用する場合に説明が円滑なような気がする。

〇TNC(TRANSPORT NETWORK COMPANY)概念

Uberに代表されるスマホ配車システム業者は、法的にはフィリピンではTNSのようにネットワーク事業者として位置づけたのが最初だとされている。
日本で法制化するとすると、昔の霞が関であれば、運輸省、建設省、郵政省、警察庁が具体的権限をもとに、地方自治体代表の自治省に加えて、権限を持たない通産省が引っ掻き回して共同所管の新規制体制が生まれることろである。私が入省したときは、石油パイプライン事業法がそのような状態で生まれたばかりのときであった。
欧米諸国でもTNCとして規制を始めているようであるが、私は日本の場合は、欧米と違って旅行業法を進化させればそれで済むと思う。先日のブログ(https://jinryu.jp/blog/?p=9260)でも既述したように、旅行会社がuberやAirbnbの発想をしてこなかっただけで、自家用車、自宅を組み込んだ単品型パッケージツアーは、旅行業法で対応ができると考えている。情報化の点も、通信回線の開放の時、旅行業法が通信会社を規制するものかどうか論議されているが、そのままでも差し支えないという解釈がなされたと記憶している。
しかしそれでは、道路運送法等の関係者に不都合なことが発生するということである。現在の仕組みでは全体を完璧には説明できないのである。通訳案内士法の事業独占規定の廃止でも危うくそのことが露呈しそうになったが、旅行業法ではそうはいかないであろう。民泊法は、新経済連の提案する切り分け型であるが、有償の旅館営業と、有償の不動産賃貸業のデマケはできていないと私は思っている。

〇地方権限
今回のレポートは、これまでよりは地方分権の紹介が丁寧である。欧米との比較は、制度の仕組み以前に、アメリカ、イギリスは権限が自治体にあるということで、アメリカの場合、カリフルニアとニューヨークでは違うのであるが、その点の説明が少し欠けている印象はした。
流しをするタクシーと車庫待ちのハイヤーの区別もそれなりの丁寧にしている点は進歩である。そのタクシーが日本でいえば個人タクシーに近く、日本のように法人タクシーが存在するわけではないという説明も充実してきている。
ただ、歴史的にはコモンキャリア概念を丁寧にして置くと分かりやすかったのではないかと思う。なぜハイヤーがプラベートキャリアと呼ばれるかが理解できるはずである。またニューヨークはプライベートのブラックカーがあることも紹介しておくとよかったように思う。

〇二種免許の扱い
運転免許の二種免許の見直しが警察庁で始まっているようである。
欧州旅行をすると、バス運転手の連続運転の規制が厳しいようで、必ず休みを取る。自家用、営業用区分がないのも当然である。日本でも過積載の取締りは営業用自家用区別なしに厳しく行われた。その点では、ライドシェアを位置づけるのあれば、自家用営業用の区分はなくした方がいいと思う。個人タクシーと何が違うのかということになる。だからタクシー協会は反対するのであり、立場としては理解する。一部の車庫待ちタクシー業者にだけ一種免許でいいということでは、論理的に持ちこたえられないからである。しかし、どちらにしても自動運転時代を控え持ちこたえられないであろう。

〇中国人白タク

政治的はまず違法であり取り締まるべきであると、提案では書かれている。公的にはそうであろう。
ただ、白タクの定義如何であり、私は車両と運転手の分離傾向は世界的趨勢であり、きちんとしたほうがいいと考えている。中国人に車両はレンタカーで十分に対応できる。問題は中国語のできる運転手が少ないのである。これこそ運転免許の一種免許で構わないと思う。絶対数が不足し、十分なサービスができない既存タクシー業者に反対する資格はないであろう。事故の補償はレンタカー制度で十分に対応できる。中国語のできない二種免許保有者と中国語のできる一種免許の保有者の比較であるから、観光等に限定して運用できないかとおもう。次回の提案で検討してほしい。違法違法といっていても形式犯であり、高齢者の日本人タクシー運転者とどちらが安心できるかである。

関連記事

no image

定額使い放題社会の先にあるもの 

「お金のない社会があったら」は、近年では忘れかけられているテーマです。共産主義国家が崩壊したことが原

記事を読む

Directionality of the discussion about Uber and Airbnb in Japan

1 Appearance of the sharing economy theory 1)Shar

記事を読む

Yellowcabの危機から発したタクシーアプリ?Taxi-hailing app takes on Uber with a new weapon Curb, owned by Verifone, will debut its new feature in April

Technology NEWS › TECHNOLOGY March 23, 2016 Update

記事を読む

🌍🎒 🚖シニアバックパッカーの旅 ロンドン配車アプリ調査④ Addison Lee社における配車アプリ

Addison Lee社ではCOOのMS. Catherine Faiers氏から説明を頂いた。

記事を読む

London Car Dispatch App Report ①

8th March 2015 we arrived in London Heathrow Airpo

記事を読む

🌍🎒 🚖シニアバックパッカーの旅 2018年9月12日 チームネクストモスクワ調査⑥ モスクワ市交通局等

モスクワ市の国際局の取り計らいで交通局及び観光局を訪問し、意見交換した。観光局からは最近のモスク

記事を読む

November 4, 2016   Survey report No.4 on taxi dispatch application and tourism advertisement in New York by Japanese taxi business CEOs

◎ Taxi & Limousine Commission  In the morning, we

記事を読む

ニューヨーク市長のタクシー政策 ~チームネクスト合宿 in New York  に備えて~

「For-Hire Vehicle Transportation Study January, 20

記事を読む

no image

ヘルシンキのシェアリングエコノミー・サービス「Whim」

ヘルシンキのWhimがNewspicksで取り上げられて、好意的なコメントが多かった http:/

記事を読む

動画で見る世界人流観光施策風土記 シェアリング・エコノミー論議の方向性 ~貸切と乗合の相対化~

1 シェアリング・エコノミー論の登場 (1) 人流市場のシェアリング・エコノミー論 1970年代

記事を読む

no image
🌍🎒2024シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 福建省(24番目)厦門

中国渡航にビザが必要な段階で計画したので、金門島から廈門に渡る

🌍🎒シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 台湾省🏳‍🌈 金門島

  昨夜桃園空港から台北駅に鉄道で移

no image
🌍🎒シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 台湾省🏳‍🌈 台北

国連加盟国第一か国目は中国。1970年に香港、台湾と旅行した。当時は、

🌍🎒2024シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 パラオ共和国(国連加盟国188か国目)

    2024年12月4日早朝マニラから

🌍🎒2024シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 セブ・マクタン島

youtubeで、マゼランの世界一周を 取り上げた動画があり、船

→もっと見る

PAGE TOP ↑